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第9部 王都
第68話 謁見
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翌日、王都から呼び出しがあり、俺とドゥメルグ公爵様は登城することになった。
馬車で城に向かい、中に入りそこで更に待たされる。
どれだけ段階を踏むんだ。
今回俺は開拓村村長として呼ばれている。
村長が王都に呼ばれ王に会うことがあるのかだが。
俺は謁見の間に進み横にいるドゥメルグ公爵を見ている。
礼儀を間違えるといけないので、横目で公爵を見てその通りにしている。
前に進み跪く。
「面を上げい。ドゥメルグ公爵、遠路はるばる、ごくろうであった」
野太い声が聞こえ、顔を上げると50歳くらいの男性が立派な椅子に座っている。
これが国王クリストフ ・ディ・サバイアか。
そして隣には70歳くらいの背筋の通った老人が立っていた。
「そしてここまでごくろうであった。エリアス村長」
俺はただ頭を下げた。
「さてアスケルの森に村を作ったと聞いたが、ドゥメルグ公爵」
「はい、開拓が始まってから半年、開拓者5人で馬車6台分の収穫量がありました」
「ほう、そんなに早くか。どんなことをしたのかな、エリアス村長」
「私のスキルで土地を開拓し畑を耕しただけです。土は養分があり栄養にあふれ、作物が育ちやすい土地です」
「スキルとはどんなことが出来るのかな。聞くところによると生活魔法を2種類も使え容量の多いマジック・バッグを持っている。それだけでも十分価値があるのだが」
「私は物ではありません!価値があると言われても」
「エリアスこれ、エリアス村長」
「まあよい、ドゥメルグ公爵。私の言い方が悪かった。ウォルドの街でワイバーンを2匹倒したとか。しかもドラゴンを2匹倒すとは聞いたことがない」
「2体中1匹は売らなかったと聞いているが、本当ですかな?」
隣に立つ70歳くらいの老人が初めて口を開いた。
「これは失礼。私は宰相をやっているシオドリクというものだ」
「初めまして。シオドリク様」
「なぜ売らなかったのだ?」
「美味しいと聞いたからです」
「美味しい、と聞いたからだと。で、食べるのか?」
「はい。まずはタン(舌)から食べます」
「タンだと?」
「塩ダレを作り、焼肉は塩物から先に食べるんです」
「それからどうするのだ?」
「はい、まずロース(背肉)とカルビ(アバラ肉)に分けます」
「ロースとカルビだと?」
「塩、胡椒、醤油、砂糖と生姜で甘タレを作り、焼いた後でタレを付けて食べます」
「そ、それから」
「はい、ミノ(胃袋)に縦横に切れ目を浅く入れ、噛みやすくしてから食べます」
「な、なんだと~~!」
「ホルモン(直腸)は塩とタレで堪能します」
「塩とタレで堪能だとぉ~!そ、その残りは。まだ残るだろう?」
「村に帰ったらみんなで『カツ』にして食べようと思ってます」
「『カツ』だと~~!」
「えぇ、衣を付け油でカラッと揚げてソースをかけて食べるんです」
「ソ、ソースだと~~~~~!?」
「シオドリク宰相。エリアス村長は商会を営んでおり、そこで作っている調味料がソースです。他にも調味料や調理方法を提供し、アレンの街の食文化向上にも一役かっております」
「な、なに~!そんなに食べ方があるのか!!」
(お~い。誰かこの爺を、どこかに連れて行け~~!)
「まあまあ、シオドリク宰相。そんなに質問攻めでは、エリアス村長が困ってしまうだろう」
(食べ方のだろ)
「ですが陛下様。ではそのワイバーンは、どこにあるのでしょうか?」
「私のマジック・バッグの中に収納しています」
「そんな大きいものをか!」
「いいえ、そんなに大きくはありません。(緑竜に比べたら)せいぜい15mくらいですから」
「それが大きいと言うのだ。そんな容量のマジック・バッグは聞いたことがない!」
「エリアス村長、君に問おう。これから君はどうしたいのだ?」
「特にありません。ただ折角この国に来たので、開拓村を成功させたいと思います」
「異種族を集めてかい?」
国王が鋭い目で俺を見た。
「他に来てくれる人が居ないのであれば、来るものは拒みません」
「エリアス村長。陛下は人族に反感を持つ異種族を集め、君が何かを企んではいなかと危惧しておられるのだ」
「何かを?反乱でしょうか?そんなことは意味がありません」
「意味がないだと」
「はい、安住の地が欲しいなら私が、アスケルの森を平定すればいいだけです」
そう言う俺の声だけが広間に響いた。
馬車で城に向かい、中に入りそこで更に待たされる。
どれだけ段階を踏むんだ。
今回俺は開拓村村長として呼ばれている。
村長が王都に呼ばれ王に会うことがあるのかだが。
俺は謁見の間に進み横にいるドゥメルグ公爵を見ている。
礼儀を間違えるといけないので、横目で公爵を見てその通りにしている。
前に進み跪く。
「面を上げい。ドゥメルグ公爵、遠路はるばる、ごくろうであった」
野太い声が聞こえ、顔を上げると50歳くらいの男性が立派な椅子に座っている。
これが国王クリストフ ・ディ・サバイアか。
そして隣には70歳くらいの背筋の通った老人が立っていた。
「そしてここまでごくろうであった。エリアス村長」
俺はただ頭を下げた。
「さてアスケルの森に村を作ったと聞いたが、ドゥメルグ公爵」
「はい、開拓が始まってから半年、開拓者5人で馬車6台分の収穫量がありました」
「ほう、そんなに早くか。どんなことをしたのかな、エリアス村長」
「私のスキルで土地を開拓し畑を耕しただけです。土は養分があり栄養にあふれ、作物が育ちやすい土地です」
「スキルとはどんなことが出来るのかな。聞くところによると生活魔法を2種類も使え容量の多いマジック・バッグを持っている。それだけでも十分価値があるのだが」
「私は物ではありません!価値があると言われても」
「エリアスこれ、エリアス村長」
「まあよい、ドゥメルグ公爵。私の言い方が悪かった。ウォルドの街でワイバーンを2匹倒したとか。しかもドラゴンを2匹倒すとは聞いたことがない」
「2体中1匹は売らなかったと聞いているが、本当ですかな?」
隣に立つ70歳くらいの老人が初めて口を開いた。
「これは失礼。私は宰相をやっているシオドリクというものだ」
「初めまして。シオドリク様」
「なぜ売らなかったのだ?」
「美味しいと聞いたからです」
「美味しい、と聞いたからだと。で、食べるのか?」
「はい。まずはタン(舌)から食べます」
「タンだと?」
「塩ダレを作り、焼肉は塩物から先に食べるんです」
「それからどうするのだ?」
「はい、まずロース(背肉)とカルビ(アバラ肉)に分けます」
「ロースとカルビだと?」
「塩、胡椒、醤油、砂糖と生姜で甘タレを作り、焼いた後でタレを付けて食べます」
「そ、それから」
「はい、ミノ(胃袋)に縦横に切れ目を浅く入れ、噛みやすくしてから食べます」
「な、なんだと~~!」
「ホルモン(直腸)は塩とタレで堪能します」
「塩とタレで堪能だとぉ~!そ、その残りは。まだ残るだろう?」
「村に帰ったらみんなで『カツ』にして食べようと思ってます」
「『カツ』だと~~!」
「えぇ、衣を付け油でカラッと揚げてソースをかけて食べるんです」
「ソ、ソースだと~~~~~!?」
「シオドリク宰相。エリアス村長は商会を営んでおり、そこで作っている調味料がソースです。他にも調味料や調理方法を提供し、アレンの街の食文化向上にも一役かっております」
「な、なに~!そんなに食べ方があるのか!!」
(お~い。誰かこの爺を、どこかに連れて行け~~!)
「まあまあ、シオドリク宰相。そんなに質問攻めでは、エリアス村長が困ってしまうだろう」
(食べ方のだろ)
「ですが陛下様。ではそのワイバーンは、どこにあるのでしょうか?」
「私のマジック・バッグの中に収納しています」
「そんな大きいものをか!」
「いいえ、そんなに大きくはありません。(緑竜に比べたら)せいぜい15mくらいですから」
「それが大きいと言うのだ。そんな容量のマジック・バッグは聞いたことがない!」
「エリアス村長、君に問おう。これから君はどうしたいのだ?」
「特にありません。ただ折角この国に来たので、開拓村を成功させたいと思います」
「異種族を集めてかい?」
国王が鋭い目で俺を見た。
「他に来てくれる人が居ないのであれば、来るものは拒みません」
「エリアス村長。陛下は人族に反感を持つ異種族を集め、君が何かを企んではいなかと危惧しておられるのだ」
「何かを?反乱でしょうか?そんなことは意味がありません」
「意味がないだと」
「はい、安住の地が欲しいなら私が、アスケルの森を平定すればいいだけです」
そう言う俺の声だけが広間に響いた。
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