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第13部 蒸気機関車

第108話 レッドクラブ

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「「「 レ、レッドクラブだ!奴の甲羅は硬くて矢が通らん 」」」

 レッドクラブと呼ばれた横幅2mくらいの魔物が5匹現れた。
 俺を守る様にイーヴァインさん達が前に出る。
 
【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:レッドクラブ
 種族:魔物
 年齢:5歳
 性別:メス
 職業:カニ
 レベル:30

【特徴】
 陸上に住む蟹の魔物。
 左右のハサミの力は強く、大木を真っ二つに切り裂く程の力がある。
 甲羅はとても固く、矢などの攻撃を受け付けない。
 前後左右に動ける。

 この時期は産卵時期で、メスはお腹に卵を持っていることが多い。
 身はとても柔らかくミソは極上の味。
 刺身や塩ゆでにしたり、ダシを採ったり美味しくいただこう。



「みんなハサミ気を付けて。まずはハサミを封じるんだ」
 
「「「 オウッ! 」」」

 イーヴァインさんがおとりになる。
 その間に左右からゲラルトさんが、ハサミの下の関節にバスターソードを叩きこむ!

〈〈〈〈〈 ガァッ! 〉〉〉〉〉

「関節にうまく入らねえ」
 ゲラルトさんが叫ぶ!

「オラッ!オラッ!オラッ!」

〈〈〈〈〈 ガァッ、ガァッ、ガァッ! 〉〉〉〉〉

 がむしゃらに関節部分を剣で攻撃している。

「あぁ、駄目だ。そのやり方では」
 身がバラバラになってしまう。


 5匹のレッドクラブはどんどん、迫ってくる。

 俺は『ファルクス』を構えた。
 刀身の全長が約120cm。
 湾曲した片刃剣で鋭い切先で、相手を斬り飛ばす両手持ちの剣だ。

 生活魔法の風を真空状態で剣に纏うイメージをした。

 スッ!
 俺は風魔法を身に纏い素早さを上げた。

〈〈〈〈〈 ガァッ!ガァッ!ガァッ! 〉〉〉〉〉

   〈〈〈〈〈 ガァッ!ガァッ! 〉〉〉〉〉

 5匹の眉間を一撃で切り裂く。
 しばらく動いていたが、そのうち動かなくなった。

 ホビットのアルベルトさん達は口を開け、驚いている。

「さすがエリアス様。伊達に緑竜グリーンドラゴンを倒しはていないな」
 イーヴァインさんがポツリと言う。

「な、なんですと。あの緑竜を倒されたのは、エリアス様だったのですか」

「えぇ、成り行きですが。あの時は緑竜とダークエルフが戦っていて、そのままにしておくと俺達の村にも被害がありそうでしたから」

「そんなことがあったとは。だからダークエルフが従っているのですね」
「俺は従えているつもりはありませんよ」

 俺はそう答えるとレッドクラブ5匹をストレージに収納した。

「レッドクラブはこの辺りに頻繁にでるのですか?」
「普段は山奥の岩場に住んでいるようですが、この時期から夏場にかけて雨の時期になると大群で産卵のため、山から下りてきて田畑を荒らすのです」
「この時期だけですか」
「えぇ、甲羅が固く矢が通らないので、荒らされるのを見ているしかないのです」
「田畑に植えてある穀物は、どうされるのでしょうか?」
「持てるだけ持って後は置いていくしかありません」
「お聞きしますが、レッドクラブは今の時期しかいないのでしょうか?」
「えぇ、そうです」

「ではこうしませんか。俺のマジック・バッグで田畑の穀物も持っていきましょう。でも少し残しておいてほしいのです」
「少し残せと。それはどういう事でしょうか?」
「この機会に、レッドクラブを狩ろうと思いまして」
「レッドクラブを退治して頂けるのですか!それはありがたい。今までの仇をとって下さい」
「えぇ、もちろんです」
(この時期を逃したら、また来年まで食べれないからね)

 しばらく歩いていくと簡素な塀が見えてきた。
「あそこがわれらの村です」
 アルベルト長老が指を指す。
 アルベルトさんは長老なので、敬意をこめて長老と呼ぶことにした。

「おい、いま帰ったぞ。門を開けろ!」
 アルベルト長老がそう言うと門が開いた。

「おかえりなさいませ、アルベルト長老」
 中から男の人が出てきた。
 ホビットは人族より長生きのせいか、みんな若く見える。
 そのため、男の人なのか男の子なのかが分からない。

 中に入ると屋根がかろうじて、あるくらいの家が並んでいた。
 これを持っていくのは無理だ。
 俺がストレージでログハウスを作ればいいや。
 そう思うほど、雨が凌げればいいレベルのボロい家だった。

 するとゾロゾロと人が出てきた。
「みんなここにいらっしゃるのがエリアス様だ。そして黒い悪魔と呼ばれているC61シロクイチを動かしている、イーヴァインさん、ゲラルトさん、オズバルドさんだ」

「「「 おぉ~~!! 」」」

「先ほどレッドクラブ5匹に襲われた」

「「「 !! 」」」

「だがエリアス様が簡単に、その5匹を倒してしまった」
「長老、いくら長老の話と言えどそれは」
「そうだ、レッドクラブの甲羅は硬くて武器が通用しない」
 住民がそれぞれ、口に出す。

 俺は仕方なくストレージから、レッドクラブ5匹を出す。

「ドサッ!」

「おぉ~!」
「レッドクラブだ。頭が割られているぞ」
「凄~い、レッドクラブを倒すなんて」
 そしてまたストレージにレッドクラブを収納する。
「マジック・バッグなんて初めて見た」
 住民は感心している。

「アルベルト長老、家を持ち帰る話ですが、持ち帰るのではなく俺が新しく皆さんのために家を作りましょう」
「ですがエリアス様。そこまでして頂くわけには」
「移住して頂くのです、俺からのささやかな贈物です」

「「「 !! 」」」

 ホビットの人達の目が光り輝いている。
 なんだこの反応は?

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