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第12部 産業革命

第87話 鉱山と炭鉱

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 待ちに待った春が来た。
 
 俺は開墾をしている。
 正確にはストレージを使ってだが。

 膝くらいの深さまで土を収納!
 両腕を広げた三倍くらいのところまで横に広げ収納。
 今度はそのまま前に進んで行き10mくらい進み止まる。

 ストレージの中で土を柔らかく砕き、元のところに排出する。
 これを繰り返す。

 これが俺流の開墾だ。

 そして俺とダークエルフのみんなで綿の種を植えた。

 これで秋頃、綿が収穫できるはずだ。

 しかし俺がやってるからいいけど、居なくなったらくわすきを使って開墾をみんなしようと思うのかな?
 畑仕事用にムッカ(牛もどき)を飼っているけど、放牧しているだけだし。
 もう牛で良いか。


 そしてもう1つ。
 炭鉱が見つかった。

 ここセトラー領はアスケル山脈の麓の森の中にある。
 アスケル山脈はとても険しく隣接している他国とは攻められることも、攻めることもできないくらい厳しい山脈だ。
 そのため、山脈には貴重な資源が眠っている半面、森の奥に行けば行くほどレベルの高い凶暴な大型魔獣がたくさんいるのが現状だ。
 
 そして鉱山物質を探してアスケルの森を歩いていた時に、鑑定スキルを広範囲に使い見つけることができた。

 炭鉱から取れる石炭があれば木炭よりも高温になり、不純物の少ない鉄ができる。
 木炭の温度は約1000℃ぐらいだ。
 鉄が融解する温度は1500℃だから、どうしても不純物が多くが入り脆い。
 それに木炭のみに頼ると木々が、いずれはなくなってしまう。
 最初から石炭があれば、元から高温になるから製造が楽になる。

 
 だが石炭に含まれる硫黄分が鉄を脆くする作用がある。
 それを解消するためにコークスという方法を使う。
 石炭を約1000℃~1300℃の高温で加熱し乾かす。
 すると硫黄やアンモニアなどの不純物が抜け、発熱の大きい燃料になる。

 それだけではなくお風呂を沸かしたり、ストーブを焚いたりもできる。
 そして鉄の加工がしやすくなれば、色んな物が作れるようになる。


 ただ石炭だけあっても、加工できるかんじんの鉱物がないと。

 これだけの山脈だ。
 どこかにきっとあるはずだ。
 そして俺は何日も捜しやっと見つけたんだ。
 鉄、銀、銅、鉛を含んだ鉱山だ。

 これで好きな物が作れる。

 俺は毎日、炭鉱と鉱山を行き来し、ストレージに収納していった。

 そしてストレージ内で鉱物を分離し『創生魔法』でバスターソードを5本創った。
 純度99.9%の鉄と炭素を混ぜて創った剣はとても輝いて奇麗だった。


 俺はこう考えた。
 まずは鍛冶ギルドに売り込むんだ。
 石炭を使えば高温になり、鉱物が加工しやすくなる。
 の入ってない奇麗な剣ができるなら、石炭を欲しがるだろう。
 そしてコークスの製法の情報も合わせて売る。

 鉱物、石炭は俺がアスケルの鉱山より掘り出し流通させる。
 鉱物は今より流通量が多くなり価格は暴落するが、元手は掛かってない。

 俺が目指すのは製鉄技術の向上、産業機械の発明と発展だからだ。
 その結果、鉱工業に従事する労働者の数が大幅に増え雇用促進に繋がる。
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