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第9部 王都
第70話 共同作業
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レラスにカロリーナ王女と2人だけ残された俺。
改めてみるとカロリーナ王女は髪は青色でロングだ。
この世界の髪の色はほんと、多彩だ。
「あの~エリアス様」
「エリアスでけっこうですよ。カロリーナ王女様」
「あっ、いぇ。いきなり呼捨てはまだ……ゴニョゴニョ」
な、なんだマリーお嬢様と同じ匂いがする。
歳が近いとみんなこんな感じなのか?
「あっ、ではエリアス。普段は何をしていますか?」
「開拓村をやっているので、開墾?」
「開墾ですか。その他には」
「森の中を歩いて果物を探して移植できないか考えています」
「果物ですか?今はどんなものが採れるのでしょうか?」
「柿とかブドウ、イチジクでしょうか?」
「イチジクですか?」
「はい、食べてみますか?」
そう言いながら俺はストレージからイチジクを出し半分に割った。
「どうぞ」
そう、言いながら半分差出し、残り半分を食べた。
恐る恐る一口食べたカロリーナ王女は漫勉の笑みを浮かべ、
「「「 甘~い!! 」」」
とても美味しそうに微笑んだ。
聞いたところ、カロリーナ王女のお父さんはイクセル王子で、お母さんはポーリーン王女。
サバイア陛下が現役のため、イクセル王子は内政を担当しているとか。
カロリーナ王女は14歳で、その上に2歳年上の兄ヘルムート王子がいる。
そして他にも腹違いの男の兄弟が2人いるが、ほとんど会うことはないと言う。
「エリアスはお料理もお上手とか?」
「上手と言うほどでは」
「食べてみたいですわ~」
特に会話もなく、間が持たないのでつい、言ってしまった。
「作りますか?」
「作っていただけるのでしか?」
「では2人で作りましょうか」
「私もですか」
「はい。楽しいですよ」
そういうと俺はストレージから魔道卓上コンロとプレート、鉢を出した。
「まぁ!」
出したものを見てカロリーナ王女は驚いていた。
そしてまな板と材料、キャベツを出し千切りにした。
鉢に小麦粉、『味元』、キャベツ、卵を割り空気を含むように、よくかき混ぜる。
フライパンの上に生地を流しスプーンの角を使って、約2cmの厚みになるように押し広げ焼く。
「やってみますか?」
「えっ、私は…」
「楽しいですよ」
「では、やってみます。こうですか?」
「そう、そうですよ。カロリーナ王女様」
「デヘヘヘヘ…」
「では生地の上にバラ肉を3枚のせま~す 。そしてこのヘラを使い、裏返します」
サッ!
「まぁ」
「やってみてください」
「えいっ!」
ぐしゃ!
「そうです。うまいうまい」
そしてまた裏返して焼く!
ソースをスプーンすくい生地にぬる。
そしてマヨネーズを網状に垂らして。
はい、お好み焼きのできあがり~!
「やって見てください」
「こうですか?キャッ。もう~奇麗に網目になりません!」
「大丈夫ですよ。味は変わりませんから。ご自分で作ったことが大事なんです」
「そ、そうですね。2人で作った初めての共同作業ですね」
辺り一面にソースのいい香りが漂う!
ガザガザ、ゴソゴソ。
「何をやっているんだ。あの2人は」
「料理を作っているようですが」
「美味しそうな臭いがするではないか」
「おぉ、カロリーナ王女があんなに楽しそうに笑っておるわ」
「これで2人の仲は間違いない」
「『愛し子』様を王族に取り込まないと」
「美味しそうだな」
茂みの中から覗かれているとは知らずに、2人は楽しい時間を過ごすのであった。
======================================
のちにこの話が王宮に広まり、商業ギルド経由でエリアス商会の調味料は普及していった。
それから貴族の間では結婚式の際に、初めての2人の共同作業ということで『お好み焼き』を焼くのが恒例となった。
新郎新婦は式の中盤から後半にかけ数十人もいる来賓に、ひたすら『お好み焼き』を焼くのであった。
ドレスもスーツもソースだらけが結婚式だ。
そして来賓も家に帰ってから、ソースの臭いが服から取れない。
結婚の厳しさを最初に思い知る、それが結婚式だ。
改めてみるとカロリーナ王女は髪は青色でロングだ。
この世界の髪の色はほんと、多彩だ。
「あの~エリアス様」
「エリアスでけっこうですよ。カロリーナ王女様」
「あっ、いぇ。いきなり呼捨てはまだ……ゴニョゴニョ」
な、なんだマリーお嬢様と同じ匂いがする。
歳が近いとみんなこんな感じなのか?
「あっ、ではエリアス。普段は何をしていますか?」
「開拓村をやっているので、開墾?」
「開墾ですか。その他には」
「森の中を歩いて果物を探して移植できないか考えています」
「果物ですか?今はどんなものが採れるのでしょうか?」
「柿とかブドウ、イチジクでしょうか?」
「イチジクですか?」
「はい、食べてみますか?」
そう言いながら俺はストレージからイチジクを出し半分に割った。
「どうぞ」
そう、言いながら半分差出し、残り半分を食べた。
恐る恐る一口食べたカロリーナ王女は漫勉の笑みを浮かべ、
「「「 甘~い!! 」」」
とても美味しそうに微笑んだ。
聞いたところ、カロリーナ王女のお父さんはイクセル王子で、お母さんはポーリーン王女。
サバイア陛下が現役のため、イクセル王子は内政を担当しているとか。
カロリーナ王女は14歳で、その上に2歳年上の兄ヘルムート王子がいる。
そして他にも腹違いの男の兄弟が2人いるが、ほとんど会うことはないと言う。
「エリアスはお料理もお上手とか?」
「上手と言うほどでは」
「食べてみたいですわ~」
特に会話もなく、間が持たないのでつい、言ってしまった。
「作りますか?」
「作っていただけるのでしか?」
「では2人で作りましょうか」
「私もですか」
「はい。楽しいですよ」
そういうと俺はストレージから魔道卓上コンロとプレート、鉢を出した。
「まぁ!」
出したものを見てカロリーナ王女は驚いていた。
そしてまな板と材料、キャベツを出し千切りにした。
鉢に小麦粉、『味元』、キャベツ、卵を割り空気を含むように、よくかき混ぜる。
フライパンの上に生地を流しスプーンの角を使って、約2cmの厚みになるように押し広げ焼く。
「やってみますか?」
「えっ、私は…」
「楽しいですよ」
「では、やってみます。こうですか?」
「そう、そうですよ。カロリーナ王女様」
「デヘヘヘヘ…」
「では生地の上にバラ肉を3枚のせま~す 。そしてこのヘラを使い、裏返します」
サッ!
「まぁ」
「やってみてください」
「えいっ!」
ぐしゃ!
「そうです。うまいうまい」
そしてまた裏返して焼く!
ソースをスプーンすくい生地にぬる。
そしてマヨネーズを網状に垂らして。
はい、お好み焼きのできあがり~!
「やって見てください」
「こうですか?キャッ。もう~奇麗に網目になりません!」
「大丈夫ですよ。味は変わりませんから。ご自分で作ったことが大事なんです」
「そ、そうですね。2人で作った初めての共同作業ですね」
辺り一面にソースのいい香りが漂う!
ガザガザ、ゴソゴソ。
「何をやっているんだ。あの2人は」
「料理を作っているようですが」
「美味しそうな臭いがするではないか」
「おぉ、カロリーナ王女があんなに楽しそうに笑っておるわ」
「これで2人の仲は間違いない」
「『愛し子』様を王族に取り込まないと」
「美味しそうだな」
茂みの中から覗かれているとは知らずに、2人は楽しい時間を過ごすのであった。
======================================
のちにこの話が王宮に広まり、商業ギルド経由でエリアス商会の調味料は普及していった。
それから貴族の間では結婚式の際に、初めての2人の共同作業ということで『お好み焼き』を焼くのが恒例となった。
新郎新婦は式の中盤から後半にかけ数十人もいる来賓に、ひたすら『お好み焼き』を焼くのであった。
ドレスもスーツもソースだらけが結婚式だ。
そして来賓も家に帰ってから、ソースの臭いが服から取れない。
結婚の厳しさを最初に思い知る、それが結婚式だ。
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