完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ

文字の大きさ
上 下
53 / 110
第2部 王都ファグネリア

第53話 安請け合い

しおりを挟む
「さあ、取っておいで~」
『ワフゥ、ワフ』
「きゃはは!!楽しい~!!」
 テレザお嬢様がフリスビーを投げる。
 空高くジャンプしてそれを自慢そうに咥えるシルバーがいる。

「お父様も足が悪くならなければ一緒に遊べたのに…」
 話を聞くと数年前から食欲不振、手足のしびれ、むくみ、疲労感などの症状が出始めたと言う。

 私は『ヘルプ』機能を使い該当する病名を知らべる。
 検索開始・・… … 完了!
『考えられる病名は『脚気かっけ』です。
『脚気』は体内のビタミンB1の不足により発症します。
 ビタミンB1の欠乏は大量の糖質のみの摂取で起こります。
 甘い物をたくさん食べたり、パンだけで食事を済ましたり、アルコールをたくさん摂る、といった食生活を続けていると引き起こります。
 加えて、生の魚介類(イカ、タコ、魚の刺身)はビタミンB1の酵素活性を抑えてしまうこともります。

 江戸幕府第14代将軍、徳川家茂は甘いものが好物で、亡くなった原因は何と「虫歯」です。
 家茂の頭蓋骨を死後に調査したところ、残っていた31本の歯のうち30本が虫歯に侵されていたそうです。
 糖分がビタミンB1の消費を促し脚気を悪化させたのでした。
 医師団が総力を挙げて治療に取り組むも甲斐なく、脚気による急性心不全によって21歳の若さで亡くなりました。

 治療法はビタミンB1を毎日十分に摂り続けることです。
 ビタミンB1は精製前の穀物、豆類、豚肉などに多く含まれています。
 玉ねぎ、にら、にんにく、ねぎなどの食材には、ビタミンB1の吸収を高める成分が含まれています。

 アルコール、菓子類など糖質が大量に含まれる飲食物を好む人は、食習慣を改めましょう。

 【うんちく】昭和30年にアリ〇ミンが登場してからは、ビタミンB1が気軽に補充でき怖い病気ではなくなったのでした。』

 なるほど…『栄養ドリンク』て凄いわ。

「テレザお嬢様、もしかしたらお父様は偏食へんしょくですか?」
「偏食とはなんでしょうか?」
「食べ物の好き嫌いが激しくかたよった食生活していることです。例えばお肉は好きだけど穀物や野菜はまるで食べず、お酒や甘いものが好きだとかはないでしょうか?」
「そう言われてみればお父様はお肉が好きで、食後はお酒を飲むのが日課になっています。特に野菜や穀物は好きではないみたいです…」
「誰かには診てもらいましたか?」
「教会の司祭様のことでしょうか?見て頂きましたが診察の結果はberiberi脚気ではないかと言われました」
「そうですか…」
「おじい様の跡を継ぐお父様が病気では…。私には2歳年上の兄がいますが、もしも今、おじい様に何かあればこの家は大変なことになってしまいます」
 話を聞くとテレザお嬢様は10歳で、2歳年上のお兄さんとお母さん、そして公爵の5人家族の様だ。
「大丈夫よ、テレザお嬢様。お父様はきっと良くなるわ。私に任せて」
「本当?!スズカお姉ちゃん…お父様を…治せるの?」

 私は涙を浮かべたテレザお嬢様を見て頷いてみせた。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 いつも応援頂いてありがとうございます。
 物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期となります。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...