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第10部 結婚
第72話 結納金代わりにドラゴン
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「は?」
俺は突然のことに驚いた。
女の子を景品の様に差し出されても。
断ろうと思ったが、カロリーナ王女を見るとそれも出来なかった。
政治利用される14~5歳の女の子。
よほどの覚悟がいるのだろう。
両手を胸の前で組みながら目を潤ませ俺を見つめている。
断れるわけがない。
断れば彼女を傷つけることになる。
『エ、エリアス様と結婚なんて嬉しい』
俺は考えた。
『愛し子』である以上は権力者に付き纏われる。
特に開拓村村長として扱われたら逆らえない。
女神からの神託があろうと、人の社会で生きていく以上は誰かの傘下に入らないとやっていけない。
それなら一番偉い人と、仲良くなった方が良いかもしれない、と。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
俺がそう言うと、花が咲いたように微笑むカロリーナ王女がいた。
かわいい。
断らなくてよかった。
この世界に来てから俺は1人。
家族を作るのも良いかもしれない、と思う俺がいた。
そしてその後が大変だった。
まず父親であるイクセル王子に会った。
30過ぎの理系の感じがする、頭の良さそうな人だった。
カロリーナ王女の兄で、王女より2歳年上のヘルムート王子にも会った。
(父親が王子や王女だと継承権のある子供は王子、王女と呼ばれややこしい)
そして他にも腹違いの男の兄弟が2人と、女の姉妹が3人いる。
だが今は会う必要はないと言う。
なぜなら俺自体はカロリーナ王女をもらう立場で、王族になる訳ではないからだ。
それから今の身分では釣り合わず、結婚は出来ない。
そのため、一旦格式高い家の養子となり、そこから結婚になるようだ。
その親代わりがドゥメルグ公爵だ。
知らない仲ではないから、いいだろうという事だ。
俺にも爵位が与えられ爵位の第二位、侯爵になる。
つまり公爵の下になり、貴族の中では2番目に偉い、てことだ。
名前は性を名乗ることが許されエリアス・ドラード・セルベルト。
領地も与えられ、それが開拓村セトラーだ。
これからは開拓村ではなく、セトラー領だけどね。
土地は切取り自由で、開拓し放題で開拓しただけ俺の土地になる。
ま、誰もやらないから、森だったんだけどね。
カロリーナ王女は俺と、セトラーの屋敷に住むことになる。
侍女が何人か付いてくるらしいが、肝の据わった人を俺は希望した。
それと村人は今のところダークエルフと鳥人族だとも伝えた。
結婚式は王女なので身内だけの地味婚だそうだ。
女性の地位が低く、まして他家へ嫁ぐのに派手にやるわけがない。
俺もドゥメルグ公爵も出直してまた王都に来るのは難しい。
だから王都にいる短い間にすべてやる。
養子縁組と結婚式だ。
一度、開拓村に嫁いだら王都に来ることは、難しい事をカロリーナ王女に話した。
彼女も分かっているようだった。
そして開拓村にいる人達は亜種族と呼ばれる人が多く、彼らも俺達と同じ人だから差別はしないでほしいと頼んだ。
翌日から忙しく、ドゥメルグ公爵と養子縁組の書類を交わした。
そして結納金だが物資はあるが、王女を迎えるほどの金はない。
ワイバーンでも出すか?
だがそれではノルベール公爵にも売ってるし、二番煎じだ。
あっ、そういえば緑竜があった。
村のみんなで食べようと思ったが、仕方ないか。
俺は結納金代わりに出したいものがあると、ドゥメルグ公爵に話した。
「結納金代わりか。なにがあるんだね」
「はい、緑竜です」
「ぶっ!緑竜だと!!」
「そうです。村から少し離れたところで、暴れていたので倒しました」
「倒しただと!」
「ええ、そうです。結納代わりになりますかね?」
「十分すぎる。いったいどれくらいの価値があるのか、分からないほどだ」
「では渡してきましょうか」
俺たちは義理の父になるイクセル王子の所に行った。
執事が取り次ぐまで座って待った。
「待たせて悪かったね。いったい、何の用だい」
「実はエリアスが、結納金代りのものを渡したいと申しまして」
「結納金代りか。突然だったから、無理をしなくてもいいんだよ」
そして俺に代わる。
「いえ、大丈夫です。収めてください。ただ広い場所でないと出せません」
「広い場所?いったい何をくれるのかな?」
「緑竜です」
「はっ?緑竜だと!」
「はい、そうです。足りますか?」
「足りないどころではない。結婚の結納に緑竜をもらうなど、聞いたことがない」
「やはり非常識ですよね」
「いや、常識の範囲を超えただけだ。どのくらいの大きさなんだ」
「そうですね、体長約20mくらいです」
「それなら騎士団の練習場が良いだろう。これから国王に伝えよう」
俺達3人は王の書斎を目指した。
トントン!
「入れ」
「失礼します。父上」
「どうしたのだイクセル。2人を連れて」
「実はエリアス君が…」
そして今回の内容を話してくれた。
「なんとワイバーンを倒す前に、すでにドラゴンバスターではないか」
そしてシオドリク宰相も呼び、俺たち5人は騎士団の練習場へ向かった。
練習場に着くと、偉そうな人がやってきた。
「これは陛下、このような場所へ。いかがされましたか」
「すまんなジェラルド騎士団長。しばし練習場を借りたい。みなを下がらせてくれないか」
「はは。かしこまりました。お待ちださい」
そう言うと、練習をしていた騎士を下がらせてくれた。
「いいぞ、出してくれ」
シオドリク宰相に言われみんなに見守られる中、緑竜をストレージから出した。
ドンッ!!
「「「「 おぉ~~!! 」」」」
緑竜の大きさと上顎から吹き飛んだ顔を見て歓声が上がった。
「こ、これは、どうやって倒したのだね」
国王に聞かれ俺は、
「俺のスキルなので、それは言えません」と、答えた。
* * * * *
私はジリヤ国、国王サバイアだ。
王になってから色んなことがあったが、こんなことは初めてだ。
緑竜を単騎で倒すなどと、考えられない。
竜の鱗は固く剣では太刀打ちできない。
まして緑竜を見ると上顎から上が、何かの力によって吹き飛ばされている。
考えられない力だ。
竜はワイバーン以上に貴重だ。
骨や肉だけではなく、竜族の血は貴重だ。
どんな病も直せる薬が出来るといわれるくらいだ。
よくやったカロリーナ。
この男1人で一国を滅ぼせるかもしれん。
カロリーナにはこれから、侍女経由で夜の奥義を授けないといけないな。
以前、転生者が書いた48手という本がある。
それを覚えてもらおう。
もしカロリーナ1人で満足できないようであれば、何人でも送り込もう。
英雄色を好む、というからな。
そして彼の遺伝子を継いだ子供をたくさん作れば、わが国は安泰だ。
だが翌日、エリアスがこんな提案をしてくるとは…。
俺は突然のことに驚いた。
女の子を景品の様に差し出されても。
断ろうと思ったが、カロリーナ王女を見るとそれも出来なかった。
政治利用される14~5歳の女の子。
よほどの覚悟がいるのだろう。
両手を胸の前で組みながら目を潤ませ俺を見つめている。
断れるわけがない。
断れば彼女を傷つけることになる。
『エ、エリアス様と結婚なんて嬉しい』
俺は考えた。
『愛し子』である以上は権力者に付き纏われる。
特に開拓村村長として扱われたら逆らえない。
女神からの神託があろうと、人の社会で生きていく以上は誰かの傘下に入らないとやっていけない。
それなら一番偉い人と、仲良くなった方が良いかもしれない、と。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
俺がそう言うと、花が咲いたように微笑むカロリーナ王女がいた。
かわいい。
断らなくてよかった。
この世界に来てから俺は1人。
家族を作るのも良いかもしれない、と思う俺がいた。
そしてその後が大変だった。
まず父親であるイクセル王子に会った。
30過ぎの理系の感じがする、頭の良さそうな人だった。
カロリーナ王女の兄で、王女より2歳年上のヘルムート王子にも会った。
(父親が王子や王女だと継承権のある子供は王子、王女と呼ばれややこしい)
そして他にも腹違いの男の兄弟が2人と、女の姉妹が3人いる。
だが今は会う必要はないと言う。
なぜなら俺自体はカロリーナ王女をもらう立場で、王族になる訳ではないからだ。
それから今の身分では釣り合わず、結婚は出来ない。
そのため、一旦格式高い家の養子となり、そこから結婚になるようだ。
その親代わりがドゥメルグ公爵だ。
知らない仲ではないから、いいだろうという事だ。
俺にも爵位が与えられ爵位の第二位、侯爵になる。
つまり公爵の下になり、貴族の中では2番目に偉い、てことだ。
名前は性を名乗ることが許されエリアス・ドラード・セルベルト。
領地も与えられ、それが開拓村セトラーだ。
これからは開拓村ではなく、セトラー領だけどね。
土地は切取り自由で、開拓し放題で開拓しただけ俺の土地になる。
ま、誰もやらないから、森だったんだけどね。
カロリーナ王女は俺と、セトラーの屋敷に住むことになる。
侍女が何人か付いてくるらしいが、肝の据わった人を俺は希望した。
それと村人は今のところダークエルフと鳥人族だとも伝えた。
結婚式は王女なので身内だけの地味婚だそうだ。
女性の地位が低く、まして他家へ嫁ぐのに派手にやるわけがない。
俺もドゥメルグ公爵も出直してまた王都に来るのは難しい。
だから王都にいる短い間にすべてやる。
養子縁組と結婚式だ。
一度、開拓村に嫁いだら王都に来ることは、難しい事をカロリーナ王女に話した。
彼女も分かっているようだった。
そして開拓村にいる人達は亜種族と呼ばれる人が多く、彼らも俺達と同じ人だから差別はしないでほしいと頼んだ。
翌日から忙しく、ドゥメルグ公爵と養子縁組の書類を交わした。
そして結納金だが物資はあるが、王女を迎えるほどの金はない。
ワイバーンでも出すか?
だがそれではノルベール公爵にも売ってるし、二番煎じだ。
あっ、そういえば緑竜があった。
村のみんなで食べようと思ったが、仕方ないか。
俺は結納金代わりに出したいものがあると、ドゥメルグ公爵に話した。
「結納金代わりか。なにがあるんだね」
「はい、緑竜です」
「ぶっ!緑竜だと!!」
「そうです。村から少し離れたところで、暴れていたので倒しました」
「倒しただと!」
「ええ、そうです。結納代わりになりますかね?」
「十分すぎる。いったいどれくらいの価値があるのか、分からないほどだ」
「では渡してきましょうか」
俺たちは義理の父になるイクセル王子の所に行った。
執事が取り次ぐまで座って待った。
「待たせて悪かったね。いったい、何の用だい」
「実はエリアスが、結納金代りのものを渡したいと申しまして」
「結納金代りか。突然だったから、無理をしなくてもいいんだよ」
そして俺に代わる。
「いえ、大丈夫です。収めてください。ただ広い場所でないと出せません」
「広い場所?いったい何をくれるのかな?」
「緑竜です」
「はっ?緑竜だと!」
「はい、そうです。足りますか?」
「足りないどころではない。結婚の結納に緑竜をもらうなど、聞いたことがない」
「やはり非常識ですよね」
「いや、常識の範囲を超えただけだ。どのくらいの大きさなんだ」
「そうですね、体長約20mくらいです」
「それなら騎士団の練習場が良いだろう。これから国王に伝えよう」
俺達3人は王の書斎を目指した。
トントン!
「入れ」
「失礼します。父上」
「どうしたのだイクセル。2人を連れて」
「実はエリアス君が…」
そして今回の内容を話してくれた。
「なんとワイバーンを倒す前に、すでにドラゴンバスターではないか」
そしてシオドリク宰相も呼び、俺たち5人は騎士団の練習場へ向かった。
練習場に着くと、偉そうな人がやってきた。
「これは陛下、このような場所へ。いかがされましたか」
「すまんなジェラルド騎士団長。しばし練習場を借りたい。みなを下がらせてくれないか」
「はは。かしこまりました。お待ちださい」
そう言うと、練習をしていた騎士を下がらせてくれた。
「いいぞ、出してくれ」
シオドリク宰相に言われみんなに見守られる中、緑竜をストレージから出した。
ドンッ!!
「「「「 おぉ~~!! 」」」」
緑竜の大きさと上顎から吹き飛んだ顔を見て歓声が上がった。
「こ、これは、どうやって倒したのだね」
国王に聞かれ俺は、
「俺のスキルなので、それは言えません」と、答えた。
* * * * *
私はジリヤ国、国王サバイアだ。
王になってから色んなことがあったが、こんなことは初めてだ。
緑竜を単騎で倒すなどと、考えられない。
竜の鱗は固く剣では太刀打ちできない。
まして緑竜を見ると上顎から上が、何かの力によって吹き飛ばされている。
考えられない力だ。
竜はワイバーン以上に貴重だ。
骨や肉だけではなく、竜族の血は貴重だ。
どんな病も直せる薬が出来るといわれるくらいだ。
よくやったカロリーナ。
この男1人で一国を滅ぼせるかもしれん。
カロリーナにはこれから、侍女経由で夜の奥義を授けないといけないな。
以前、転生者が書いた48手という本がある。
それを覚えてもらおう。
もしカロリーナ1人で満足できないようであれば、何人でも送り込もう。
英雄色を好む、というからな。
そして彼の遺伝子を継いだ子供をたくさん作れば、わが国は安泰だ。
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