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第2部 王都ファグネリア

第54話 オロビタンZ

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 ワイバーンの解体作業は順調に進んで、1匹目の魔石とアバラ肉をもらった。
 ストレージに収納すると、アバラ肉は800kgもあった。
 これで当分、お肉には困らないわね。
 そしてシルバーはサファイアのような濃紺の魔石を食べている。

 ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、
  ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、
 ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、ガリ、

ワオッうまいワオオ~ンうまいぞ!!』
 ドドォ~ン!!
 シルバーの後ろから大きな波が打ち上げるのが見えた気がした。
 どこのグルメ漫画?

「スズカさん、孫のテレザから息子を治せるかもしれないと聞いたが…」
「えぇ、治せるしれません」
「だが息子の病気はberiberi脚気だ。今は歩けるがいずれは…」
 それは原因がわからないから、食生活を変えないからですよ。

beriberi脚気は不治の病とも言っていい病気だ。足元がおぼつかなくなり、心不全を起こして死に至ることもある。今までそれを治した人はいない病だ」
「公爵様、beriberi脚気はビタミンB1の不足により起こる病です」
「ビタミンB1だと?」
 う~ん、なんと説明すればいいのかな?

「偏った食生活をしているとなる病です」
「それはどういうことだね」
「私の住んでいた国に医食同源いしょくどうげんという言葉があります。それは病気を治す薬と食べ物とは、本来根源を同じくするものであるということ。食事に注意することが病気を予防する最善の策で、日ごろの食生活も医療に通じるという考え方です」
 どこの国?なんて聞いてこないでね。
「ほう、それはどこの国かね?今までそんな格言かくげんは聞いた…「「栄養バランスを考え、穀物や、野菜、肉を食べましょうと言うことです。例えば甘い物をたくさん食べたり、パンだけで食事を済ましたり、アルコールをたくさん摂る、といった食生活を続けていると引き起こります!!」
「た、確かに息子はお酒は飲む方だが、そんなことが原因とは…」
 やった!押し切れたわ。

「ビタミンB1は玄米や麦などの精製前の穀物、豆類、豚肉などに多く含まれています。この食材を毎日、食べていけば病はよくなるはずです」
「それは本当ですか、スズカさん?」
「えぇ、本当です。ダニロ侯爵」
「こんな日が来るとは…、子供達が成人するまで生きていられるか、わからなかったがこれで希望が持てたよ」
「それからこれを置いていきますので毎朝、1本飲んでください」
 私はストレージから、あるものを出し手渡した。

「これはなんでしょうか?」
「ダニロ侯爵、これは栄養ドリンク、オロビタンZ(ゼェ~~~ト)です」
「栄養ドリンク?オロビタンZですか?」
「いいえ、オロビタンZゼェ~~~トです。そこは伸ばして頂かないと…」
「伸ばすことに、どういう意味がある…「「オロビタンZゼェ~~~トは身体に必要なビタミンや栄養が含まれています。疲労回復や健康維持に効果があります」
「そんな秘薬を分けて頂けるとは!!あはは!」
「おとう様はこれで治るの?」
「あぁ、そうだよテレザ。スズカさんに感謝しないと」
「ありがとう、スズカお姉ちゃん」
「お礼はまだ早いわ(少しでも効果が出てくれば良いのだけれど)」
「そうだぞテレザ。よくなるのは段々とだから」
「では10日分、10本を置いていきますから飲んでくださいね」

「ワイバーンの素材買取の金額が確定したら、オロビタンZゼェ~~~トと合わせて代金を支払おう。効果がまだわからないからね。その時にはスズカさんのところに使いの者を出そう」
「そんな。いつでもいいですから、ワイアット公爵。それに昼間は散歩に出かけていて、雨の日以外は不在にしていますから」
「わかった。ではその時間を避けるようにしよう」

「では私はオロビタンZゼェ~~~トを頂くことにします」
 そう言うとダニロ侯爵は瓶の蓋を開け飲み始める。
 ゴク、ゴク、ゴク、ゴク、
「ぷふぁ~!!旨い。しかしスズカさん。このオロビタンZゼェ~~~トは、高級なものなのではありませんか?」
 え?どういうこと?
「ガラス瓶に入っており絵柄までついている。ここまで薬に凝る必要はないはずです」
 ただの瓶ですけど…、絵柄はシールだし、まずいわ。
「じ、実はある国のある方の為だけに、特別に作られた薬なのです」
「そんな貴重な薬を分けて頂けるとは…、うっ!!足が…」
「どうなさいました?!おとう様」
「うっ!!」
「おとう様~~!!」

 テレザの悲痛な叫びが大きく響いた。

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