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第10部 結婚
第75話 もう1つの婚姻
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俺は王都にいる間にカロリーナ王女と、結婚式を挙げようと思った。
開拓村セトラーいや、もうセルベルト領セトラーか。
セトラーに来たら、もう王都に来る機会もないだろう。
祖父母であるサバイア国王、グリニス王妃。
父母であるイクセル王子、ポーリーン王女、兄であるヘルムート王子にも、会う事もないかもしれないのだ。
王都に滞在できる時間も限られている。
身内でささやかにやるのもいいだろう。
シオドリク宰相にその話をしたところ、サバイア国王に進言してくれた。
そして急遽、身内だけで結婚式を挙げることが決まった。
そんな時、王都にある一室にドゥメルグ公爵からの呼び出しを受けた。
部屋のドアを開け中に入ると、義父のドゥメルグ公爵。
義理の妹になったマリーお嬢様、カトリーンお嬢様。
そう言えば王都に来てから、マリーお嬢様達には会っていない。
なぜなら泊まっている塔が違うからだ。
「呼び出して悪かったね。座ってくれたまえ」
ドゥメルグ公爵が口を開く。
「いいえ、とんでもありません。どうしたのですか?」
「実はマリーの事だ」
そう言われて見ると、マリーお嬢様の様子が変だ。
なにやら怒っているような、哀しいような顔をしている。
「どうしたのですか?」
マリーお嬢様の顔が歪む。
「あぁ、エリアス義兄様は鈍ちんですね」
カトリーンお嬢様が俺に言う。
10歳の女の子が言う事なのか?
「それはどういう事でしょうか?」
確かに義妹になったことには違いない。
だが、なにか義兄様と言われると恥ずかしいものだ。
「いつまで敬語なんですか?もう兄弟なんだから普通に話してよ」
「あぁ、そうだな。カトリーン」
「で、どういう事なんだ?」
「それはもちろん、お姉様が義兄様の事を…「やめて!カトリーン」
「マリーお姉様」
「エリアス様と王都まで、一緒にこれた時間だけを宝物にてこれから生きていくわ」
シク、シク、シク。
なんだ?今から三文芝居が始まるのか?
「実はエリアス。マリーの父として君に頼みがある」
「なんでしょうか?お義父様」
「君にお義父様と言われるとはな」
「私もです」
「そこでだ。別の意味での親子にならないか」
「別の意味?」
「あぁ、そうだ。マリーと結婚してほしい」
「マリーお嬢様と結婚!!」
「嫌なのか?マリーは可愛いぞ。なんなら妹のカトリーンもつけるが、どうだ?」
おまけか?
「どういう事でしょうか?お義父様。マリーとは義理とはいえ義妹ですよ」
「そうだが、何か問題があるのかね」
「??、義妹なら結婚は出来ないですよね?」
「出来るが、君の居たところではできなかったのかね」
「はい、亡くなった両親からは兄妹や親子間では、結婚できないと聞きました」
「親子で結婚出来ないのは当然だな。だが兄妹同士は肉親でも出来るんだよ」
聞くところによると貴族は魔力を尊ぶ。
貴族は魔力のある者同士で他の貴族と婚姻を結ぶのが普通だ。
歳が親子ほど離れている人しかいないから嫌だとか、相手が見つからない場合は魔力を持っている兄妹同士の結婚もあるそうだ。
どちらにしろ近親相姦なんだから、親子でも良いと思うが違うらしい。
地球でも古代エジプト時代のファラオは実の妹や叔母、母や義理の母、父と娘や孫、女性なら誰とでも近親相姦や近親婚が可能だったり。
ヨーロッパの王家・皇族の中でも、近親相姦や近親婚は一般的なことだった。
親族の結束を強めたり、一族の財産が他へ流失してしまう事を防ぐ考えからだろうけど。
ただ血が濃くなりすぎると弊害が出るから、日本では3親等以内の婚姻は禁止になっている。
ただ国によって8親等以内の婚姻は禁止だったり、まちまちだけど。
「ですが俺はカロリーナ王女と結婚をしますが」
「特に構わん。貴族間の結婚は縁故を結ぶ、または優秀な子を残す為のものだ。王族側も文句は言わないだろう」
「そ、そうですか…」
「で、もらってくれないかね?カロリーナ王女様と結婚が決まってからというもの、マリーは泣き続けているんだよ」
マリーを見ると、目が腫れている。
泣きはらしているのは、本当なのか。
貴族間の縁故を結ぶために、マリーがどこかに嫁ぐなら俺が貰おう。
「分かりました。俺がもらいましょう!」
「う、嬉しいです。エリアス様」
マリーは大粒の涙を浮かべた。
「カトリーンも、もらってくれるのかな?」
「カトリーンは俺に対して特別な感情はないよね」
「うん、無い!」
きっぱりカトリーンに言われた。
それはそれで、振られた感がして寂しいものだ。
「そうか、それなら仕方あるまい。マリーを宜しく頼む」
「分かりました。お義父様」
* * * * *
私はアレンの領主ドゥメルグだ。
エリアスが国王の娘との結婚が決まった時には焦った。
博学で生活魔法を二つも使え、使えるのは相対する火と水の魔法属性。
そして異例なマジック・バッグを持っている。
それだけでも優良物件なのに、そのうえ女神ゼクシーの愛し子だ。
取り込まない手はない。
サバイア国王に先を越され、エリアスはカロリーナ王女と結婚することになった。
だが貴族で経済力があれば、一夫多妻でもやっていける。
娘のマリーはエリアスの、結婚が決まってから泣いてばかりだ。
そんなに思っていたのか。
それなら父親として一肌脱がねばならない。
エリアスとも義理とはいえ、親子になったのだ。
多少の無理は聞いてくれるだろう。
マリーの気持ちをエリアスに話すと、快く承諾してくれた。
妹のカトリーンをもらってもらえないのは残念だが。
エリアスとの間に子供が生まれれば、愛し子の子供だ。
どれだけの価値があることか。
だがまだチャンスはある。
そうほくそ笑むドゥメルグ公爵だった。
開拓村セトラーいや、もうセルベルト領セトラーか。
セトラーに来たら、もう王都に来る機会もないだろう。
祖父母であるサバイア国王、グリニス王妃。
父母であるイクセル王子、ポーリーン王女、兄であるヘルムート王子にも、会う事もないかもしれないのだ。
王都に滞在できる時間も限られている。
身内でささやかにやるのもいいだろう。
シオドリク宰相にその話をしたところ、サバイア国王に進言してくれた。
そして急遽、身内だけで結婚式を挙げることが決まった。
そんな時、王都にある一室にドゥメルグ公爵からの呼び出しを受けた。
部屋のドアを開け中に入ると、義父のドゥメルグ公爵。
義理の妹になったマリーお嬢様、カトリーンお嬢様。
そう言えば王都に来てから、マリーお嬢様達には会っていない。
なぜなら泊まっている塔が違うからだ。
「呼び出して悪かったね。座ってくれたまえ」
ドゥメルグ公爵が口を開く。
「いいえ、とんでもありません。どうしたのですか?」
「実はマリーの事だ」
そう言われて見ると、マリーお嬢様の様子が変だ。
なにやら怒っているような、哀しいような顔をしている。
「どうしたのですか?」
マリーお嬢様の顔が歪む。
「あぁ、エリアス義兄様は鈍ちんですね」
カトリーンお嬢様が俺に言う。
10歳の女の子が言う事なのか?
「それはどういう事でしょうか?」
確かに義妹になったことには違いない。
だが、なにか義兄様と言われると恥ずかしいものだ。
「いつまで敬語なんですか?もう兄弟なんだから普通に話してよ」
「あぁ、そうだな。カトリーン」
「で、どういう事なんだ?」
「それはもちろん、お姉様が義兄様の事を…「やめて!カトリーン」
「マリーお姉様」
「エリアス様と王都まで、一緒にこれた時間だけを宝物にてこれから生きていくわ」
シク、シク、シク。
なんだ?今から三文芝居が始まるのか?
「実はエリアス。マリーの父として君に頼みがある」
「なんでしょうか?お義父様」
「君にお義父様と言われるとはな」
「私もです」
「そこでだ。別の意味での親子にならないか」
「別の意味?」
「あぁ、そうだ。マリーと結婚してほしい」
「マリーお嬢様と結婚!!」
「嫌なのか?マリーは可愛いぞ。なんなら妹のカトリーンもつけるが、どうだ?」
おまけか?
「どういう事でしょうか?お義父様。マリーとは義理とはいえ義妹ですよ」
「そうだが、何か問題があるのかね」
「??、義妹なら結婚は出来ないですよね?」
「出来るが、君の居たところではできなかったのかね」
「はい、亡くなった両親からは兄妹や親子間では、結婚できないと聞きました」
「親子で結婚出来ないのは当然だな。だが兄妹同士は肉親でも出来るんだよ」
聞くところによると貴族は魔力を尊ぶ。
貴族は魔力のある者同士で他の貴族と婚姻を結ぶのが普通だ。
歳が親子ほど離れている人しかいないから嫌だとか、相手が見つからない場合は魔力を持っている兄妹同士の結婚もあるそうだ。
どちらにしろ近親相姦なんだから、親子でも良いと思うが違うらしい。
地球でも古代エジプト時代のファラオは実の妹や叔母、母や義理の母、父と娘や孫、女性なら誰とでも近親相姦や近親婚が可能だったり。
ヨーロッパの王家・皇族の中でも、近親相姦や近親婚は一般的なことだった。
親族の結束を強めたり、一族の財産が他へ流失してしまう事を防ぐ考えからだろうけど。
ただ血が濃くなりすぎると弊害が出るから、日本では3親等以内の婚姻は禁止になっている。
ただ国によって8親等以内の婚姻は禁止だったり、まちまちだけど。
「ですが俺はカロリーナ王女と結婚をしますが」
「特に構わん。貴族間の結婚は縁故を結ぶ、または優秀な子を残す為のものだ。王族側も文句は言わないだろう」
「そ、そうですか…」
「で、もらってくれないかね?カロリーナ王女様と結婚が決まってからというもの、マリーは泣き続けているんだよ」
マリーを見ると、目が腫れている。
泣きはらしているのは、本当なのか。
貴族間の縁故を結ぶために、マリーがどこかに嫁ぐなら俺が貰おう。
「分かりました。俺がもらいましょう!」
「う、嬉しいです。エリアス様」
マリーは大粒の涙を浮かべた。
「カトリーンも、もらってくれるのかな?」
「カトリーンは俺に対して特別な感情はないよね」
「うん、無い!」
きっぱりカトリーンに言われた。
それはそれで、振られた感がして寂しいものだ。
「そうか、それなら仕方あるまい。マリーを宜しく頼む」
「分かりました。お義父様」
* * * * *
私はアレンの領主ドゥメルグだ。
エリアスが国王の娘との結婚が決まった時には焦った。
博学で生活魔法を二つも使え、使えるのは相対する火と水の魔法属性。
そして異例なマジック・バッグを持っている。
それだけでも優良物件なのに、そのうえ女神ゼクシーの愛し子だ。
取り込まない手はない。
サバイア国王に先を越され、エリアスはカロリーナ王女と結婚することになった。
だが貴族で経済力があれば、一夫多妻でもやっていける。
娘のマリーはエリアスの、結婚が決まってから泣いてばかりだ。
そんなに思っていたのか。
それなら父親として一肌脱がねばならない。
エリアスとも義理とはいえ、親子になったのだ。
多少の無理は聞いてくれるだろう。
マリーの気持ちをエリアスに話すと、快く承諾してくれた。
妹のカトリーンをもらってもらえないのは残念だが。
エリアスとの間に子供が生まれれば、愛し子の子供だ。
どれだけの価値があることか。
だがまだチャンスはある。
そうほくそ笑むドゥメルグ公爵だった。
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