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第10部 結婚

第76話 結婚式と女神ゼクシー

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 シャルエル教の司教を呼び、王都にある御神体の前で誓いを立てることになった。

 今回呼ばれているのはカロリーナ王女側が祖父母のバイア国王、グリニス王妃。
 両親と兄であるイクセル王子とポーリーン王女、そしてヘルムート王子。

 俺の方からはお義父のドゥメルグ公爵。
 義妹のカトリーンお嬢様、執事のアルマンさんだ。

 そして花嫁はカロリーナ王女とマリーお嬢様。
 カロリーナ王女が第一夫人、マリーお嬢様が第二夫人だ。
 

 シャルエル教の司教の前で誓いを立て祈る。
 神聖な時間だ。

 突然、司教が跪く。
 辺りに神々しい光が満ち、目が開けられないくらいの輝きを増す。
 
 輝きが収まり目を開けた。
 すると大聖堂にある、女神像そのままの盛った女神ゼクシーが立っていた。

〈〈〈〈〈 女神ゼクシー様 〉〉〉〉〉

 シャルエル教の司教がうやうやしくいつぶやく。
 その場にいる全員が跪く。

(な、なんと言うことだ。今まで神託はあっても降臨はなかった)
「わが息子エリアス。結婚おめでとう。心より祝福をするわ」
 俺は立ち上がり言った。
「ありがとう、母さん。わざわざ来てくれるなんて嬉しいよ」

((( 母さん?? )))

 俺は女神ゼクシーに近づいた。
 そしてみんなに聞こえない声で話しかけてきた。

『まさかこんなに早く息子を、他の女に取られるなんて思わなかったわ』
『いきなりなんですか?』
『あはは!冗談よ。どう調子は?頑張っているみたいで安心したわ』


 ゼクシーは女神になってから、寂しい一人暮らしが数万年も続いていた。
 そんなある日、突然息子が出来た。
 暇を見ては毎日、コタツに入りお茶を飲み、せんべいを食べながら、天界から下界を眺めエリアスのする事を見ていた。
 普段はどのように過ごしているのか、いつもどんな人と仲良くしているのか、と。 

 まさか打算で結婚するとは思わなかった。

『親に断りもなく、突然結婚するなんてね』
 そうだ。母さんと言っても儀礼的なことだからと、後回しにしていたんだっけ。

『あっ、ごめんなさい。報告が遅くなりまして』
『まぁ、良いわ。早く孫の顔を見たいわ』
『はい、その時はまたお見せいたしますから』
『そうね、ね』



 俺が女神ゼクシーと話している頃。
「お父様。エリアス様はゼクシー様の…」
「あぁ、そうだマリー。ゼクシー様の愛し子だ」
「「「「 愛し子!! 」」」」
 その場にいる大半の人が驚いていた。
 ゼクシーの愛し子だと知っているのは、サバイア国王とドゥメルグ公爵だけだったからだ。

「そんな尊い方と私は結婚するのですね」
「そうだ。だからよ」
「はい、お父様。エリアス様に尽くします」


 その頃、王女側でも。
「お祖父様、これは」
「聞いた通りだ。エリアスは女神ゼクシーの愛し子だ」
「では立場は私達より上なのでは?」
「あぁ、だがここに来ているのは愛し子ではなく、セトラーのエリアスとして来ているのだ。そこは気にしてはいけないよ」
「でも、そんな」
「頼んだぞ、カロリーナ。エリアスの側を離れるな。そしてよ」
「はい、お祖父様」

 俺とゼクシー母さんの話は終わり、みんなの元にやってきた。
 かしずくみんなの前で母さんは言った。
「エリアスは我が愛しの子です。彼を利用するようなことは許しません」
 そう高らかに宣言した。

 
「カロリーナ、マリー。2人供、前に来なさい」
 ゼクシー母さんに名を呼ばれ、2人は驚きながら前に出た。
「あなた達2人は私の義娘になります」
 そう言うと2人の頭に手をかざした。
 すると淡い光に2人は包まれた。

〈〈〈〈〈 『女神ゼクシー』の祝福を得た! 〉〉〉〉〉

 どこからかそんな声が聞こえた。

「2人供これからエリアスを支えてくださいね」
「「は、はい、分かりました。ゼクシー様」」

「では私はそろそろ行きます。この者たちに幸あらん事を。そして我が子、エリアスをないがしろにすることは無いように!」

 そして女神ゼクシーは光の中に消えていった。

  *    *    *    *    *

『女神ゼクシー』の祝福を受けた2人だが…。

「ステータス」
 名前:カロリーナ・ディ・サバイア
 種族:人族
 年齢:14歳
 性別:女
 職業:エリアスの妻(元ジリヤ国王女)
 レベル:8

【加護】
 女神ゼクシーの祝福
 マル秘詳細(息子は私の物よ。歪んだ母の祝福。-5


「ステータス」
 名前:マリー・ビクトワール・ドゥメルグ
 種族:人族
 年齢:15歳
 性別:女
 職業:エリアスの妻(元ドゥメルグ公爵令嬢)
 レベル:9

【加護】
 女神ゼクシーの祝福
 マル秘詳細(ふんっ、この小娘。とげのある姑の祝福。-5

 祝福が必ずしも、いいものとは限らない。

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 読んで頂いてありがとうございます。

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