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第9部 王都
第65話 王都へ 4日目 ウォルドの街
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アレンの街を出てから4日目だ。
一日40~50kmを馬車で移動しているとしたら、王都まで160~200kmくらいか?
地球でいえば県をいくつ分、移動したことになるのだろう?
さすがに4日目になると、話ことも無くなりみんな無口になる。
今日で順調にいけば、王都の隣にあるウォルドの街に入れるようだ。
ウォルドの街には大きな湖があり、鮎や海老が美味しいとか。
しかし退屈だ。
道の駅でもあれば、少しは気がまぎれるのだが。
実際に街の人たちは商人や貴族でもない限り、生まれてから死ぬまで街を出ることはないらしい。
街の外は危険がいっぱいだからだ。
だから旅先で困ったことがあっても、誰かに出会う可能性が低い。
例えば今、目の前の道を塞いでいる馬車の様に。
俺たちが乗っている馬車が止まった。
どうしたのか聞いてみると、他の馬車が道を塞いでおり通れないと言う。
商人らしい馬車の車輪が轍にはまり、動けなくなっているようだった。
馬車を降りて近づいてみると商人と、それを護衛する冒険者が4人だった。
「お困りのようですね」
「あぁ、見ての通りですよ」
30代後半の商人さんが言う。
俺は馬車に戻り公爵様に事情を話した。
商人の馬車が道を塞いでおり、どかさないと通れないことを。
公爵の指示で最低限の護衛を公爵の馬車に残し、商人の馬車をみんなで押した。
さすがに20人近くの人数で押しただけあり、馬車は轍から出せた。
そんな時だった。
「「「「「 バンッ!! 」」」」」
大きな音がしたかと思うと公爵の侍女たちが乗った馬車が消えていた。
そして上を見ると大きな魔獣がいた!
【スキル・鑑定】簡略化発動
名前:ワイバーン
種族:魔獣
年齢:150歳
性別:オス
レベル:35
【特徴】
ドラゴンの頭、コウモリの翼、ワシの様な脚、毒針の生えた尾を持つドラゴン
飛行速度が速く知能は獣並みで、ドラゴンと比べると小型で弱い
ワイバーンの脚には侍女達が乗った馬車が捕まれていた。
そして空高く舞い上がり、山脈の方に飛んで行った。
あっという間の出来事だった。
馬車の商人はガタガタ震えていた。
「私はウォルドの街の商人ですが、最近ワイバーンが現れ旅人を襲うと聞いていましたが、まさが襲われるとは」
ウォルドの街の公爵家も対応に動いてはいるが、空を飛ぶ魔獣のため、手をこまねているとのこと。
「たしかウォルドの街はノルベール公爵の管轄だったはずだ。寄っていこう」
ドゥメルグ公爵はそう言い、動揺しているみんなを落ち着かせた。
その後、商人の先を行き急いでウォルドの街に入った。
そのままノルベール公爵家に向かった。
そしてドゥメルグ公爵は、ノルベール公爵に至急会いたいと面会を求めたのだ。
お供は執事のアルマンと、なぜか俺だった。
客間に通されしばらく待っていると、恰幅のいい40代の男性が入ってきた。
「これはこれはドゥメルグ公爵。わざわざお越し頂くとは。本日はどの様なご用件ですかな」
「突然の訪問となり、お詫びいたします。実は王都に向かっていたのですが、くる道中でワイバーンに襲われ、侍女たちが乗った馬車ごと持っていかれまして」
「おぉ、それは災難でした。実は数か月前からワイバーンの被害が出ており、手を尽くしてはおるが、分かったことはバーク山脈に巣くっていることくらいでして」
「討伐隊は出さないのですか?」
「相手は空を飛ぶ。森の中を進み山脈に向かい、しかも出せる兵も500人だな。攻めてくれば別だが、こちらから攻めるのは得策ではない」
そして簡単な自己紹介が始まった。
俺のことは開拓村の村長だと言ったら、馬鹿にしたような顔をされたぞ。
聞いた話ではどの街も平均人口は1万人くらいらしい。
そして国や騎士に属しているのが、その内の二割もいない。
ワイバーン討伐に直ぐに出せるのは500人くらいだとか。
そして空にいる魔物にどの様な攻撃手段があるというのか。
攻めても勝ちはないと言われた。
「居場所は分かっているのなら、俺が行きましょう」
「何をいっているのかな、君は?」
「彼ならできるかもしれませんよ、ノルベール公爵」
「どういうことでしょう、ドゥメルグ公爵」
「『愛し子』と言えばお分かりですかな?」
「な、なんと!」
「彼を王都に連れていくのはあくまでも『開拓村の村長』として、ですけどね」
「だが、手はあるのかね?『愛し子…「エリアスで結構です」
「ではエリアス君。どんな勝算があるのかね」
「バーク山脈に巣くっていることは間違いないのですね」
「あぁ、そうだ。ただ詳しい場所までは分からん」
「でも手はあります」
そう俺は言って、笑った。
一日40~50kmを馬車で移動しているとしたら、王都まで160~200kmくらいか?
地球でいえば県をいくつ分、移動したことになるのだろう?
さすがに4日目になると、話ことも無くなりみんな無口になる。
今日で順調にいけば、王都の隣にあるウォルドの街に入れるようだ。
ウォルドの街には大きな湖があり、鮎や海老が美味しいとか。
しかし退屈だ。
道の駅でもあれば、少しは気がまぎれるのだが。
実際に街の人たちは商人や貴族でもない限り、生まれてから死ぬまで街を出ることはないらしい。
街の外は危険がいっぱいだからだ。
だから旅先で困ったことがあっても、誰かに出会う可能性が低い。
例えば今、目の前の道を塞いでいる馬車の様に。
俺たちが乗っている馬車が止まった。
どうしたのか聞いてみると、他の馬車が道を塞いでおり通れないと言う。
商人らしい馬車の車輪が轍にはまり、動けなくなっているようだった。
馬車を降りて近づいてみると商人と、それを護衛する冒険者が4人だった。
「お困りのようですね」
「あぁ、見ての通りですよ」
30代後半の商人さんが言う。
俺は馬車に戻り公爵様に事情を話した。
商人の馬車が道を塞いでおり、どかさないと通れないことを。
公爵の指示で最低限の護衛を公爵の馬車に残し、商人の馬車をみんなで押した。
さすがに20人近くの人数で押しただけあり、馬車は轍から出せた。
そんな時だった。
「「「「「 バンッ!! 」」」」」
大きな音がしたかと思うと公爵の侍女たちが乗った馬車が消えていた。
そして上を見ると大きな魔獣がいた!
【スキル・鑑定】簡略化発動
名前:ワイバーン
種族:魔獣
年齢:150歳
性別:オス
レベル:35
【特徴】
ドラゴンの頭、コウモリの翼、ワシの様な脚、毒針の生えた尾を持つドラゴン
飛行速度が速く知能は獣並みで、ドラゴンと比べると小型で弱い
ワイバーンの脚には侍女達が乗った馬車が捕まれていた。
そして空高く舞い上がり、山脈の方に飛んで行った。
あっという間の出来事だった。
馬車の商人はガタガタ震えていた。
「私はウォルドの街の商人ですが、最近ワイバーンが現れ旅人を襲うと聞いていましたが、まさが襲われるとは」
ウォルドの街の公爵家も対応に動いてはいるが、空を飛ぶ魔獣のため、手をこまねているとのこと。
「たしかウォルドの街はノルベール公爵の管轄だったはずだ。寄っていこう」
ドゥメルグ公爵はそう言い、動揺しているみんなを落ち着かせた。
その後、商人の先を行き急いでウォルドの街に入った。
そのままノルベール公爵家に向かった。
そしてドゥメルグ公爵は、ノルベール公爵に至急会いたいと面会を求めたのだ。
お供は執事のアルマンと、なぜか俺だった。
客間に通されしばらく待っていると、恰幅のいい40代の男性が入ってきた。
「これはこれはドゥメルグ公爵。わざわざお越し頂くとは。本日はどの様なご用件ですかな」
「突然の訪問となり、お詫びいたします。実は王都に向かっていたのですが、くる道中でワイバーンに襲われ、侍女たちが乗った馬車ごと持っていかれまして」
「おぉ、それは災難でした。実は数か月前からワイバーンの被害が出ており、手を尽くしてはおるが、分かったことはバーク山脈に巣くっていることくらいでして」
「討伐隊は出さないのですか?」
「相手は空を飛ぶ。森の中を進み山脈に向かい、しかも出せる兵も500人だな。攻めてくれば別だが、こちらから攻めるのは得策ではない」
そして簡単な自己紹介が始まった。
俺のことは開拓村の村長だと言ったら、馬鹿にしたような顔をされたぞ。
聞いた話ではどの街も平均人口は1万人くらいらしい。
そして国や騎士に属しているのが、その内の二割もいない。
ワイバーン討伐に直ぐに出せるのは500人くらいだとか。
そして空にいる魔物にどの様な攻撃手段があるというのか。
攻めても勝ちはないと言われた。
「居場所は分かっているのなら、俺が行きましょう」
「何をいっているのかな、君は?」
「彼ならできるかもしれませんよ、ノルベール公爵」
「どういうことでしょう、ドゥメルグ公爵」
「『愛し子』と言えばお分かりですかな?」
「な、なんと!」
「彼を王都に連れていくのはあくまでも『開拓村の村長』として、ですけどね」
「だが、手はあるのかね?『愛し子…「エリアスで結構です」
「ではエリアス君。どんな勝算があるのかね」
「バーク山脈に巣くっていることは間違いないのですね」
「あぁ、そうだ。ただ詳しい場所までは分からん」
「でも手はあります」
そう俺は言って、笑った。
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