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第12部 産業革命

第98話 今後

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 俺はアレンの街を出て線路を引いた城門から、セトラー領へ線路を引きながら向かっている。

 手を前にかざし歩く速度に合わせ、目の前の土を収容する。
 排出時にストレージ内で創っておいた、枕木とレールを組み込み歩きながら線路を引いていく。
 やや速足くらいの速さで、線路を引いて走る。

 アレン街道をどんどん進む。
 セトラー街道に交わる道に着けば、そこからはセトラー領まで線路を引いてあるのであと少しだ。

 セトラー街道に交わる道に着き、途中まで引いてあった線路に繋げた。
 そしてアスケルの森の中にある鉱山と炭鉱まで更に線路を引き、セトラー領で分岐器を付け進路変更をできるようにした。

 これで完成。
 それから俺はストレージから自転車を出し、セトラー領まで戻った。


「お帰りエリアス」
 城門に差し掛かると、空からシビルさんが迎えてくれた。
「ただいま、シビルさん」
 俺は門の中に入った。
 
 ダークエルフ子供たちが大人を連れて遊んでいる。 
「ローザお姉ちゃん、エリアス様が帰って来たよ。良かったね」
「まあ、この子ったら」
 そんな会話が聞こえる。

 顔くらいしかダークエルフの人達は知らないからな。
 それでも俺が帰って来たことを喜んでくれるのか。
 嬉しいな。

「シビルさん。悪いけどみんなを、ホールに集めてもらえないか」
「分かったわ、エリアス。待っててね」
 なぜかシビルさんの顔がいつもと違い、はにかんでいるような気がする。
 気のせいか?

 俺は屋敷の中に入り、3階に上がった。
 すると部屋のドアが開き、カロリーナの侍女のナターシャさんが出てきた。
「これはエリアス様、おかえりなさいませ。お迎えにも上がらず申し訳ありません」
「いいんですよ。屋敷には人が居ませんから。私が戻っても知らせに来てくれる人がいませんからね」
 話し声が聞こえたのかカロリーナ、マリー、侍女のサブリナさんが部屋から出てきた。
「お帰りなさいませ、エリアス様」
「ただいまカロリーナ、マリー。体調はどうだい」
「ええ、だいぶ落ち着いてきましたわ」
「私もです」
「それは良かったね」
 カロリーナがつわりが酷く、それんも落ち着いてきたようだ。
 良かった。

「1階のホールに住人に集まってもらうんだ。みんなも来てほしい」
「えぇ、勿論ですとも」


 そしてホールに住民が集まった。
「みなさん、今後の方針をお話しします。まずは…」
 俺はアスケル山脈の麓で炭鉱と鉱山を見つけたことを話した。
 炭鉱から採れる石炭は高温で燃える石で、鉱物を高温で溶かし純度の高い鉄が出来ることを話した。
「アナベルさんが持っているような剣が作れる、てことですか?」
「えぇ、そうです。イーヴァインさん」
「ならほしい、絶対にほしい」
 警備隊のイーヴァインさんが食いついてきた。
 アナベルさんが持っているツヴァイヘンダーは、俺が『創生魔法』で創った純度99.9%の鉄と鋼を混ぜて作った剣だ。
 その剣が作れるようになるかもしれないのだ。

 そう言えば前から警備隊のイーヴァインさん、ゲラルトさん、オズバルドさんは、俺が作る剣が欲しいと言っていたな。
 そろそろ創ってあげようかな。

俺はストレージから、セトラー領とアレン領のジオラマを出した。
そして線路を引き蒸気機関車で山から鉱物や石炭を積み、アレンの街まで運びエリアス商会で売り捌くことを話した。

「これが蒸気機関車ですか、物々しい装備ですな」
 ダークエルフの部族長カーティスさんが言った。
 確かに車体が真っ黒で、真横に槍の刃を出しながら走るんだからね。
 そして車体の側面には大きな鷹が世界を脚で掴み、翼を広げているエリアス商会のロゴが描かれている。
 実物を見たら圧巻だろうな。

 でもそれをやっても我がセトラー領は、あまり変わらないことを話した。
「ではなぜやられるのでしょうか、エリアス様」
 ダークエルフのリーダー格、ディオさんが聞いてきた。
「それはこのセトラー領を存続させるためです」
「それは、どう言うことでしょうか」
「このセトラーは領と言っても人口は村以下です。これから増えるかも分からない。そしてこんな辺鄙なところでは人も来たがりません」
 そこで一息ついた。
「でもここに鉱山ができれば、たくさんお金が働き、大勢の人が働きに来ます。そして鉱山関係や鉱物を加工して生活する人が多くなれば、このセトラー領の価値が上がります」
 機動力に付いても話した。
 歩きで5時間かかるセトラー領とアレン領を、蒸気機関車なら10tの重さの荷物を15分で運べることを話した。
 その機動力を生かし、いずれは各州にも鉄道を繋げ物流を広げる。
 今までなら鮮度が持たないものでも、短時間で運べるなら鮮度が落ちない。
 その蒸気機関車を走らす為には、石炭が必要になることを話した。

 だが俺が居ないと何もできないのでは困る。
 俺の代りに機関車を作ったり、無理ならばせめて整備が出来る人が欲しい事をいった。
 部族長カーティスさんが言う。
「それなら、うってつけの種族が居ます。山小人ドワーフです」

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