70 / 128
第9部 王都
第70話 共同作業
しおりを挟む
レラスにカロリーナ王女と2人だけ残された俺。
改めてみるとカロリーナ王女は髪は青色でロングだ。
この世界の髪の色はほんと、多彩だ。
「あの~エリアス様」
「エリアスでけっこうですよ。カロリーナ王女様」
「あっ、いぇ。いきなり呼捨てはまだ……ゴニョゴニョ」
な、なんだマリーお嬢様と同じ匂いがする。
歳が近いとみんなこんな感じなのか?
「あっ、ではエリアス。普段は何をしていますか?」
「開拓村をやっているので、開墾?」
「開墾ですか。その他には」
「森の中を歩いて果物を探して移植できないか考えています」
「果物ですか?今はどんなものが採れるのでしょうか?」
「柿とかブドウ、イチジクでしょうか?」
「イチジクですか?」
「はい、食べてみますか?」
そう言いながら俺はストレージからイチジクを出し半分に割った。
「どうぞ」
そう、言いながら半分差出し、残り半分を食べた。
恐る恐る一口食べたカロリーナ王女は漫勉の笑みを浮かべ、
「「「 甘~い!! 」」」
とても美味しそうに微笑んだ。
聞いたところ、カロリーナ王女のお父さんはイクセル王子で、お母さんはポーリーン王女。
サバイア陛下が現役のため、イクセル王子は内政を担当しているとか。
カロリーナ王女は14歳で、その上に2歳年上の兄ヘルムート王子がいる。
そして他にも腹違いの男の兄弟が2人いるが、ほとんど会うことはないと言う。
「エリアスはお料理もお上手とか?」
「上手と言うほどでは」
「食べてみたいですわ~」
特に会話もなく、間が持たないのでつい、言ってしまった。
「作りますか?」
「作っていただけるのでしか?」
「では2人で作りましょうか」
「私もですか」
「はい。楽しいですよ」
そういうと俺はストレージから魔道卓上コンロとプレート、鉢を出した。
「まぁ!」
出したものを見てカロリーナ王女は驚いていた。
そしてまな板と材料、キャベツを出し千切りにした。
鉢に小麦粉、『味元』、キャベツ、卵を割り空気を含むように、よくかき混ぜる。
フライパンの上に生地を流しスプーンの角を使って、約2cmの厚みになるように押し広げ焼く。
「やってみますか?」
「えっ、私は…」
「楽しいですよ」
「では、やってみます。こうですか?」
「そう、そうですよ。カロリーナ王女様」
「デヘヘヘヘ…」
「では生地の上にバラ肉を3枚のせま~す 。そしてこのヘラを使い、裏返します」
サッ!
「まぁ」
「やってみてください」
「えいっ!」
ぐしゃ!
「そうです。うまいうまい」
そしてまた裏返して焼く!
ソースをスプーンすくい生地にぬる。
そしてマヨネーズを網状に垂らして。
はい、お好み焼きのできあがり~!
「やって見てください」
「こうですか?キャッ。もう~奇麗に網目になりません!」
「大丈夫ですよ。味は変わりませんから。ご自分で作ったことが大事なんです」
「そ、そうですね。2人で作った初めての共同作業ですね」
辺り一面にソースのいい香りが漂う!
ガザガザ、ゴソゴソ。
「何をやっているんだ。あの2人は」
「料理を作っているようですが」
「美味しそうな臭いがするではないか」
「おぉ、カロリーナ王女があんなに楽しそうに笑っておるわ」
「これで2人の仲は間違いない」
「『愛し子』様を王族に取り込まないと」
「美味しそうだな」
茂みの中から覗かれているとは知らずに、2人は楽しい時間を過ごすのであった。
======================================
のちにこの話が王宮に広まり、商業ギルド経由でエリアス商会の調味料は普及していった。
それから貴族の間では結婚式の際に、初めての2人の共同作業ということで『お好み焼き』を焼くのが恒例となった。
新郎新婦は式の中盤から後半にかけ数十人もいる来賓に、ひたすら『お好み焼き』を焼くのであった。
ドレスもスーツもソースだらけが結婚式だ。
そして来賓も家に帰ってから、ソースの臭いが服から取れない。
結婚の厳しさを最初に思い知る、それが結婚式だ。
改めてみるとカロリーナ王女は髪は青色でロングだ。
この世界の髪の色はほんと、多彩だ。
「あの~エリアス様」
「エリアスでけっこうですよ。カロリーナ王女様」
「あっ、いぇ。いきなり呼捨てはまだ……ゴニョゴニョ」
な、なんだマリーお嬢様と同じ匂いがする。
歳が近いとみんなこんな感じなのか?
「あっ、ではエリアス。普段は何をしていますか?」
「開拓村をやっているので、開墾?」
「開墾ですか。その他には」
「森の中を歩いて果物を探して移植できないか考えています」
「果物ですか?今はどんなものが採れるのでしょうか?」
「柿とかブドウ、イチジクでしょうか?」
「イチジクですか?」
「はい、食べてみますか?」
そう言いながら俺はストレージからイチジクを出し半分に割った。
「どうぞ」
そう、言いながら半分差出し、残り半分を食べた。
恐る恐る一口食べたカロリーナ王女は漫勉の笑みを浮かべ、
「「「 甘~い!! 」」」
とても美味しそうに微笑んだ。
聞いたところ、カロリーナ王女のお父さんはイクセル王子で、お母さんはポーリーン王女。
サバイア陛下が現役のため、イクセル王子は内政を担当しているとか。
カロリーナ王女は14歳で、その上に2歳年上の兄ヘルムート王子がいる。
そして他にも腹違いの男の兄弟が2人いるが、ほとんど会うことはないと言う。
「エリアスはお料理もお上手とか?」
「上手と言うほどでは」
「食べてみたいですわ~」
特に会話もなく、間が持たないのでつい、言ってしまった。
「作りますか?」
「作っていただけるのでしか?」
「では2人で作りましょうか」
「私もですか」
「はい。楽しいですよ」
そういうと俺はストレージから魔道卓上コンロとプレート、鉢を出した。
「まぁ!」
出したものを見てカロリーナ王女は驚いていた。
そしてまな板と材料、キャベツを出し千切りにした。
鉢に小麦粉、『味元』、キャベツ、卵を割り空気を含むように、よくかき混ぜる。
フライパンの上に生地を流しスプーンの角を使って、約2cmの厚みになるように押し広げ焼く。
「やってみますか?」
「えっ、私は…」
「楽しいですよ」
「では、やってみます。こうですか?」
「そう、そうですよ。カロリーナ王女様」
「デヘヘヘヘ…」
「では生地の上にバラ肉を3枚のせま~す 。そしてこのヘラを使い、裏返します」
サッ!
「まぁ」
「やってみてください」
「えいっ!」
ぐしゃ!
「そうです。うまいうまい」
そしてまた裏返して焼く!
ソースをスプーンすくい生地にぬる。
そしてマヨネーズを網状に垂らして。
はい、お好み焼きのできあがり~!
「やって見てください」
「こうですか?キャッ。もう~奇麗に網目になりません!」
「大丈夫ですよ。味は変わりませんから。ご自分で作ったことが大事なんです」
「そ、そうですね。2人で作った初めての共同作業ですね」
辺り一面にソースのいい香りが漂う!
ガザガザ、ゴソゴソ。
「何をやっているんだ。あの2人は」
「料理を作っているようですが」
「美味しそうな臭いがするではないか」
「おぉ、カロリーナ王女があんなに楽しそうに笑っておるわ」
「これで2人の仲は間違いない」
「『愛し子』様を王族に取り込まないと」
「美味しそうだな」
茂みの中から覗かれているとは知らずに、2人は楽しい時間を過ごすのであった。
======================================
のちにこの話が王宮に広まり、商業ギルド経由でエリアス商会の調味料は普及していった。
それから貴族の間では結婚式の際に、初めての2人の共同作業ということで『お好み焼き』を焼くのが恒例となった。
新郎新婦は式の中盤から後半にかけ数十人もいる来賓に、ひたすら『お好み焼き』を焼くのであった。
ドレスもスーツもソースだらけが結婚式だ。
そして来賓も家に帰ってから、ソースの臭いが服から取れない。
結婚の厳しさを最初に思い知る、それが結婚式だ。
13
お気に入りに追加
197
あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる