【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ

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第9部 王都

第67話 王都到着 どら焼き、しかもカスタード

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 王都が見えてきた。
 高い城壁に囲まれ遠くから見ると奥に塔が見える。
 あれはお城なのか?
 
 アレンの街を出てから6日目。
 天候にも恵まれ無事についた。
 これで雨に降られていたら、馬車の旅は大変なんだろうな。

 城門をくぐりまずは宿の確保だ。
 電話もなく予約もなしに来ているのだから、街に入ったらまずは宿探しになる。

 貴族専用の宿で泊まることになり、部屋で一休みすることにした。
 今は昼頃なのでこれから城に使いを出し、到着したことを伝えいつ登城したらいいのか伺うのだとか。
 相手の都合がつかなければ、いつまでも待つのだろろうか?
 いつ呼び出しが来てもいいように宿屋で待っている。
 面倒な話だ。

 暇なので宿屋でできることを考えた。
 それはお菓子作りだ。

 貴族御用達の宿屋なら材料が豊富だからだ。
 さっそく厨房に行き、お菓子を作らせてほしいと頼んだ。

 礼服を着ているので貴族の坊ちゃんと、勘違いしたのか渋々了承してくれた。
 なんせ公爵家の連れだものね。

 この世界は1日2食で午後の時間なので、厨房の中は休憩中なのか人がいない。
 さすがに勝手に厨房の中を探すわけにもいかず困っていると、調理人らしい30代後半の男性が来てくれた。

「あなた様ですか。厨房を使いたいと言うのは?」
「はい、そうです。いつ宿から出れるかわからないので、美味しいものでも作って気晴らしになればと思いまして」
「料理をされるのですか?」
「えぇ、私は貴族ではありませんから」
「あぁ、そうでしたか。私はてっきり」
「貴族の連れではありますけどね(笑)」
「作るのを見ていて良いでしょうか?」
「えぇ、どうぞ」

 話を聞くと厨房で下働きをしているロドニーさんいう人で、厨房を使いたい貴族の人がいるから案内をするように支配人から言われてきたと言う。
 誠にすみません!

 まず用意するのは卵(卵黄)、小麦粉、砂糖、水だ。
 調理用のはちに卵黄、小麦粉、砂糖を入れて、全体が混ざる様によくかき混ぜる。
 そして水を少しずつ加えて混ぜる。
 オーブンで2分くらい加熱し、出してからさらに混ぜる。
 そしてもう一度同じことを繰り返す。 
 2分加熱して混ぜる。それをもう一度繰り返す。 
 好みの固さぐらいになるまで繰り返したら、はいカスタードクリームの完成!


 そして今度は小麦粉、砂糖、卵、牛乳だ。
 牛乳はクリームシチューを作った時の残りだ。
 はちに小麦粉、砂糖、牛乳と卵を加えて混ぜる。 
 フライパンを熱し油を引いて鉢で混ぜたものを、直径10cmほどになるように流し入れて両面を焼く。
 これをまず4個作りま~す。 
 そして焼きあがったらカスタードクリームを乗せ、更にその上に焼きあがった生地を置き挟み、そこに砂糖を軽く振りかける。
 はい、カスタードクリームどら焼き、のできあがり~!

「はい、できましたよ。ロドニーさん」
「甘くて美味しそうな臭いがしますね」
「では食べましょうか」
「えっ、頂けるのですか?」
「勿論です。一人で食べても、お美味しくなりませんから。さあ、どうぞ」
「では、遠慮なく…」
 パクッ。モグモグモグ…。

「「「「 お、美味しい~~!!これは何というお菓子ですか 」」」」

「どら焼きです」
「とても美味しいです。こんな味のお菓子の店を出すのが夢です」
「出したらいいじゃないですか?パンに挟んでも美味しいですよ」
「えっ!良いんですか。レシビを使っも」
「勿論です、いくらでも使ってください」
「あ、あなたはなんと言う、お名前なのですか?」
「エリアスです」
「エリアス様ですね。私はけしてこの御恩を忘れません」
 
宿屋中に甘い匂いが立ち込めカトリーンお嬢様や、マリーお嬢様がやってきた。
公爵や執事のアルマンさん、宿屋の従業員も集まり、俺とロドニーさんはひたすら皆のためにどら焼きを焼いた。

======================================

 その後、ロドニーさんは店を辞め独立した。
 俺に教わった『どら焼き』で店を出したのだ。
『どら焼き』だけではなく、カスタードクリームをパンに挟んだ『どら焼きパン』
 カスタードクリームをクッキー仕立てにした『どら焼きクッキー』
 そうロドニーさんは『どら焼き』と聞き、カスタードクリームのことだと思ったのだ。
 そして頭に『どら焼き』の名がつく甘そうなお菓子を生涯、たくさん作り子供達を笑顔にするのであった。

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