【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ

文字の大きさ
上 下
107 / 128
第13部 蒸気機関車

第106話 勘違い

しおりを挟む
「我々には鍛冶技術はないんだよ」

 アルベルトさんは寂しそうな顔をして言う。

「みなさんはお酒が好きですよね」
「もちろん大好きさ」

 そ、そんな。
 所詮はファンタジー、山小人ドワーフの鍛冶屋は空想物語だったのか。

「では皆さんの得意な事はなんでしょうか?」
「得意な事だと、変な事を聞くんだな。そうだな農耕かな」

 農耕か、空想と現実は違うんだな。

「農耕ですか、ではいかがでしょうか。実は俺達はこの森を開拓して村を作っています。そこにきませんか?小麦や大麦、野菜も作っており食事も1日3食です」
「村を作っているのか、こんな辺境の大型の魔物が多い森の中でか」
「はい、俺は人族の中で公爵の爵位を持っていまして、この森の開拓する権利を王国からもらっています。高い塀で村を囲み、そこには闇妖精ダークエルフや鳥人族の人も居ますよ」
「な、なに、貴族だと。それに闇妖精ダークエルフや鳥人族もいるのか」

「住民は俺を入れて45人です。そしてその内9人が人族です」
「では残りの36人が亜種族と言う訳か」
「ええ。そうです」
「我々の事を亜種族と言わないところは気に入ったよ。その村はここからどのくらい離れているんだい」
「蒸気機関車なら35分くらいです」
「35分??」
 あぁ、そうか時間の概念がないのか。

「歩きなら朝日が昇り、夕方暗くなる事には着きます」
「そんなに離れているのか、知らないはずだ」
「でも蒸気機関車なら、あっと言う間です。行ってみませんか?」
「今からか?」
「すぐに着きますよ、帰りもお送りしますから」
 アルベルトさんは少し考えているようだった。

「わかった、行こうではないか。他の部族とも力を合わせていかなければ、この森では生きていけないからな」
「長老様、危険です」
「大丈夫だ、ガエタン。彼らが私達に危害を加えるとは思えないからな」
「では我々4人もお供致します」
「よろしいかなエリアス殿」
「えぇ、勿論ですよ」

 9人乗るには蒸気機関車は狭いので、俺はストレージから客車を出した。

〈〈〈〈〈 ドン!! 〉〉〉〉〉

 同時に俺は軽くジャンプし、他の8人もジャンプしていた。
 小ネタがわかる人達だ。

「では後ろの客車に乗りましょう」
 俺とアルベルトさん達6人は客車に乗った。

「では出発しますぜ」
 イーヴァインさんがそう言うと機関車は動き出した。

 シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
     シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ

    〈〈〈〈〈〈〈〈 ポ、ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉

 客車の中で他の人達と自己紹介をした。
 アルベルトが長老で、若手のまとめ役がガエタンさん。
 そして若手のランスさん、ウーログさん、ギゼラさんだ。

 と言ってもみんな若く見えるのだが。
「みなさん若く見えますね」
「我々の種族は人族の倍くらい寿命があるから。そう見えるのかもしれんな」
 そんな話をしながら機関車は進む。

「しかし早いな、この蒸気、機関車?は」
「言いづらければC61シロクイチでも良いですよ」
C61シロクイチ?」
「あだ名みたいなものです」

 そしてセトラー領に戻って来た。
 見上げる様な城壁の高さにアルベルトさん達は驚いていた。

 城門を入り格納庫に蒸気機関車を収容した。

「さあ、着きました。降りましょう」
 俺達は客車を降り、外に出た。

「す、素晴らしい。こんなに広い土地を開拓しているなんて」
 アルベルトさんが驚いている。
 
 セトラー領は開墾が進み、少し中央奥に俺の屋敷がある。
 その屋敷を守るかのように、ダークエルフの家が左右に放射状に延びているのだ。
 そして見渡す限りの田畑、これだけの広さをどうやって。
 いったい何百人で毎日耕せば、ここまで広くなるのだろうか?

「エリアス殿、この村には45人しか住民はいないと聞いていたが」
「えぇ、そうですよ」

「おかえりなさいませ、エリアス様」
 振り返るとカロリーナが居た。
 そしてマリー。
 侍女のナターシャさんとサブリナさん。
 ナターシャさんの彼氏のディオさんが居た。

「ただいまみんな、今日はお客様を連れて来たよ。彼らは山小ドワ…「小人族ですか」
 ディオさんが驚いたように声を上げる。

 へ?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

処理中です...