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第11部 セトラーの街

第84話 部屋割り

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 アレンの街を出て人力車を止めた。

 ここら辺でいいかな?

 目の前の樹林や土を、ストレージに収容し道を作っていく。
 道幅は馬車が二台通れて、なおかつ人が左右に一人立てるくらいの幅だ。
 この作業をセトラー領の脇道までやればいいんだ。

「凄いですわ。エリアス様」
「こんなことが出来るなんて!」

 カロリーナとマリーが驚いている。
 侍女のナターシャさんとサブリナさんも同じだ。

 そして片手で作業をしながら人力車を進めていく。
 
 2時間くらいでセトラー領に入る脇道まで整地が終わった。
 脇道からセトラー領までは、開拓の時にすでに整地されている。
 ここからはスピードを上げていくか。

 
「きゃ~、エリアス様」
「う~ん。気持ちいい風」
 カロリーナは怖がりマリーは楽しんでいる。
 スピードを上げると言っても、出ているのは20kmぐらいだと思う。
 それでも未知の体験なのかもしれないな。

 しばらく走っていると丸太で組まれた、高さ10mくらいの壁が見えてきた。
 セトラーの街だ。
 街といっても名前だけで村レベルだが。

 門に着いた。
「あ、エリアスだ。お帰り~、今開けるね」
 見上げると鳥人族のシビルさんがいた。

 待っていると門が開きそこには、シビルさんとアナベルさんがいた。
「エリアスお帰り。無事に帰ってきて嬉しいよ」
「ただいま、アナベルさん」
 アナベルさんはとても喜んでくれた。
 この世界は旅に出たら、無事に帰って来れない事もあるからだ。

 俺も後ろにはカロリーナとマリー。
 そして侍女のナターシャさんとサブリナさんがいる。

「エリアス、その後ろの女の人は誰?」
「あぁ、シビルさん。実は色々あって王都で結婚したんだ、俺」

「「「 えっ~!! 」」」

 2人共、驚いている。
 それはそうだ。
 王都に呼ばれて行って戻ってきたら、嫁が付いてくるなんて。
 どんなお土産だ?

 アナベルさんなんて目を見開いて固まっている。
 それ程の事だったのかな?
 
(結婚だなんて。しかも自分の母親と言ってもいいくらいの年齢の、子持ちの女の人を2人も…。エリアスは熟女好みだったなんて)

「初めまして、奥様方。この村で警備をやっております、アナベルと言います」
「あの~、アナベルさん。違いますよ。今、挨拶をしているのは侍女の方達ですよ」
「侍女の方達??」
「妻はここにいるカロリーナとマリーで、挨拶したのはその2人の侍女の方達です」
「まあ、てっきりエリアスは熟…で、子…で母親位の…が好きなのかと。ボソ」
「えっ?何を言ってるんですか?」
 よく聞こえないよ。

「みんなをホールに集めてもらえませんか?紹介したいので」
「私が行ってくるわ。その方が早いから」
 鳥人族のシビルさんがそう言うと、みんなを呼びに飛んで行った。


 屋敷に着くとみんな驚いていた。
 三階建ての西洋館。
 正面を入ると中は大きな階段があり、左右はフロアに。
 一階はホール、大階段、食堂、客間、台所、洗濯場、風呂場。
 二階、三階は部屋と書斎。
 地下には貯蔵庫。

 トイレは水洗、台所には魔道コンロ。
 一階のお風呂場、台所や洗濯場、各階にある洗面所にも水道の蛇口が付いている。
 蛇口は混合栓にし『水』と『火』 の魔石を入れ、お湯が出るようになっている。
 照明は全て魔道具で『ライト』の魔法を付与されている。
 そして屋敷の魔道具の魔力は屋根に『魔素吸収パネル』を設置し、大気中にある魔素を吸収していることを説明。
 氷と風の術式を付与し冷蔵庫もある事を話したら、みんな声も出なくなっていた。
 
「す、凄いですわ。こんな豪華な設備は、王都でも見たことがありません」
「さすがエリアス様。ここまでの物を創れるなんて素晴らしいわ」
 カロリーナとマリーや侍女の人達も大絶賛だ。

「それから毎日、お風呂に入って奇麗にしてくださいね」
「毎日お風呂に入れるのですか」
「はい、衛生面でちゃんとしないと病気になりますから」
 この世界では細菌の概念がない。
 地球でも3秒間なら、落としても大丈夫と言うルールはあったが。

「侍女の方も入ってくださいね」
「あの、私達も入れるのですか?」
「もちろんです。この街の住人はみんな毎日、入浴していますから」
 侍女の2人も喜んでくれた。

 それから3階に上り4人の部屋割りを決めた。
 俺の部屋の両側がカロリーナとマリー。
 その真向いが侍女のナターシャさんとサブリナさん達だ。
 ちなみにアナベルさんの部屋は俺の部屋から2つ離れたところだと言ったら、カロリーナとマリーは顔を見合わせていた。
「今まで3階はエリアス様とアナベルさんの、2人だけだったのですか?」
「あぁ、そうだけどなにか?」
「いいえ、なんでもありませんわ」
 そしてカロリーナとマリーが、うなずき合っていた。
 なんだ?
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