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第10部 結婚
第73話 公共事業
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翌日、俺は今後のことについてサバイア国王、父であるヘルムート王子、シオドリク宰相、ドゥメルグ公爵を交えて話をすることにした。
まず俺から先に口を開いた。
「まず王都に来るまでに感じたことがあります」
「ほう、なんだねそれは」
サバイア国王が答える。
「まず、道が悪すぎることです」
「あぁ、道だな。確かに悪いと聞く」
「道幅も狭く馬車の1.5倍くらいしかありません。向こうから馬車が来たら、どちらかが端に避け譲らないとすれ違う事もできません。それでは物流が発展しません」
「ではどうしろと、言うのかね?」
「公共事業をやるのです」
「「「 公共事業?? 」」」
「はい、国や領主が利益や福祉のために行う事業です」
「どんな内容なんだね」
ヘルムート王子が聞いてくる。
俺は自分の考えを話した。
まず道を広げ物流を発展させる。
街には今日の食事にさえ、ままならない人達がたくさんいる。
その人達を雇うのだ。
1日朝昼晩、3食の食事を出す。
その代わり給与は平均より安くする。
一日食事付きなら好待遇ではないだろうか。
それでも食うに困っている人は、やってくるだろう。
これで安く人を使え国や領主の負担も少なくなる。
道は馬車2台分と、左右に人が通れるくらいの幅で造るのだ。
そして道が完成したら通行料を取る。
その領地が発行した証明書以外の人は、よその街から来たことになる。
その人達から食事代程度の金額の通行料を取ればいい。
開拓用の工具も貸し出す。
道が開通すれば十分に元は取れる。
そして物流が頻繁になり、それが売れれば税金となって帰ってくる。
それと同時に、街と街の間に休憩出来る場所を作る事だ。
休憩や食事が出来れば旅がしやすくなる。
同時に警備兵を置けば盗賊対策や、魔物にも対応でき治安維持に繋がる。
他には農地開拓だ。
農業が人口に対して少なく、野菜や穀物が足りない。
お金のある貴族たちは小麦粉で作った柔らかいパンを。
庶民はライ麦から作った硬いパンを食べているのが現実だ。
そしてパンは重要で野菜や穀物の供給が少ないため、パンを食べ飢えを満たしているのが現状だ。
だから農地開拓なのだ。
村の開拓の場合、収穫するまでの苦労は並大抵の事ではないはず。
自分で開拓し、収穫物は税として何割かは領主に取られてしまう。
だからやりたがる人が居ない。
だが、開拓を日雇いとして雇われるならどうだ?
道の整備と同じように1日3食の食事を保証し、給与は平均より安くする。
開拓ではなく、領主に雇われて仕事をするなら人は来るはずだ。
いずれは領内だけではなく、作物を他の領地へ輸出できるくらいにする。
量が多くなれば、運送費をもらい運搬する運送専門の会社を作る事も提案した。
そうなれば物価も下がり人々が飢えることもなくなる。
「雇用先を増やすことにより国民は豊かになり、国民が豊かになることで国も豊かになるのです」
「雇用先を増やすか。それはいい案かもしれん」
ドゥメルグ公爵が賛同してくれる。
「道が整地され広くなれば、盗賊や魔物も襲いづらくなり治安維持にもなります」
「ほう、それは良い」
「そして今までは王都からアレンの街まで4~6日でしたが、道が整備されれば半分の日数でこれます」
「なに!半分だと。それは凄い」
「だがその資金はどこから捻出するのだ」
サバイア国王が渋い顔をする。
「私の結納金では足りなかったのでしょうか?ではワイバーンも出しますか?」
「そ、そこか。分かった。他の領主にも話し、王国が全面的に後押しをしよう」
「ありがとうございます。では私からは開拓用の道具を差上げます」
「開拓用の道具だと」
「はい。後でお見せ致します。それからドゥメルグ公爵、アレンの街からセトラー領までの道は私が整備をしても良いでしょうか?」
「やってもらえるのかね?でもどうやって」
「はいそれは私のスキルで、その代わりその際に出た木々や岩は私の物という事で」
「分かった。手間賃と言う事だな。私は帰りにノルベール公爵のところに寄り、王都寄りのウォルドの街までの道を、どこまでやればいいのか話をしないといけないな」
それなら他の街もやってほしいと言われたが、それだと雇用促進にならないとお断りした。
それから俺達は今後の話をした後、開拓用の道具を収めた。
開拓をした時に出た鉱物から鉄を抽出し、伐採した木材でストレージ内で創った 伐採用のノコギリやオノ。
道の整備用のネコ台車やリヤカーなど20セットほどだ。
あぁ、そう言えば忘れてた。
結婚と言えば、これだよね。
* * * * *
あぁ、なんてことだ。
私はジリヤ国、国王サバイアだ。
女神ゼクシー様の愛し子であるエリアス様と、娘を結婚させることに成功した。
この世界の神は女神ゼクシー様が絶対神だ。
その愛し子と娘が結婚すれば、他国に対しても優位に立てる。
まして子供が出来れば、各国と婚姻し駆け引きにも使える。
愛し子エリアス様から結納金代わりに緑竜をもらった。
緑竜の素材は各国から引っ張りだこになる。
我が国にはドラゴンバスターがおりそれが愛し子であれば、さらに各国へのけん制にもなる。
そのお金で軍事拡大し我が国の力を内外に示す。
我がジリヤ国は内陸の国だ。
四方を陸に囲まれ特に特産品もない。
出来ればここより下に遠征し海を手に入れたい。
または北上し胡椒や調味料が採れるビザン国に食い込みたい。
それには力が居る。
軍備を強化することで人は戦わずして屈服する。
攻め滅ぼす事は無理だとしても、領地を少しかじるくらいは通るだろう。
気が付いたら我が国と隣接している領地に、我が国の旗が立ち人が住んでいても、抗議をしてきても戦争までにはならない。
それだけ戦はお金がかかるからだ。
じわりじわりと、勢力を拡大しようと思っていたが。
公共事業に金を使えと遠回しに言ってきた。
いくら孫娘の夫とはいえ、女神ゼクシーの愛し子だ。
逆らえるわけはない。
だが公共事業で道を整備すれば軍事移動は早くなる。
まずは道の整備から進めるか。
まず俺から先に口を開いた。
「まず王都に来るまでに感じたことがあります」
「ほう、なんだねそれは」
サバイア国王が答える。
「まず、道が悪すぎることです」
「あぁ、道だな。確かに悪いと聞く」
「道幅も狭く馬車の1.5倍くらいしかありません。向こうから馬車が来たら、どちらかが端に避け譲らないとすれ違う事もできません。それでは物流が発展しません」
「ではどうしろと、言うのかね?」
「公共事業をやるのです」
「「「 公共事業?? 」」」
「はい、国や領主が利益や福祉のために行う事業です」
「どんな内容なんだね」
ヘルムート王子が聞いてくる。
俺は自分の考えを話した。
まず道を広げ物流を発展させる。
街には今日の食事にさえ、ままならない人達がたくさんいる。
その人達を雇うのだ。
1日朝昼晩、3食の食事を出す。
その代わり給与は平均より安くする。
一日食事付きなら好待遇ではないだろうか。
それでも食うに困っている人は、やってくるだろう。
これで安く人を使え国や領主の負担も少なくなる。
道は馬車2台分と、左右に人が通れるくらいの幅で造るのだ。
そして道が完成したら通行料を取る。
その領地が発行した証明書以外の人は、よその街から来たことになる。
その人達から食事代程度の金額の通行料を取ればいい。
開拓用の工具も貸し出す。
道が開通すれば十分に元は取れる。
そして物流が頻繁になり、それが売れれば税金となって帰ってくる。
それと同時に、街と街の間に休憩出来る場所を作る事だ。
休憩や食事が出来れば旅がしやすくなる。
同時に警備兵を置けば盗賊対策や、魔物にも対応でき治安維持に繋がる。
他には農地開拓だ。
農業が人口に対して少なく、野菜や穀物が足りない。
お金のある貴族たちは小麦粉で作った柔らかいパンを。
庶民はライ麦から作った硬いパンを食べているのが現実だ。
そしてパンは重要で野菜や穀物の供給が少ないため、パンを食べ飢えを満たしているのが現状だ。
だから農地開拓なのだ。
村の開拓の場合、収穫するまでの苦労は並大抵の事ではないはず。
自分で開拓し、収穫物は税として何割かは領主に取られてしまう。
だからやりたがる人が居ない。
だが、開拓を日雇いとして雇われるならどうだ?
道の整備と同じように1日3食の食事を保証し、給与は平均より安くする。
開拓ではなく、領主に雇われて仕事をするなら人は来るはずだ。
いずれは領内だけではなく、作物を他の領地へ輸出できるくらいにする。
量が多くなれば、運送費をもらい運搬する運送専門の会社を作る事も提案した。
そうなれば物価も下がり人々が飢えることもなくなる。
「雇用先を増やすことにより国民は豊かになり、国民が豊かになることで国も豊かになるのです」
「雇用先を増やすか。それはいい案かもしれん」
ドゥメルグ公爵が賛同してくれる。
「道が整地され広くなれば、盗賊や魔物も襲いづらくなり治安維持にもなります」
「ほう、それは良い」
「そして今までは王都からアレンの街まで4~6日でしたが、道が整備されれば半分の日数でこれます」
「なに!半分だと。それは凄い」
「だがその資金はどこから捻出するのだ」
サバイア国王が渋い顔をする。
「私の結納金では足りなかったのでしょうか?ではワイバーンも出しますか?」
「そ、そこか。分かった。他の領主にも話し、王国が全面的に後押しをしよう」
「ありがとうございます。では私からは開拓用の道具を差上げます」
「開拓用の道具だと」
「はい。後でお見せ致します。それからドゥメルグ公爵、アレンの街からセトラー領までの道は私が整備をしても良いでしょうか?」
「やってもらえるのかね?でもどうやって」
「はいそれは私のスキルで、その代わりその際に出た木々や岩は私の物という事で」
「分かった。手間賃と言う事だな。私は帰りにノルベール公爵のところに寄り、王都寄りのウォルドの街までの道を、どこまでやればいいのか話をしないといけないな」
それなら他の街もやってほしいと言われたが、それだと雇用促進にならないとお断りした。
それから俺達は今後の話をした後、開拓用の道具を収めた。
開拓をした時に出た鉱物から鉄を抽出し、伐採した木材でストレージ内で創った 伐採用のノコギリやオノ。
道の整備用のネコ台車やリヤカーなど20セットほどだ。
あぁ、そう言えば忘れてた。
結婚と言えば、これだよね。
* * * * *
あぁ、なんてことだ。
私はジリヤ国、国王サバイアだ。
女神ゼクシー様の愛し子であるエリアス様と、娘を結婚させることに成功した。
この世界の神は女神ゼクシー様が絶対神だ。
その愛し子と娘が結婚すれば、他国に対しても優位に立てる。
まして子供が出来れば、各国と婚姻し駆け引きにも使える。
愛し子エリアス様から結納金代わりに緑竜をもらった。
緑竜の素材は各国から引っ張りだこになる。
我が国にはドラゴンバスターがおりそれが愛し子であれば、さらに各国へのけん制にもなる。
そのお金で軍事拡大し我が国の力を内外に示す。
我がジリヤ国は内陸の国だ。
四方を陸に囲まれ特に特産品もない。
出来ればここより下に遠征し海を手に入れたい。
または北上し胡椒や調味料が採れるビザン国に食い込みたい。
それには力が居る。
軍備を強化することで人は戦わずして屈服する。
攻め滅ぼす事は無理だとしても、領地を少しかじるくらいは通るだろう。
気が付いたら我が国と隣接している領地に、我が国の旗が立ち人が住んでいても、抗議をしてきても戦争までにはならない。
それだけ戦はお金がかかるからだ。
じわりじわりと、勢力を拡大しようと思っていたが。
公共事業に金を使えと遠回しに言ってきた。
いくら孫娘の夫とはいえ、女神ゼクシーの愛し子だ。
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