【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ

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第13部 蒸気機関車

第107話 小人族

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「小人族ですか」
 ディオさんが驚いたように声を上げる。

「そうだが、なにか」
 アルベルトさんが答える。
「いえ、小人族を見るのが数百年ぶりなので」
「あはは、それはお互い様でしょう」

 山小人ドワーフじゃなかったんだ。
 良かった言う前で。
 背が低いから山小人ドワーフて、いう先入観も失礼だしね。

 鑑定眼を使えばいいんだけど、それも相手に失礼だと思うから。
 最近では人に対して余り使わないようにしている。
 
「エリアス殿、もし移住してきたらタバコの栽培もしていいのかな?」
「タバコですか。穀物や野菜の世話の合間にするのであれば構いませんよ」

 彼ら小人族は農耕が得意で、良質のタバコを生産する。 
 陶器製や木製のパイプを使用して喫煙をする。
 後に小人族が作るタバコが高値で取引されるようになるとは、この時は誰も思わなかった。

「分かりました。村に戻りみんなに話してみよう」
「アルベルトさん。移住を考えて頂けるなら、人数を教えてください。今までは仮の話なので伺いませんでしたが、移住するなら話は別ですから」
「ここに居る我らを含めて27人だ」
「随分、少ないのですね」

「安心できる環境でなければ子供は育てようとは思わないからね」
「ここなら魔物に襲われることもありませんから。安心して子育てができますよ」
「それは本当か、それならみんな喜ぶだろう」

「それに皆さん方の食べる穀物分くらいはありますから。ここなら食べ物に困ることもありませんよ」
「そこまでして頂けるのか!ありがとうございます」
「もし移住するなら皆さんの住居も、建てられるように木材もありますから」
 アルベルトさんは深々と頭を下げた。

 アルベルトさん達を元の場所に送っていく。
 後2日間は蒸気機関車の練習で通るので、それまでに返事を聞かせてほしい事を伝えた。
 別れ際にストレージから出した籠に詰めた野菜と、オークの肉を持たせてあげた。
 アルベルトさん達はとても喜んでくれた。




「アルベルト長老様。どこに行かれていたのですか?」
「みんなを集めてくれ。いや、実は…」

 子供を入れた27人が広間に集まった。
 そしてアルベルトは先ほどあったことや、移住のことを話した。

「こんなに野菜を。それにオークの肉なんて、食べたことがありません」
「私もそうだ。倒せなければ肉は手に入らない。我らは非力だ。弓は得意だがオークなど倒せん。食べている肉は山鳥くらいだ」
「それにこの肉の鮮度は、オークを倒したばかりの様です」
「人にあげられるほど簡単に、オークの肉が手に入ると言う事か」
「それほどの力が。行きましょう、には答えないと」

 エリアスは知らなかった。
 小人族はをするのも、されるのも喜びを感じる種族だという事を。




  それから2日後、鉱山に寄るとアルベルトさん達5人が待っていた。
「エリアス殿、いいえエリアス様。私達をどうか移住させてください」
「話はついたのですね」
「えぇ、村に伺った時の話と、帰り際に頂いたものがとても好評で」
 ただの野菜と肉だったはずだ。
 それに話し方が急に丁寧になったけど。

「ではどうしますか?住民の方がここまで来て頂ければ、セトラー領まで客車に乗って行けます。荷物があるようなら俺が収納して持っていきますけど」
「では家はどうでしょうか?」
「家ですか」
「実は新しいところに移住するのは良いのですが、家作りが苦手な物がおりまして」

「大丈夫ですよ」
「本当ですか、19軒ありますが」
「そのくらいなら平気ですから」
「なんと、容量のあるマジック・バッグですな」

 家が19軒と言う事は19世帯しかいない、と言う事か。
 森に追われ生活しているから、村レベルの規模で住んでいる種族はいないか。

「ではみなさんの村に行きましょうか」
 俺はストレージに蒸気機関車を収納した。

 突然、蒸気機関車が消えたのでアルベルトさん達が驚いている。

 俺とイーヴァインさん達、アルベルトさん達で小人族の村に向かっている。
 俺達はいつ魔物が襲ってきても良い様に剣を抜き、アルベルトさん達は弓矢を構え歩いている。

 イーヴァインさんとゲラルトさんが、持っているのはバスターソードだ。
 オズバルドさんは狩人なので弓を構えている。

 ダークエルフのディオさんとラビさん、ナターシャさんとサブリナさんがプロポーズをした時にみんなでスティルワイン飲み、3人だけ蒸気機関車を運転して仲間外れにされたとむくれていた。

 仕方がないので前から欲しがっていた純度の高い鉄と、鋼を混ぜたバスターソードを2人に創ってあげた。
 とても喜んで肌身離さず持っているようだけど。


 ガザ、ガザ、ガザ、ガザ

 歩いていると突然、茂みが揺れ大きな魔物が現れた。

「「「 に、逃げろ! 」」」

 この森をよく知っている、アルベルトさんが叫ぶ!!


「「「 奴は倒せん、逃げるんだ 」」」
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