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第13部 蒸気機関車
第102話 C61 シロクイチ
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蒸気機関車の周りに住民が集まりワイワイ騒いでいる。
「エリアス様、乗せて頂くことは出来ないのでしょうか?」
カロリーナが両手を胸の前で組みながらお願いをしてくる。
仕方がない、可愛い奥さんの頼みだ。
「ではみなさんで試運転にいきましょうか」
そう言うと俺は、ストレージから客車を一両だして炭水車に接続した。
客車の外装は機関車と同じ黒塗り、内装は雰囲気を出して木造にしてある。
※炭水車:蒸気機関車が使用する燃料や水を積載した車両
「さあ、みなさん。乗ってください。それから警備のイーヴァインさん、ゲラルトさん、オズバルドさんは先頭車両に乗ってください」
そして住民は客車に俺とイーヴァインさんは、機関車側に乗った。
「まずアレンの街との運用が始まったら、あなた達にこの蒸気機関車を運転してほしいのです」
「え、俺達にですか?」
イーヴァインさんが言う。
「あなた達は人族なので、アレンの街に入っても支障はないでしょうし。段々とダークエルフや異種族の人達も一緒に行けば、偏見もなくなるかもしれませんから」
「わ、分かりました。俺達3人に、この黒い悪魔を預けて頂けるなんて光栄です」
「これは黒い悪魔ではなくて、そうですね。C61と名付けましょうか」
「C61ですか?それはどういう意味でしょうか」
「あぁ、それはなんとなくですよ」
本当は車輪を動かすための横棒が3軸だからCだ。
機関車の名前はまず頭は横棒番号だ。
B=2軸、C=3軸、D=4軸、E=5軸となっている。
その次に来るのが機関車タイプだ。
炭と水を積む場所で番号が変わり、機関車に積むと10~49番。
機関車本体とは別に、長距離運転用に炭水車を連結する機関車を50~99番。
C61は横棒が3軸で、炭水車を連結する機関車で61番になる。
これを言うと『だからなに?』と言われそうだが、雰囲気だから。
ちなみにD51は横棒が4軸で、炭水車を連結する機関車が51番だったから、D51と呼ばれたのだ。
車輪を大きくし横棒の本数が少なくすると速度が上がる。
D51の最高速度は85km/h、C61は100km/hだったそうだ。
ね、だからなに?て話でしょ。
て、誰に言っているんだ俺は?
セトラー領から近いのが炭鉱で、鉱山はその倍くらい離れている。
山奥深く入らないとたどり着けない。
だが機関車なら、あっと言う間だ。
「みなさん、見ていてくださいね。走り出しますから」
そう言うと俺は機関車のボイラーに、自動投炭装置で石炭を投げ入れる。
水は炭水車の水タンクから、給水ポンプなどを使ってボイラーへ送る。
これは手動でやらなければならない。
そしてC61は走り出す。
シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉
そして汽笛を鳴らす。
物凄い大きな音が辺りに響く!
「もの凄い音だ」
「は、速い」
「景色が流れていく」
イーヴァインさん、ゲラルトさん、オズバルドさんの反応はそれぞれだ。
そして俺は蒸気機関車は石炭を燃やし、ボイラーの水を温め、その蒸気で走ることを説明した。
その調整をしながら蒸気機関車を走らせる事が、イーヴァインさん達のこれからの仕事になることを話した。
C61で60km/hで走り20分くらいで炭鉱を通り過ぎた。
そして今度は鉱山に向かう。
その間、イーヴァインさん達に機関車の動かし方や止まり方などを教えた。
石炭と水を機関車のボイラーに自動で送る投炭装置を付けているが、念のため機関車を動かすのは最低2人は必要だと言うことを話した。
イーヴァインさん達に機関車を任せ、俺は後ろに接続している炭水車を通り客車に移動した。
客車は横2人の対面式の座席で80人座れるように創ってある。
「エリアス様、凄いですわ。この機関車は」
「えぇ、本当に。こんなに早く走れるなんて」
カロリーナとマリーは驚いているようだ。
彼女達が座っている席に一緒に座りながら、俺は窓の外を見ている。
「いずれはジリヤ国全土に線路を繋げ、王都を含めて8つの州にも駅を作りたいですね。そして安全で楽しい旅行ができるようになるといいね」
「旅行ですか?エリアス様」
「そうだよ、マリー。住む土地を離れて、楽しみを目的として他の土地に旅をする事を旅行て言うんだよ」
「楽しみを目的としてですか、今まで考えたこともありませんでした」
この世界は危険に満ちている。
城壁を出れば野党や魔物が徘徊する世界だ。
生まれた州から1度も出ることもなく生涯を終える人も多いからだ。
「マリーも王都に行ったとき、楽しかったろ?」
「えぇ、見たこともない建物も多くて」
「鉄道が延びれば安全に州と州の間を移動でき、生活に余裕のある人は旅行を、そして仕事を探して他の州に行くこともできるんだ。今まで行ったことがない国でも線路が延びれば簡単にいくことができるんだよ」
「簡単にですか」
「あぁ、そうだよ。そして遠かった国々も、身近になるんだ」
「まあ、エリアス様たら。マリー様とばかりお話をして」
「ごめんよ、カロリーナ。そんなつもりはないんだけど」
ふと横の列の席を見るとカロリーナの侍女のナターシャさんと、ダークエルフのディオさんが同じ席に並んで座っている。
その向かいにはマリーの侍女のサブリナさんが、イケメンなダークエルフと並んで座っている。
これはWデートてやつか?
「エリアス様、乗せて頂くことは出来ないのでしょうか?」
カロリーナが両手を胸の前で組みながらお願いをしてくる。
仕方がない、可愛い奥さんの頼みだ。
「ではみなさんで試運転にいきましょうか」
そう言うと俺は、ストレージから客車を一両だして炭水車に接続した。
客車の外装は機関車と同じ黒塗り、内装は雰囲気を出して木造にしてある。
※炭水車:蒸気機関車が使用する燃料や水を積載した車両
「さあ、みなさん。乗ってください。それから警備のイーヴァインさん、ゲラルトさん、オズバルドさんは先頭車両に乗ってください」
そして住民は客車に俺とイーヴァインさんは、機関車側に乗った。
「まずアレンの街との運用が始まったら、あなた達にこの蒸気機関車を運転してほしいのです」
「え、俺達にですか?」
イーヴァインさんが言う。
「あなた達は人族なので、アレンの街に入っても支障はないでしょうし。段々とダークエルフや異種族の人達も一緒に行けば、偏見もなくなるかもしれませんから」
「わ、分かりました。俺達3人に、この黒い悪魔を預けて頂けるなんて光栄です」
「これは黒い悪魔ではなくて、そうですね。C61と名付けましょうか」
「C61ですか?それはどういう意味でしょうか」
「あぁ、それはなんとなくですよ」
本当は車輪を動かすための横棒が3軸だからCだ。
機関車の名前はまず頭は横棒番号だ。
B=2軸、C=3軸、D=4軸、E=5軸となっている。
その次に来るのが機関車タイプだ。
炭と水を積む場所で番号が変わり、機関車に積むと10~49番。
機関車本体とは別に、長距離運転用に炭水車を連結する機関車を50~99番。
C61は横棒が3軸で、炭水車を連結する機関車で61番になる。
これを言うと『だからなに?』と言われそうだが、雰囲気だから。
ちなみにD51は横棒が4軸で、炭水車を連結する機関車が51番だったから、D51と呼ばれたのだ。
車輪を大きくし横棒の本数が少なくすると速度が上がる。
D51の最高速度は85km/h、C61は100km/hだったそうだ。
ね、だからなに?て話でしょ。
て、誰に言っているんだ俺は?
セトラー領から近いのが炭鉱で、鉱山はその倍くらい離れている。
山奥深く入らないとたどり着けない。
だが機関車なら、あっと言う間だ。
「みなさん、見ていてくださいね。走り出しますから」
そう言うと俺は機関車のボイラーに、自動投炭装置で石炭を投げ入れる。
水は炭水車の水タンクから、給水ポンプなどを使ってボイラーへ送る。
これは手動でやらなければならない。
そしてC61は走り出す。
シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
シュポポポ、シュポポポ、シュポポ、シュポポ、シュポポポ、シュポポ
〈〈〈〈〈〈〈〈 ポワォ~~ン!! 〉〉〉〉〉〉〉〉〉
そして汽笛を鳴らす。
物凄い大きな音が辺りに響く!
「もの凄い音だ」
「は、速い」
「景色が流れていく」
イーヴァインさん、ゲラルトさん、オズバルドさんの反応はそれぞれだ。
そして俺は蒸気機関車は石炭を燃やし、ボイラーの水を温め、その蒸気で走ることを説明した。
その調整をしながら蒸気機関車を走らせる事が、イーヴァインさん達のこれからの仕事になることを話した。
C61で60km/hで走り20分くらいで炭鉱を通り過ぎた。
そして今度は鉱山に向かう。
その間、イーヴァインさん達に機関車の動かし方や止まり方などを教えた。
石炭と水を機関車のボイラーに自動で送る投炭装置を付けているが、念のため機関車を動かすのは最低2人は必要だと言うことを話した。
イーヴァインさん達に機関車を任せ、俺は後ろに接続している炭水車を通り客車に移動した。
客車は横2人の対面式の座席で80人座れるように創ってある。
「エリアス様、凄いですわ。この機関車は」
「えぇ、本当に。こんなに早く走れるなんて」
カロリーナとマリーは驚いているようだ。
彼女達が座っている席に一緒に座りながら、俺は窓の外を見ている。
「いずれはジリヤ国全土に線路を繋げ、王都を含めて8つの州にも駅を作りたいですね。そして安全で楽しい旅行ができるようになるといいね」
「旅行ですか?エリアス様」
「そうだよ、マリー。住む土地を離れて、楽しみを目的として他の土地に旅をする事を旅行て言うんだよ」
「楽しみを目的としてですか、今まで考えたこともありませんでした」
この世界は危険に満ちている。
城壁を出れば野党や魔物が徘徊する世界だ。
生まれた州から1度も出ることもなく生涯を終える人も多いからだ。
「マリーも王都に行ったとき、楽しかったろ?」
「えぇ、見たこともない建物も多くて」
「鉄道が延びれば安全に州と州の間を移動でき、生活に余裕のある人は旅行を、そして仕事を探して他の州に行くこともできるんだ。今まで行ったことがない国でも線路が延びれば簡単にいくことができるんだよ」
「簡単にですか」
「あぁ、そうだよ。そして遠かった国々も、身近になるんだ」
「まあ、エリアス様たら。マリー様とばかりお話をして」
「ごめんよ、カロリーナ。そんなつもりはないんだけど」
ふと横の列の席を見るとカロリーナの侍女のナターシャさんと、ダークエルフのディオさんが同じ席に並んで座っている。
その向かいにはマリーの侍女のサブリナさんが、イケメンなダークエルフと並んで座っている。
これはWデートてやつか?
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