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第9部 王都
第61話 要請
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俺は久しぶりにアレンの街にいる。
商会をアルバンさんたちに任せたまま、という訳にもいかないからだ。
大司教ヨハネス様のご厚意で商会はシャルエル教内にあると聞いてきた。
だが教会内というより、商会内に教会があるような作りになっている。
いつの間にここまで大きくなったんだ?
普段、俺が不在のため、アルバンさんが商会の経営者と思う人が多いようだ。
みんなから『社長』と言われ困っていると。
それならいっそアルバンさんは『社長』で、おれは『会長』で良いことにした。
アルバンさんが困った顔をしていたが。
その足で今度はアバンス商会に寄った。
アイザックさんに、住民が増えダークエルフだと言うことを伝えておいた。
事前に伝えて置かないと、鳥人族の時の様に驚かれても困るからだ。
そして今度は商業ギルドだ。
受付のノエルさんのところに行き、『カステラ』『カツ』『唐揚げ』『ポトフ』の作り方の特許申請を出した。
公爵家の晩餐会で出されたものだと聞けば、自分の店で出そうと考える人も出てくるだろう。
これで屋台や店が増えれば良いと思う。
情報量は手ごろな3万円にした。
またエリアス商会も今までは卸業者扱いだったが、これからは店頭販売することもあるので店頭販売許可も取っおいた。
そして最後に行くところがドゥメルグ公爵家だ。
開拓村が軌道に乗るまでは定期的に報告に行かなといけないのだ。
執事のアルマンさんに客間に通され公爵が来るのを待っている。
ドアが開きドゥメルグ公爵が入ってきた。
「すまない。待たせてしまって」
「いいえ、こちらこそ突然、お伺いしまして」
「で、開拓の方はどうだい。順調だと聞いたが」
「はい、秋の収穫はそこそこでしたから」
「そこそこね。君を入れて開拓者5人で馬車6台分の収穫量。しかも開拓が始まってからまだ半年だ。こんなに早く出来るなら開拓に、誰も苦労しない」
「それは私のスキルのおかげです」
「ほう、スキルね。聞いてもいいのかな?」
「いえ、お答えできません」
「だろうな、君は女神ゼクシーの愛し子だ。無理強いはできん」
「それに今、移住者は40人になりました。ただみなさんからすれば、異種族と呼ばれる人たちですがね」
「異種族か。人族から追いやられアスケルの森に棲んでいる人たちか」
「彼らは森に棲んでいるだけあって、森にことに詳しく戦闘能力も高いので助かっています」
「そんなに違うのか」
「アスケルの森の魔物は騎士レベルでは勝てません」
「それほどか。そういえばエリアス君も、トロールを一刀の元に切り伏せる技量があるとか聞いたが」
「冒険者ギルドに聞いたのですか。たまたまです」
「たまたまでBランク冒険者5人でかからないと倒せないトロールを、一人で倒せるものか」
そしてこれからの予定を聞かれ、冬に向かうので畑や野菜もできることが限られ、来春になれば養鶏や綿作りにも力を入れられることを話した。
「それなら今は手が空くのだな」
「はい?」
「だから今なら手が空くのかと聞いているのだ」
「どういうことでしょうか?」
「王都から君を連れてくるように要請が来ているのだ。愛し子としての君には要請できないが、開拓村村長としてなら要請できるからな」
「はは、開拓村の村長を王都が呼び出しを掛けるのも変ですけどね」
「まあ、そう言わずに付き合ってくれ。私も苦しい立場なのだ」
「王都までどのくらい掛かるのでしょうか?」
「途中で小さい町を経由し馬車で1週間くらいだ」
「いつぐらいに行けばいいのでしょうか?」
「今すぐだ」
「はい?」
「今すぐにでも来てほしいそうだ」
「では3日猶予をください。それまでに準備をします」
「わかった。こちらも王都に手紙を出しておこう」
それから俺はアルバンさん、商業ギルド、アバンス商会に事情を話して回った。
開拓村に戻り、みんなにも事情を話した。
そして3日はあっと言う間に過ぎ、いよいよ明日は王都へ出発の日だ。
商会をアルバンさんたちに任せたまま、という訳にもいかないからだ。
大司教ヨハネス様のご厚意で商会はシャルエル教内にあると聞いてきた。
だが教会内というより、商会内に教会があるような作りになっている。
いつの間にここまで大きくなったんだ?
普段、俺が不在のため、アルバンさんが商会の経営者と思う人が多いようだ。
みんなから『社長』と言われ困っていると。
それならいっそアルバンさんは『社長』で、おれは『会長』で良いことにした。
アルバンさんが困った顔をしていたが。
その足で今度はアバンス商会に寄った。
アイザックさんに、住民が増えダークエルフだと言うことを伝えておいた。
事前に伝えて置かないと、鳥人族の時の様に驚かれても困るからだ。
そして今度は商業ギルドだ。
受付のノエルさんのところに行き、『カステラ』『カツ』『唐揚げ』『ポトフ』の作り方の特許申請を出した。
公爵家の晩餐会で出されたものだと聞けば、自分の店で出そうと考える人も出てくるだろう。
これで屋台や店が増えれば良いと思う。
情報量は手ごろな3万円にした。
またエリアス商会も今までは卸業者扱いだったが、これからは店頭販売することもあるので店頭販売許可も取っおいた。
そして最後に行くところがドゥメルグ公爵家だ。
開拓村が軌道に乗るまでは定期的に報告に行かなといけないのだ。
執事のアルマンさんに客間に通され公爵が来るのを待っている。
ドアが開きドゥメルグ公爵が入ってきた。
「すまない。待たせてしまって」
「いいえ、こちらこそ突然、お伺いしまして」
「で、開拓の方はどうだい。順調だと聞いたが」
「はい、秋の収穫はそこそこでしたから」
「そこそこね。君を入れて開拓者5人で馬車6台分の収穫量。しかも開拓が始まってからまだ半年だ。こんなに早く出来るなら開拓に、誰も苦労しない」
「それは私のスキルのおかげです」
「ほう、スキルね。聞いてもいいのかな?」
「いえ、お答えできません」
「だろうな、君は女神ゼクシーの愛し子だ。無理強いはできん」
「それに今、移住者は40人になりました。ただみなさんからすれば、異種族と呼ばれる人たちですがね」
「異種族か。人族から追いやられアスケルの森に棲んでいる人たちか」
「彼らは森に棲んでいるだけあって、森にことに詳しく戦闘能力も高いので助かっています」
「そんなに違うのか」
「アスケルの森の魔物は騎士レベルでは勝てません」
「それほどか。そういえばエリアス君も、トロールを一刀の元に切り伏せる技量があるとか聞いたが」
「冒険者ギルドに聞いたのですか。たまたまです」
「たまたまでBランク冒険者5人でかからないと倒せないトロールを、一人で倒せるものか」
そしてこれからの予定を聞かれ、冬に向かうので畑や野菜もできることが限られ、来春になれば養鶏や綿作りにも力を入れられることを話した。
「それなら今は手が空くのだな」
「はい?」
「だから今なら手が空くのかと聞いているのだ」
「どういうことでしょうか?」
「王都から君を連れてくるように要請が来ているのだ。愛し子としての君には要請できないが、開拓村村長としてなら要請できるからな」
「はは、開拓村の村長を王都が呼び出しを掛けるのも変ですけどね」
「まあ、そう言わずに付き合ってくれ。私も苦しい立場なのだ」
「王都までどのくらい掛かるのでしょうか?」
「途中で小さい町を経由し馬車で1週間くらいだ」
「いつぐらいに行けばいいのでしょうか?」
「今すぐだ」
「はい?」
「今すぐにでも来てほしいそうだ」
「では3日猶予をください。それまでに準備をします」
「わかった。こちらも王都に手紙を出しておこう」
それから俺はアルバンさん、商業ギルド、アバンス商会に事情を話して回った。
開拓村に戻り、みんなにも事情を話した。
そして3日はあっと言う間に過ぎ、いよいよ明日は王都へ出発の日だ。
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