上 下
122 / 128
第13部 蒸気機関車

第121話 物事はクリーンに

しおりを挟む
「 「 「 ギィ~~~~~~~!! 」」」

 蒸気機関車用の城門が開いた。

 煙を吐きながら蒸気機関車はゆっくりと城門をくぐって行く。
 蒸気機関車用の城門は、街の人が出入りする城門から少し離れて造っている。
 それは搬入する時に、人が側に居ないほうがいいからだ。
 
 蒸気機関車の横幅は約3m、高さ4m、長さは20mくらいだ。

 黒くて大きな見たことも無いものが、段々と街の中に入ってくる。
 遠めに見ていた人たちも、驚いてこちらを見ている。

〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉

 それをからかう様に、ゲラルトさんが汽笛を鳴らす。

 その音を聞いた多くの人々が驚き、尻もちをついている人もいる。

「ゲラルトさん、やりすぎです。機関車を初めて見たら、驚くのは当然ですから」
「あははは、すみませんエリアス様。つい、面白くて」

 そして以前、俺が来た時に創って置いた駅に蒸気機関車を止めた。

「エリアス様~!!」

 蒸気機関車から駅に降り、呼ぶ声のする方を見るとエリアス商会の社長アルバンさん、シャルエル教大司教ヨハネス様、アバンス商会のアイザックさん達が居た。 

 俺はイーヴァインさん、ゲラルトさん、オズバルドさん達と機関車を降りた。

「おはようございます、エリアス会長」
 アルバンさんが挨拶をしてくる。
「みなさん、おはようございます!」
 俺も挨拶を返す。

「これはまた蒸気機関車とは凄いものですな。巨大で真っ黒で遠くから見たらドラゴン級の魔物ですな」
 やや小太りで50代半ばの大司教ヨハネス様がそう言った。
 また太ったな、この親父は。

「えぇ、本当に驚きました。こんな大きなものだとは」
 アイザックさんも驚いている。

 そして俺はアルバンさん達に、イーヴァインさん達を紹介した。
 これからこの街に機関車で通う事になるんだから、仲良くやって欲しいものだ。

「実は城門で事前に言ってあったのに、魔物と勘違いされ中に入れてもらえなくて」
「そうでしたかエリアス会長。でも次からはもうそんなこともないでしょう」
「念のため次回までに蒸気機関車の正面に、侯爵の紋章を描いておこうと思います」
「それは良いお考えです。それから先日、お伺いいたしました場所に土地を買いました。後は整地をお願いいたします」

 前回来た時にセトラー領から蒸気機関車で石炭、鉱物を運んできた時に保管する場所が必要になることを話しておいた。
 条件は城門近くに土地を買い、大きな倉庫を造りそこに降ろすというものだ。

 ㎡で言っても分からないだろうから、大雑把に駅のある城門から手前に250m、横に300mくらいの土地が欲しいとお願いしておいたのだ。
 ただ城門近辺は街から出入りしやすく一等地だ。
 
 土地代が高くお金持ちの大きな邸宅や商家がたくさんある。
 よくそんなところを買えたものだ。

「しかしよく立ち退きを、了承させることが出来ましたね。アルバンさん」
「えぇ、最初はお金の力で相場の2倍、3倍と値段を上げていきながら購入しましたが、ある程度購入が進むと売らないと言い張る家が出てきまして…」
「そ、それは、そうでしょうね」

「困ってしまい大司教ヨハネス様に相談して、お力をお借りいたしました」
「お手数をお掛け致しました、ヨハネス様」

「なにをおっしゃいますかエリアス様。私はあなた様のしもべですぞ。なにごとも、この大司教ヨハネスにお任せください」
「いったい、どの様なことをされたのでしょうか?」

「そうですね、まずシャルエル教の大司である私が、お宅に訪問すれば大概の方は売ってくださいました。それでも駄目な場合は金貨を目の前で、100万円ずつ積み上げて行くことでしょうか。そうするといい返事がもらえまして。それでも駄目ならお子様やお年寄りが居る家でしたら、一人歩きは危ないですから物件の前に強面の人を毎日、何人か角材を持たせて警備に付かせておりました。その誠意にうたれて売却を決められたり。それと不思議と私の話を断った家は、その夜に窓ガラスが割られたり…「「あぁ、もう大丈夫です。ありがとうございました」

 それじゃあ、地上屋だろ!!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。 その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。 更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。 果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!? この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~

ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。 対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。 これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。 防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。 損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。 派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。 其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。 海上自衛隊版、出しました →https://ncode.syosetu.com/n3744fn/ ※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。 「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。 →https://ncode.syosetu.com/n3570fj/ 「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。 →https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

処理中です...