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第12部 産業革命

第100話 (⋈◍>◡<◍)。✧♡

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 私の名は女神ゼクシー。
 この世界『エニワン』の管理者よ。

 未だに独身貴族よ、女神だけど。

 以前は出会いを求めて合コンをしたり…。
 結婚相談所に入会して高い月謝だけ毎月取られたりしていたわ。

 でも最近は便利な時代になったわね。
 マッチングアプリよ。

 定額制でしかも安い。
 今まで合コンや結婚相談所に費やしていたことが、馬鹿みたいだわ。

 まずは写真、身長、年齢、職業、趣味を登録してと…。
 
 相手を探して「いいね」を送る。
 相手から「いいね」の返信を待つ。
 返信が来たらメッセージで連絡を取る。
 そして気に入ったら実際に会う、と。

 これなら自宅に居ながら、ボサボサ頭でもできるし手軽だから良いわ。

 そしてついに見つけたの。
 理想の人を。
 
 実際に会ったらとても素敵で。
 ちょっと年下の黒髪で角が左右に2本出ているの。
 鬼神なのかしら。

 彼も私に夢中の様子だったわ。
 出会ってからそんなに時間も経っていないのに、彼にプロポーズされたの。

 女神になってから数万年。
 もう寂しい1人の部屋に帰らなくて済む。
 そう思うと私は天にも昇る気持ちで、昇天するかと思ったわ。

 そんなある日、自営業の彼が言うの。
『君と結婚を考えているんだが、会社の仕事で不渡りを出して明日までに500万用意しないと会社が…』
『分かったわ、私が立て替えてあげる』
『す、すまない』
『なにを言っているの。家族になるんだもの、そんなの当り前よ』

『実は母が病気で入院して明日までに…』
『分かったわ、私が立て替えてあげる』

『実は…で、明日までに…』
『分かったわ』
『分かったわ』
『分かったわ』
『分かったわ』
『分かったわ』
『分かったわ』

 その『分かったわ』が何度、あったことだろう。
 お金を立て替える度に、金額が上がっていく。

 そして最後の頃には会うことは無く、Lineで言ってくる。
 その度に私は彼の口座へ振り込みを。
 
 遂に数万年かけて、貯めた貯蓄もなくなってしまい…。
 Lineでそのことを彼に伝えると、連絡が来なくなった。

 電話をしても出なくなり、最後には「この電話は現在使われて…」
 住んでいたマンションも引き払われていて…。

 私は泣いた。
 三日三晩、泣き続け大地は大雨が降り続けた。

 私は彼の名を呼んだ。

『『『 ど、どうしてなの、サタン様~!! 』』』

 この結婚詐欺事件以来、神と悪魔は敵対するようになったとか、ならないとか…。

  *    *    *    *    *

 『エニワン』世界のどこかにある、どこかの国の話。
 ここ数年、雨が降らず昨年は大飢饉でたくさの死者が出た。
 今年も雨が降らなければ、またたくさんの死者や疫病が…。

 そんな時だった。
 空から大粒の雨が降り出した。
 恵みの雨だ。
 人々は喜んだ。
 
 雨は三日三晩、降り続いた。
 そして干上がっていた河の水位が上がり、ひび割れていた田畑にも雨が浸み込む。
 
 人々は女神ゼクシーに感謝の祈りを捧げた。


 だが雨が上がり田植えが終わり、収穫を待つ時期になり人々は絶望した。

 なぜなら降った雨には塩分が含まれており、田畑が駄目になってしまったからだ。
 岩塩レベルの塩なら、塩を売って生計をたてられたが中途半端な含有量だった。
 なんて迷惑な。

 そして人々は土地を捨てなければならなくなった。

 数年経っても土地の塩素は抜けず、草木も生えない死の砂漠となった。






 涙はその時の感情によって、塩分濃度が変わる。
 特に悔しさや怒りの涙は塩分が多くなり塩辛くなるそうだ。
 

 だめじゃん。

 そしてゼクシーは、更にうらぶれ心の闇は深くなる…。
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