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第10部 結婚
第80話 キックボード
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俺とアルバンさんの2人は、エリアス商会を出て大聖堂に向かった。
今度来た時に分かるように、社員証を俺の分も作っておくように言った。
参拝者も多く、エリアス商会の関係者だと分かるように作ったそうだ。
毎回あれでは疲れる。
大聖堂に行くとすっかりリフォームされ綺麗になっていた。
歴史を感じる建物だ。
そして窓のステンドグラスがとても綺麗だ。
「まぁ、アルバン様。どんな御用でしょうか」
顔見知りなのかシスターが話しかけてきた。
「はい、大司教ヨハネス様にエリアス様がお見えですとお伝えください」
「エリアス様ですね、お待ちください」
シスターは一旦下がる。
しばらくすると早歩きで、誰から急いで歩いてくる足音が聞こえた。
「エ、エリアス様」
はあ、はあ、はあ、息を切らしている。
これが可愛い子なら嬉しいが。
男では。
大司教ヨハネス、55歳、やや小太り。
痩せろ!そう俺は思った。
「ヨハネス大司教様。突然お伺いして申し訳ありません」
「王都からはいつお戻りに」
「本日、昼頃です」
「あぁ、戻ってこられたばかりで、このヨハネスに会いに来て頂けるとは光栄です」
違います。なにを言っているんだ、このおっさんは?
「さあ、こちらにどうぞ」
俺達は客室に通された。
「早速ですが今日伺ったのは、働く人を増やしたいのです」
「ほう、さらに人を増やしたいと、おっしゃるのですかな」
「そうです。ヨハネス大司教様」
「ヨハネスで構いませんよ」
おっさんを呼び捨てかい!
「ではヨハネス様。『味元』、『醤油』、『ソース』をここで作ろうと思っています。ただ『醤油』、『ソース』に関しては製品になるのに2~3年は掛かかり、働く側も熟練度が必要になります。そのため、真面目で持久力がある人を派遣してほしいのですが」
「真面目で持久力ですか」
「はい、それと提案があります。教会からの派遣雇用が3年経過した場合、勤務評価により直接、社員として雇いましょう。そうする事により働く側も目標ができ、真面目に働くでしょうから」
「社員雇用ですか」
「その場合は教会にも、給与の3ヵ月分くらいの寄付は致しますから」
「ありがとうございます。至急探します」
「ただ守って頂く事があります」
「どんな事でしょうか?」
「『味元』、『醤油』、『ソース』の作り方は『マヨネーズ』と同じように社外秘になります」
「もちろんです。このシャルエル教で、エリアス様を裏切るようなことがあれば、両手両足の爪を剥ぎ足の腱を切りその都度、回復魔法で直し、また爪を剥ぎ…」
イヒヒヒヒヒ!!
こ、怖いよ~!
「定期的に商会に来ますので、その時に製造方法を教えますから」
「な、なんと。エリアス様、手ずから教えて頂けるのですか。それなら私が…」
ジィ~~~!!
何を馬鹿なことを。
「俺が教えるまでの間は『マヨネーズ』製造を手伝ってもらえば良いですから」
「分かりました。エリアス様」
「それから構内が広すぎます。歩くのも大変ですから、こんなのはどうでしょう?」
俺はそう言いながら『創生魔法』を使いストレージ内で、余った鉱物を使いあるものを創った。
それをストレージから出して見せた。
T字のハンドルの下に板状の足を載せる場所があり、前後に小さい車輪がある。
「エリアス会長、これはなんでしょうか?」
「これはキックボードと言う物ですよ。アルバンさん」
「キックボード?」
「はい、では使ってみますね」
俺はハンドルを握りキックボードに片足を載せ、もう片方の足で漕ぎ出す。
そしてブレーキが無いので、止まる時には降りれば止まれることを話した。
急に止まらなければいけない様な、使い方はしていけないことも説明しておいた。
「ほう、これは良いですね。後ろに荷台を付ければ配達もできそうです」
デリバリーか?
「シャルエル製鉄所でこれを創ってください。今までは俺が作っていましたが、頻繁に来れませんから」
「私にお任せください。すぐに適任者を探しますから」
「助かります、ヨハネス様」
「そしてその他にリヤカー、鍬や鋤、※千歯も、ここでお願いします」
「ありがとうございますエリアス様、これで信徒さんの仕事が出来ます。さっそく作業場を用意しませんと」
仕事請負業に人材派遣をしている教会か?
ある意味、凄いな。
ここまで来たんだ、参拝していこうかな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※千歯。
木製の台に櫛状の歯を取付けて、その歯の間に稲や麦の束を通し、稲穂からモミの部分をしごき落とす農具。
今度来た時に分かるように、社員証を俺の分も作っておくように言った。
参拝者も多く、エリアス商会の関係者だと分かるように作ったそうだ。
毎回あれでは疲れる。
大聖堂に行くとすっかりリフォームされ綺麗になっていた。
歴史を感じる建物だ。
そして窓のステンドグラスがとても綺麗だ。
「まぁ、アルバン様。どんな御用でしょうか」
顔見知りなのかシスターが話しかけてきた。
「はい、大司教ヨハネス様にエリアス様がお見えですとお伝えください」
「エリアス様ですね、お待ちください」
シスターは一旦下がる。
しばらくすると早歩きで、誰から急いで歩いてくる足音が聞こえた。
「エ、エリアス様」
はあ、はあ、はあ、息を切らしている。
これが可愛い子なら嬉しいが。
男では。
大司教ヨハネス、55歳、やや小太り。
痩せろ!そう俺は思った。
「ヨハネス大司教様。突然お伺いして申し訳ありません」
「王都からはいつお戻りに」
「本日、昼頃です」
「あぁ、戻ってこられたばかりで、このヨハネスに会いに来て頂けるとは光栄です」
違います。なにを言っているんだ、このおっさんは?
「さあ、こちらにどうぞ」
俺達は客室に通された。
「早速ですが今日伺ったのは、働く人を増やしたいのです」
「ほう、さらに人を増やしたいと、おっしゃるのですかな」
「そうです。ヨハネス大司教様」
「ヨハネスで構いませんよ」
おっさんを呼び捨てかい!
「ではヨハネス様。『味元』、『醤油』、『ソース』をここで作ろうと思っています。ただ『醤油』、『ソース』に関しては製品になるのに2~3年は掛かかり、働く側も熟練度が必要になります。そのため、真面目で持久力がある人を派遣してほしいのですが」
「真面目で持久力ですか」
「はい、それと提案があります。教会からの派遣雇用が3年経過した場合、勤務評価により直接、社員として雇いましょう。そうする事により働く側も目標ができ、真面目に働くでしょうから」
「社員雇用ですか」
「その場合は教会にも、給与の3ヵ月分くらいの寄付は致しますから」
「ありがとうございます。至急探します」
「ただ守って頂く事があります」
「どんな事でしょうか?」
「『味元』、『醤油』、『ソース』の作り方は『マヨネーズ』と同じように社外秘になります」
「もちろんです。このシャルエル教で、エリアス様を裏切るようなことがあれば、両手両足の爪を剥ぎ足の腱を切りその都度、回復魔法で直し、また爪を剥ぎ…」
イヒヒヒヒヒ!!
こ、怖いよ~!
「定期的に商会に来ますので、その時に製造方法を教えますから」
「な、なんと。エリアス様、手ずから教えて頂けるのですか。それなら私が…」
ジィ~~~!!
何を馬鹿なことを。
「俺が教えるまでの間は『マヨネーズ』製造を手伝ってもらえば良いですから」
「分かりました。エリアス様」
「それから構内が広すぎます。歩くのも大変ですから、こんなのはどうでしょう?」
俺はそう言いながら『創生魔法』を使いストレージ内で、余った鉱物を使いあるものを創った。
それをストレージから出して見せた。
T字のハンドルの下に板状の足を載せる場所があり、前後に小さい車輪がある。
「エリアス会長、これはなんでしょうか?」
「これはキックボードと言う物ですよ。アルバンさん」
「キックボード?」
「はい、では使ってみますね」
俺はハンドルを握りキックボードに片足を載せ、もう片方の足で漕ぎ出す。
そしてブレーキが無いので、止まる時には降りれば止まれることを話した。
急に止まらなければいけない様な、使い方はしていけないことも説明しておいた。
「ほう、これは良いですね。後ろに荷台を付ければ配達もできそうです」
デリバリーか?
「シャルエル製鉄所でこれを創ってください。今までは俺が作っていましたが、頻繁に来れませんから」
「私にお任せください。すぐに適任者を探しますから」
「助かります、ヨハネス様」
「そしてその他にリヤカー、鍬や鋤、※千歯も、ここでお願いします」
「ありがとうございますエリアス様、これで信徒さんの仕事が出来ます。さっそく作業場を用意しませんと」
仕事請負業に人材派遣をしている教会か?
ある意味、凄いな。
ここまで来たんだ、参拝していこうかな。
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※千歯。
木製の台に櫛状の歯を取付けて、その歯の間に稲や麦の束を通し、稲穂からモミの部分をしごき落とす農具。
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