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第12部 産業革命

第99話 混合農業

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 機関車を作ったり、無理ならばせめて整備が出来る人が欲しい。
 ダークエルフの部族長カーティスさんが言う。
「それなら、うってつけの種族が居ます。山小人ドワーフです」

 ドワーフて本当にいるんだ。
「どこら辺に住んでいるのか知っていますか?」
「いいえ、そこまでは。ただ多くの亜種族はこの広い、アスケルの森に住んでいるはずです。隠れるには丁度いい森ですから」
「分かりました。一段落したら他の亜種族含めて探してみましょうか。そうだカーティスさん。これを使ってみてもらえませんか」
 俺はストレージ内で『創生魔法』で創った鉄製のやじりが100本入った袋を出した。
「これは」
「鉄に鋼をまぜて創った鏃です。鉱物や石炭が普及すれば、そんな感じのものがこれから増えますから、使ってみてください」
「はい、ではありがたく使わせて頂きます」


「それから農業についてです。これからは混合農業をやろうと思います」
「混合農業と言いますと」
「はい、土地を4つに分け家畜の飼育を組合わせます」

 俺はみんなにも分かる様に混合農業について話した。
 混合農業とは作物と家畜の飼育の両方を行う農業だ。
 色々な作物を混合して生産するので、混合農業というわけだ。


 夏に大麦を栽培し秋に収穫する農地。
 クローバーなどの牧草を栽培し、牛・豚など家畜用地。
 冬に小麦を栽培し春に収穫する農地。
 カブなどの根菜類を栽培する農地の4つに分ける。

 その分けた4つの畑で1年ごとに、冬に小麦栽培⇒根菜類栽培⇒夏に大麦栽培⇒牧草栽培とローテーションしていく。

      農地1      農地2   農地3    農地4
 1年目 冬は小麦   根菜類  夏は大麦  牧草
               

      農地1      農地2   農地3    農地4
 2年目    牧草     冬は小麦   根菜類  夏は大麦
                 

      農地1      農地2   農地3    農地4
 3年目  夏は大麦      牧草    冬は小麦   根菜類
                     

      農地1      農地2   農地3    農地4
 4年目  根菜類    夏は大麦   牧草   冬は小麦
 

 この4つを交代で繰り返していく。

 1つの土地を見ると今年は夏に大麦を栽培、来年は根菜類を栽培、その翌年は冬に小麦を栽培、さらに翌年にはクローバーなどマメ科の植物を牧草として栽培する。

 でも農地を休ませないと、土地が持っている作物を育てる能力が回復しない。
 麦は麦、カブはカブが育つのに必要なそれぞれ特定の栄養素がある。
 だから同じ土地でずっと同じ作物を育てていると、特定の栄養素だけどんどん吸収され土壌から消えてしまう。

 するとその作物は育ちが悪くなり、収穫量が減ってしまう。
 牧草、根菜など異なる作物を育てることで、作物を育てる力の低下を防止することがでるのだ。
 
 根菜類は土壌を深く耕す役割があり土壌を改善してくれる。
 クローバーなどマメ科の牧草は、空気中の窒素を栄養分として土壌に取り込んでくれる性質がある。
 更に牧草の農地に家畜を放牧し、家畜が落とす糞尿が土地を回復させてくれる。
 土地を休ませなくなることで、生産するものが増えることを話した。

 そして土壌中にある部分を食用できる、根菜こんさい類も多数ある。
 ゴボウ、ニンジン、ダイコン、カブ、サツマイモ、ジャガイモ、タマネギなどだ。
 これだけで、食べていけそうだ。


 今まで家畜は牛がオス2頭、メス3頭だけだった。
 だが昨年、メス3頭が子供を産み3頭が生まれた。
 これからはこれを機に家畜も育てようと思った。

 そして家畜と言えば豚だ。
 だがこの世界には豚は居ない。
 豚は猪を家畜化したものだ。
 この世界では家畜という概念がなく、肉は魔獣を森に狩りに行くと言う考え方だ。
 まずは猪を捕まえてくることから始めようか。

 養鶏場のラプタ(卵を産む鳥)も、鳥人族の人たちが森に探しに行ってくれた。
 今ではオスメス合わせて70匹くらいになっていた。
 肉にするなら1年で良いが、卵を取るから後2年はかかるかな。

 そして果実園を作りブドウやリンゴなど果物もたくさん採れていた。
 ワイン造りを始める頃かもしれないな。

「この農法を行えば今までに比べ、根菜類が1年中収穫できるので収穫量は今までの1.5倍にはなると思いますよ」
「1.5倍ですと!」
「それに農地を1/4にするので、一回の農作業も今までより少なくなり楽になります」
「そうなりますな」
「ただ1年を通して農作業をしていることになります。その反面、凶作の時にも
1つの穀物に頼っていないので、乗り越えやすいと思いますが」
「おぉ、それは凄いですな。エリアス様は、いったどこでそのような知識を」
「カーティスさん、それは言えません」
「はあ、そうでしたな。これは失礼いたしました」

 いつの間にか開墾と収穫作業はストレージで、俺がやるようになっていた。
 他の人がやることは苗を植えるだけだ。
 それでも大変だろうけど、30人にも満たない人数でやっいるとは思えない収穫量になる。
 その1.5倍だ。
 
 そうなったら俺達の食べる分は残し、その半分はストレージに仕舞い、残りは売ることにしよう。
 いつ飢饉や災害があるかもしれない。
 それに一つ間違うと共存共栄ではなく、他の州を敵に回すかもしれない。
 俺のやろうとしていることは、そう言う事だと思う。

 目立つけれど、みんなで仲良くやって行こうね!て事業にしたい。
 
「ではこれで解散です、ありがとうございました」
 俺はセトラー領まで線路を引き、疲れたので部屋に戻った。



「おい、エリアス様の言おうとしている事が分かったか?」
「う~ん。良く分からなかったけど」

「ごめんなさい、みなさん」
「カロリーナ奥様」
「エリアス様は常に私たち凡人には理解できないことを、考えていらっしゃいます。ですから今回の事を私が変わってお話いたします」

 そう言って一息つき、話始める。

「エリアス様は鉱山でお金を儲け人を呼び、雇用率を上げ鉱山関係者を増やせばセトラー領は不動のものとなる。そしていずれは各州にも線路を伸ばし、世界物流をこの手に掴み、取り仕切ると言われているのです」

「ど、どう言うことでしょうか?」

「「「エリアス様に雇われれば、給料がたくさんもらえ飢える事のない良い暮らしができ、他では勤められなくなるという事です。そしてたくさんの従業員を雇うという事は、エリアス商会に生活面で依存する人達が増えるという事です。たくさん雇えば雇うほど支配下に置く人が増え、逆らう人は少なくなります」」」

「そ、そんな壮大な計画をお考えなのですか」

「「「このジオラマを見てください。エリアス商会の文字と大きな鷹が世界を脚で掴み、翼を広げているロゴを。莫大なお金を裏で動かし、経済を陰から支配すると言う意味です」」」

「そ、そんな深い意味がそのロゴに」

「「「さあ、みなさん。さいは投げられました。この蒸気機関車という黒い悪魔を使い、世界征服に向けて力を合わせ頑張りましょう!」」」

〈〈〈〈〈 オォ~~!! 〉〉〉〉〉
  (   イィ~~!!   )

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 最後の(イィ~~!!)は、特定の年齢層の人へ向けたネタです。
 分からない方は、御免なさい。スルーでお願いいたします。

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