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第13部 蒸気機関車

第120話 お披露目

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 俺達は朝一番で蒸気機関車に乗りアレン領に向かっている。
 運転手はイーヴァインさん、ゲラルトさん、オズバルドさんの3人組だ。

 アルバンさんに『1週間くらいしたらまた来ます』、と言った今日がその日だ。

 蒸気機関車に石炭と水を、機関車のボイラーに自動で送る投炭装置を付けた炭水車を連結し、更に鉱物と石炭を積んだ貨物を各2車両ずつ繋げて走る。

 俺のストレージで収納し、そこから出したら蒸気機関車で行く意味がない。
 だから貨物に積み人を雇い、アレン領に降ろすのだ。


 シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
     シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ

    〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉

   シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
  シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ

 蒸気機関車は蒸気が出す白い煙に包まれ、煙突から石炭が燃えて出る黒い煙を出しながら汽笛の大きな音を鳴らしながら進む。
 アレン領に近づくと今まで開いていた城門が閉じた。
 そして高見台には弓を構えた人がいる。

 な、なんだ?

 前に来た時に警備所の人には、このレールの上を走る大きなものが来たら、それは俺だからと言ってたはずなのにな。


「エリアス様、どうされますか?両翼の剣を出しますか」
 イーヴァインさんが聞いてくる。
 なにか。勘違いしてませんか?
 領へ殴り込みに来た訳ではありませんけど。

 オズバルドさんが興奮気味に言う。
「兄貴、やっちまいやしょう。C61こいつなら、こんな城壁なんて紙みたいなもんですぜ」
 誰キャラだ?おまえは。

「蒸気機関車用の城門近くに速度を落として進み、近くになったら止まって下さい」
「分かりました」
 俺達はゆっくりと、城門に進んだ。




「隊長どうするんですか!?やつはもうそこまで来てますよ」
「ま、まて刺激するな。見てみろ!堅そうな黒い胴体を。矢が通るとは思えん」
「ドラゴンでしょうか?」
「それはわからん」
「いったい、どうすれば。このままでは…」




「イーヴァインさん、止めてください」
 俺はそう言うと、止まると同時に蒸気機関車から降りた。




「た、隊長。見てください」
「人が降りたぞ。調教師がいるのか?ドラゴン級の大型魔獣なのか?」
「降りた人がこちらに向かってきます」



 高見台からたくさんの警備兵が、こちらを見ている。
 更に弓を構えた人が増えている。
 いくら初めて見るからって驚き過ぎでは?

 


「「 お~い、お前があのドラゴンの調教師か!何をする気なんだ? 」」

 高見台から1人の警備兵が大きな声で聞いてくる。

 え、何をする気か、て言われても?
「「 城壁の中に用があります 」」
 俺も負けない様に大きな声で返事を返した。

「な、なに。やはりアレン領攻略が目的か!騎士団が来るまでの間、なんとしても持ち堪えるぞ!」
「「「 オォ~~!! 」」」



 なんか、盛り上がってますが。
 
「「「 城壁の中に入れてください!! 」」」

「「「 駄目だ、この城門は警備隊隊長セアドが守って見せる! 」」」
「「「 隊長~、我々もお供致します~ 」」」
「「「 お、お前たち~! 」」」




「「「 私はセトラー領、領主エリアス・ドラード・セルベルトです 」」」

 そういうと俺は懐から身分を示す、紋章が入ったコインを出して見せた。
 控え控え控えおろう~!!、心の中で言っていた。
 この国は貴族の身分を証明するのに、爵位と名前の入ったコインを発行している。
 口で言っても身分は分からないからね。


「「「 セルベルト卿でしたか!ですが遠くてコインが見えません!! 」」」

 高見台から見えたら凄いよ。

 しばらくすると城門が開き男が出てきた。
 
「お待たせいたしました。確認いたします」
 俺はコインを見せる。

「間違いございません。失礼いたしました」

「蒸気機関車用の城門を開けてください」

「分かりました」
 
 男は高見台に手を何度か振った。
 手旗信号の様だった。

 そして蒸気機関車用の城門が開いた。

「お待たせいたしました。さあどうぞ中へお入りください」

 この日はアレン領の住民が、蒸気機関車を初めて見た記念すべき日だった。
 
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