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第13部 蒸気機関車

第101話 黒い悪魔

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  混合農業を始めることになり、まずは田畑を1/4に分けた。
 そしてゴボウ、ニンジン、ダイコンなど根菜こんさい類を植える畑と、大麦を植える畑を決めた。
 
 そして俺は時空間魔法のストレージを使い開墾を始める。

 膝くらいの深さまで土を収納!
 両腕を広げた三倍くらいのところまで横に広げ収納。
 今度はそのまま前に進んで行き10mくらい進み止まる。

 ストレージの中で土を柔らかく砕き、元のところに排出する。
 そしてダークエルフ、鳥人族、警備のアナベルさん達4人で種を植える。

 最近、分かったことがある。
 ストレージ内に種を収納しておけば、排出の際に一緒に種まきもできることだ。
 だが、もしそれをみんなに言ったら、畑仕事は俺1人でやる事になってしまう。
 だから可哀そうだが、みんなにそれは言わず種まきをしてもらっている。
 そうしないと、みんなの存在理由が無くなってしまうからね。
 それだと開拓1人村になるし。

 それからダークエルフ、鳥人族の人達にはアスケルの森に住む、他の亜種族や山小人ドワーフを探してもらえるように頼んでおいた。


 そして俺は蒸気機関車作りに取り組んでいる。
 と、言っても屋敷の自分の部屋に居るんだけどね。

 いくらストレージ内の『創生魔法』で創るからと言っても、集中力は必要だから。

 蒸気機関車はどうやって動くのか?
 それは石炭を燃やしてお湯を沸かし、発生した蒸気で動輪を回すんだ。
 
 蒸気機関車のボディは円筒形をしていて、蒸気を発生させる「ボイラー」という装置になっている。
 ボイラーは石炭をくべる火室かしつという部屋と、水が入ったボイラー胴に分けられている。

 石炭をくべて燃やすと、ボイラー胴の中の水が温められお湯になる。
 お湯が沸くと蒸気が発生する。

 ボイラーで発生した蒸気は、圧縮することで大きな力が生まれる。
 その高温高圧の蒸気が、動輪の前方にあるシリンダーに送られ、その中のピストンを前後に動かす。
 そのピストンの動きが横棒ロッドによって車輪へ伝えられ、回転運動に変わり、車輪を回転しさせ動かす。

 火にかけたお湯が沸くと、蓋がカタカタ動く力を動力にしようと思うなんて、考えた人は凄いと思う。

 機関車本体の後ろに炭水車を接続する。
 石炭と水を機関車のボイラーに送るのが機関助士の仕事だ。
 だがそうすると機関士と機関助士の最低2人いないと、蒸気機関車は動かせない。
 だから炭水車に石炭と水を、機関車のボイラーに自動で送る投炭装置を付けた。

 これで最低運転手1人でも動かせるようになった。

 そして暗くなっても走れるように前照灯ヘッドライトを付けた。

 機関車は蒸気の力で動輪を回して走り、同時に蒸気の力を利用して「タービン発電機」で電気をおこすことができるんだ。
 電気は機関車の前照灯や運転室の照明、機器の電源として使用できる。

 これで後は用途に応じて、鉱物を運ぶ貨物や客車を連結すればいいんだ。
 

 俺は屋敷を出た。
 そしてセトラー領の城壁の中から外に延びている、出発点になる線路にストレージから炭水車を接続した蒸気機関車を出した。

〈〈〈〈〈 ドン!! 〉〉〉〉〉

 なぜか俺は無意識に軽く、ジャンプした。

 そしてその音を聞きつけた住民が集まって来た。
 真っ黒で全長約20m、幅約3m。高さ約4mの蒸気機関車は圧巻だった。
 
 ダークエルフ、鳥人族、警備のアナベルさん達や嫁2人や侍女もやって来た。

「おぉ、これは凄い」
「蒸気機関車て、こんなにデカいのか!」
「これが世界征服をするための黒い悪魔か…」
 誰だ?変なことを言っているのは。

「これだけ厚い鉄板なら、防御力も高そうだ」
 ゴン、ゴン!
 ゲンコツで車体を叩き確認している人も居る。
「物理攻撃だけでなく、魔法攻撃にも耐えれそうですな」

「ほほう、側面の槍は普段は起こしておけるのですな」
 ダークエルフの部族長カーティスさんが、感心したように言う。

 戦闘用に側面に1mの刃が付いており、戦闘時は横に倒し刃を出しながら走ることができる。
「これならオーガくらいなら、簡単に倒せそうですね」
 ダークエルフのリーダー的存在のディオさんが言う。
「ただ残念なのは、線路があるところ以外は走れないという事ですね」
「まったく、その通りです部族長」
「一刻も早く山小人ドワーフを見つけ出し、地上を思うように走れるように改造しなければ」

 あ~、もしもし。
 みなさん、勘違いしてませんか~。
 
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