80 / 128
第10部 結婚
第80話 キックボード
しおりを挟む
俺とアルバンさんの2人は、エリアス商会を出て大聖堂に向かった。
今度来た時に分かるように、社員証を俺の分も作っておくように言った。
参拝者も多く、エリアス商会の関係者だと分かるように作ったそうだ。
毎回あれでは疲れる。
大聖堂に行くとすっかりリフォームされ綺麗になっていた。
歴史を感じる建物だ。
そして窓のステンドグラスがとても綺麗だ。
「まぁ、アルバン様。どんな御用でしょうか」
顔見知りなのかシスターが話しかけてきた。
「はい、大司教ヨハネス様にエリアス様がお見えですとお伝えください」
「エリアス様ですね、お待ちください」
シスターは一旦下がる。
しばらくすると早歩きで、誰から急いで歩いてくる足音が聞こえた。
「エ、エリアス様」
はあ、はあ、はあ、息を切らしている。
これが可愛い子なら嬉しいが。
男では。
大司教ヨハネス、55歳、やや小太り。
痩せろ!そう俺は思った。
「ヨハネス大司教様。突然お伺いして申し訳ありません」
「王都からはいつお戻りに」
「本日、昼頃です」
「あぁ、戻ってこられたばかりで、このヨハネスに会いに来て頂けるとは光栄です」
違います。なにを言っているんだ、このおっさんは?
「さあ、こちらにどうぞ」
俺達は客室に通された。
「早速ですが今日伺ったのは、働く人を増やしたいのです」
「ほう、さらに人を増やしたいと、おっしゃるのですかな」
「そうです。ヨハネス大司教様」
「ヨハネスで構いませんよ」
おっさんを呼び捨てかい!
「ではヨハネス様。『味元』、『醤油』、『ソース』をここで作ろうと思っています。ただ『醤油』、『ソース』に関しては製品になるのに2~3年は掛かかり、働く側も熟練度が必要になります。そのため、真面目で持久力がある人を派遣してほしいのですが」
「真面目で持久力ですか」
「はい、それと提案があります。教会からの派遣雇用が3年経過した場合、勤務評価により直接、社員として雇いましょう。そうする事により働く側も目標ができ、真面目に働くでしょうから」
「社員雇用ですか」
「その場合は教会にも、給与の3ヵ月分くらいの寄付は致しますから」
「ありがとうございます。至急探します」
「ただ守って頂く事があります」
「どんな事でしょうか?」
「『味元』、『醤油』、『ソース』の作り方は『マヨネーズ』と同じように社外秘になります」
「もちろんです。このシャルエル教で、エリアス様を裏切るようなことがあれば、両手両足の爪を剥ぎ足の腱を切りその都度、回復魔法で直し、また爪を剥ぎ…」
イヒヒヒヒヒ!!
こ、怖いよ~!
「定期的に商会に来ますので、その時に製造方法を教えますから」
「な、なんと。エリアス様、手ずから教えて頂けるのですか。それなら私が…」
ジィ~~~!!
何を馬鹿なことを。
「俺が教えるまでの間は『マヨネーズ』製造を手伝ってもらえば良いですから」
「分かりました。エリアス様」
「それから構内が広すぎます。歩くのも大変ですから、こんなのはどうでしょう?」
俺はそう言いながら『創生魔法』を使いストレージ内で、余った鉱物を使いあるものを創った。
それをストレージから出して見せた。
T字のハンドルの下に板状の足を載せる場所があり、前後に小さい車輪がある。
「エリアス会長、これはなんでしょうか?」
「これはキックボードと言う物ですよ。アルバンさん」
「キックボード?」
「はい、では使ってみますね」
俺はハンドルを握りキックボードに片足を載せ、もう片方の足で漕ぎ出す。
そしてブレーキが無いので、止まる時には降りれば止まれることを話した。
急に止まらなければいけない様な、使い方はしていけないことも説明しておいた。
「ほう、これは良いですね。後ろに荷台を付ければ配達もできそうです」
デリバリーか?
「シャルエル製鉄所でこれを創ってください。今までは俺が作っていましたが、頻繁に来れませんから」
「私にお任せください。すぐに適任者を探しますから」
「助かります、ヨハネス様」
「そしてその他にリヤカー、鍬や鋤、※千歯も、ここでお願いします」
「ありがとうございますエリアス様、これで信徒さんの仕事が出来ます。さっそく作業場を用意しませんと」
仕事請負業に人材派遣をしている教会か?
ある意味、凄いな。
ここまで来たんだ、参拝していこうかな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※千歯。
木製の台に櫛状の歯を取付けて、その歯の間に稲や麦の束を通し、稲穂からモミの部分をしごき落とす農具。
今度来た時に分かるように、社員証を俺の分も作っておくように言った。
参拝者も多く、エリアス商会の関係者だと分かるように作ったそうだ。
毎回あれでは疲れる。
大聖堂に行くとすっかりリフォームされ綺麗になっていた。
歴史を感じる建物だ。
そして窓のステンドグラスがとても綺麗だ。
「まぁ、アルバン様。どんな御用でしょうか」
顔見知りなのかシスターが話しかけてきた。
「はい、大司教ヨハネス様にエリアス様がお見えですとお伝えください」
「エリアス様ですね、お待ちください」
シスターは一旦下がる。
しばらくすると早歩きで、誰から急いで歩いてくる足音が聞こえた。
「エ、エリアス様」
はあ、はあ、はあ、息を切らしている。
これが可愛い子なら嬉しいが。
男では。
大司教ヨハネス、55歳、やや小太り。
痩せろ!そう俺は思った。
「ヨハネス大司教様。突然お伺いして申し訳ありません」
「王都からはいつお戻りに」
「本日、昼頃です」
「あぁ、戻ってこられたばかりで、このヨハネスに会いに来て頂けるとは光栄です」
違います。なにを言っているんだ、このおっさんは?
「さあ、こちらにどうぞ」
俺達は客室に通された。
「早速ですが今日伺ったのは、働く人を増やしたいのです」
「ほう、さらに人を増やしたいと、おっしゃるのですかな」
「そうです。ヨハネス大司教様」
「ヨハネスで構いませんよ」
おっさんを呼び捨てかい!
「ではヨハネス様。『味元』、『醤油』、『ソース』をここで作ろうと思っています。ただ『醤油』、『ソース』に関しては製品になるのに2~3年は掛かかり、働く側も熟練度が必要になります。そのため、真面目で持久力がある人を派遣してほしいのですが」
「真面目で持久力ですか」
「はい、それと提案があります。教会からの派遣雇用が3年経過した場合、勤務評価により直接、社員として雇いましょう。そうする事により働く側も目標ができ、真面目に働くでしょうから」
「社員雇用ですか」
「その場合は教会にも、給与の3ヵ月分くらいの寄付は致しますから」
「ありがとうございます。至急探します」
「ただ守って頂く事があります」
「どんな事でしょうか?」
「『味元』、『醤油』、『ソース』の作り方は『マヨネーズ』と同じように社外秘になります」
「もちろんです。このシャルエル教で、エリアス様を裏切るようなことがあれば、両手両足の爪を剥ぎ足の腱を切りその都度、回復魔法で直し、また爪を剥ぎ…」
イヒヒヒヒヒ!!
こ、怖いよ~!
「定期的に商会に来ますので、その時に製造方法を教えますから」
「な、なんと。エリアス様、手ずから教えて頂けるのですか。それなら私が…」
ジィ~~~!!
何を馬鹿なことを。
「俺が教えるまでの間は『マヨネーズ』製造を手伝ってもらえば良いですから」
「分かりました。エリアス様」
「それから構内が広すぎます。歩くのも大変ですから、こんなのはどうでしょう?」
俺はそう言いながら『創生魔法』を使いストレージ内で、余った鉱物を使いあるものを創った。
それをストレージから出して見せた。
T字のハンドルの下に板状の足を載せる場所があり、前後に小さい車輪がある。
「エリアス会長、これはなんでしょうか?」
「これはキックボードと言う物ですよ。アルバンさん」
「キックボード?」
「はい、では使ってみますね」
俺はハンドルを握りキックボードに片足を載せ、もう片方の足で漕ぎ出す。
そしてブレーキが無いので、止まる時には降りれば止まれることを話した。
急に止まらなければいけない様な、使い方はしていけないことも説明しておいた。
「ほう、これは良いですね。後ろに荷台を付ければ配達もできそうです」
デリバリーか?
「シャルエル製鉄所でこれを創ってください。今までは俺が作っていましたが、頻繁に来れませんから」
「私にお任せください。すぐに適任者を探しますから」
「助かります、ヨハネス様」
「そしてその他にリヤカー、鍬や鋤、※千歯も、ここでお願いします」
「ありがとうございますエリアス様、これで信徒さんの仕事が出来ます。さっそく作業場を用意しませんと」
仕事請負業に人材派遣をしている教会か?
ある意味、凄いな。
ここまで来たんだ、参拝していこうかな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※千歯。
木製の台に櫛状の歯を取付けて、その歯の間に稲や麦の束を通し、稲穂からモミの部分をしごき落とす農具。
11
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる