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第9部 王都

第63話 王都へ 2日目 盗賊

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 王都へ出発し2日目。
 天気もよく風が気持ちいい。
 しかしお尻と体が痛い。
 天気が変わらない内に早く進みたいとかで朝、村を出てから途中で軽く昼休憩をしたが、もう6時間も馬車に揺られている。
 テレビでも馬車の中にあれば別だが、することがない。
 馬車の中はドゥメルグ公爵と執事のアルマンさん。
 マリーお嬢様とカトリーンお嬢様。
 この面子でどうすればいいのだ。

 後2~3時間進むとエターブと言う町に着くらしい。
 今日はそこで宿をとる。

 そんな時、執事のアルマンが話しかけてきた。
「エリアス様は錬金術師ですよね?」
「えぇ、多分。私自身は特に肩書を、決めつけなくてもいいと思っていますが」
「あれだけ見事な魔道コンロをお作りになれるなら、どこの国に行っても宮廷錬金術師になれるでしょう」
「そんなことには興味はありません」
「では、どんなことに興味があるのですか?」

「そうですね。特に考えたことがありません。あるとすれば、いかに楽しく過ごせるか、でしょうか?」
「楽しく過ごせるとは、どのようなことでしょうか?」

 まるで禅問答のような会話だ。
 しかも馬車の中では逃げようがない。

 そんな時、突然馬車が止まった。

「どうしたのだ」
 執事のアルマンさんが従者に聞く。
「はい、どうやらこの先で馬車が襲われているようです」

 馬車を降りよく見てみると遠くではあるが、道の先に襲われている馬車がある。
 
「いかがされますか、公爵様」
「助けてはやりたいが、こちらの警備を割く訳にもいかぬ。だがこのまま終わるのを待つのも忍びない」
「お父さま、助けてあげてください」
「わかっているマリー。だが相手が弓を持っている場合、こちらも被害が出る。それに盗賊なら、逆らわなければ取られることは無いはずだ」
 男は金目の物を差し出し、器量の良い女子供は慰みものになるか、売られるか。
 確かに逆らわなければ殺されることはないのだ。
 
「私が行きましょう」
「エリアス様!」
「エリアス君。危険だ」
「大丈夫です、公爵様。見捨てる事もできず、手も出せないなら私が行きますから」

 そして俺は走りながらストレージから、創ったばかりのクロスボウを出した。
 遠距離からの複数戦を考え旅立つ前に創っておいたのだ。
 弓の台座上に矢を入れるカートリッジを付け、台座下のレバーを前後することで弓の弦が引かれ矢も装着され引き金を引くことで10連射が可能になるのだ。

 近づくと乗合馬車から人が7~8人降りて座らされている。
 盗賊は見える範囲で左右に5人で計10人、弓を持つ者が内4人いる。
 まずは手前の盗賊からだ。

「シュッ!」「シュッ!」「シュッ!」「シュッ!」

「ぐぇ!」
「うっ!」
「ひぃ~」
「うぐぅ!」
 貫通力が高いせいかそれぞれ、防具を貫通し胴や胸に刺さっている。

「「「「 奇襲だ~! 」」」」
「「「「 どこからだ! 」」」」

 俺はクロスボウをストレージに仕舞い、代わりに『ファルクス』を出した。

〈〈〈〈〈 乱舞切り 〉〉〉〉〉

「ドスッ!」「バサッ」「グァ~!」「あぁ、、」
 手が吹き飛び血が舞い、俺が『ファルクス』を振るうたびに人が空を飛ぶ!!

 片側の盗賊を倒し馬車を飛び越え、向かいに降り立つ。
 残り3人。
 盗賊たちが一瞬怯んだが切りかかる。
 相手が剣で防ぐも気にせず切り倒す。
 俺の一撃は重く、それだけで相手は体勢を崩すからだ。
 
 そして僅かな間で決着は着いた。

 辺りは血の匂いが立ち込め、腕や内臓が飛び散っている。
 馬車のお客はあまりのことに呆然としている。

 俺は盗賊の遺体や内臓をストレージに収容し、生活魔法の水を使い周りの血を奇麗に洗った。
 ドゥメルグ公爵の馬車が近づき、中からアルマンさんとドゥメルグ公爵様が降りてきた。

「こちらはアレンの街の領主、ドゥメルグ公爵様です」

「「「 公爵様!! 」」」

「みなさん、怪我はありませんか?」
「はい、おかげさまで」
「助かりました」
「「ありがとうございました」」
 と、馬車のお客はみんな口々にお礼を言う。

 この辺りは盗賊はおらず安心できる街道だったとか。
 多分、今回は新たな盗賊団が移住してきたのではないか、ということになった。
 警備隊に遺体を渡せば報奨金が出ると言う。
 盗賊団のねぐらがあるはずであり、公爵が町に着き次第手配させると言っていた。
 
 その後、しばらく行くとエターブの町に着いた。
 警備所に盗賊の遺体を出し装備品をもらえると言われたので、武器だけもらうことにした。
 後はドゥメルグ公爵が討伐の手配を頼んでいた。

 宿だがさすがに40人以上泊まれる宿屋は無く、分かれて泊まることになった。

 自由にできるかと思ったが、ドゥメルグ公爵と執事のアルマンさん、マリーお嬢様とカトリーンお嬢様と同じ宿だった。

 
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