【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ

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第13部 蒸気機関車

第104話 森の民

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 シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
     シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ

    〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉

  C61シロクイチの物凄い大きな汽笛が辺りに鳴り響く。

 イーヴァインさん達には、汽笛を頻繁に鳴らし走る様に伝えてある。
 汽笛は蒸気の噴出を利用して、周りに存在を知らせるための音だ。
 だがこの森で頻繫に鳴らすのは警報音と威嚇としてだ。

 今まで聞いたことのない大きな音は、気の弱い魔物や魔獣を怯えさせその場から離れさせる。
 逆に縄張り意識が強く怯えないものは姿を現す。

 そう後ろから追ってくるサーベルウルフの様に。


 俺は客車の後ろに移動し、外を見ていた。
 するとサーベルウルフの群れが、ワラワラと森から出てきた。

 そして縄張りを冒されたと思ったのが、機関車の後ろを着いてくる。

「ハア、ハア、ハア、ハア」
   「ハア、ハア、ハア、ハア」
  「ハア、ハア、ハア、ハア」
「ハア、ハア、ハア、ハア」
    「ハア、ハア、ハア、ハア」
「ハア、ハア、ハア、ハア」


「ハア、ハア、ハア、ハア」
   「ハア、ハア、ハア、ハア」


     「ハア、ハア、ハア、ハア」
         「ハア、ハア、ハア、ハア」
              「ハア、ハア、ハア、ハア」


                    「ハア、ハア、ハア、ハア」
                        「ハア、ハア、ハア、ハア」

 
サーベルウルフは段々と距離が開き、どんどん離れていった。
機関車は60k/mで走っている。
サーベルウルフの走る速度は45~56k/mくらいか。
お疲れ様でした。
瞬間最高速度は早くても、その速度を維持し進むのは違うからね。
これから森の中で走る時は、60k/mくらいで十分かもしれないな。



そこから更に15分くらい走ると鉱山だ。
そしてそのまま進み丁度、鉱山から回り込むように線路を引いており、分岐器から元の線路に戻りセトラー領に帰って行く。


  〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉


「おい、見たか?」
「あぁ、見た」
「あれは、なんだ?」
「わからねえ」

 草むらの中から、2つの顔が出る。

「と、とにかくみんなに知らせるんだ」



 はあ、はあ、はあ、はあ、
    はあ、はあ、はあ、はあ、

 しばらく走ると簡素な塀で囲まれた場所に出た。

「お~い、大変だ!」
「ランスにウーログじゃないか、どうしたんだ。そんなに慌てて」
「ガエタン、魔物だ。黒い魔物が出た」
「黒い魔物だと?」
「森に食い物を探しに行ったら、突然大きな音がしたんだ」
「大きな音だと」
「ブォ~!!て、物凄く大きな音だったよなランス」
「あぁ、奴が現れると辺りが突然、霧に覆われて黒くて大きな物が現れたんだ」
「な、なんだと。大変だ、長老に知らせないと。お前達も一緒に来い」


 ダッ、ダッ、ダッ、ダッ
    ダッ、ダッ、ダッ、ダッ

 塀の中は簡素な家が多数あり、他の家より作りがしっかりとした家の前に来た。
「長老、アルベルト長老、大変だ!開けてくれ」
「なんだ、騒がしいぞ。ガエタン」
 戸が開き中から60代後半の男が出てきた。
「大変だ、新しい巨大な魔物が出たらしい。ランスとウーログが見たんだ」
「なんだと、それは本当か!こちらへ来い、中で話そう」

 3人は家の中に入った。

「詳しく話せ。ランス、ウーログ」
 ランスとウーログは、森に行った時の出来事を話した。

「そんなに巨大な魔獣か!しばらく前から緑竜グリーンドラゴンが姿を見せなくなり、平和になったと思っていたが」
「また怯える日々が続くんですかね、アルベルト長老」
「それは分からん。明日から見張ってくれ。そして現れたら知らせるんだ」
「分かりました、長老。明日からその巨大な魔獣を見たことがある、ランスとウーログに見張らせますから」
「頼んだぞ、2人共」

 そしてこれが彼らの運命を大きく変える、出会いになるとは誰も思わなかった。
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