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第8部 開拓村

第59話 ダークエルフの諸事情

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 ダークエルフが村に移住してきてから、俺たちの作業はとても楽になった。
 畑や果実園、ムッカ(牛もどき)や養鶏場の世話も彼らに任せている。
 元々、森の中で暮らしていただけあって知識も豊富だ。
 そして彼らに手伝ってもらい麦を植えた。

 彼らは弓が得意で矢に風の魔法を乗せ、目もよく遠くの的でも正確に打ち抜く。
 そして手が空けば森に行き、魔獣を狩り夕食になる。
 いい戦力だ。

 村に来た当初は28人では屋敷の部屋が足りず、ホールなどに寝てもらっていた。
 その後、屋敷ではなくそれぞれで住みたいと言うので、伐採済みの木材を与えた。
 彼らは非常に手先が器用で、俺の屋敷を中心にして扇状にあっという間に左右に何件も家を建ててしまった。
 寝具も買い揃えないといけないな。

 彼らには衛生面で毎日、体を洗うように伝えた。
 お風呂の習慣がなく水浴びならあると言うので、彼らたちの家の並びにシャワー小屋を建て、毎日浴びるように伝えた。

 養鶏場のラプタ(卵を産む鳥)も、鳥人族の人たちが森に探しに行ってくれ、今ではオスメス合わせて30匹くらいになった。
 肉にするなら良いが、卵をこれから取ることを考えると先は長い。
 
 ムッカが畑を耕すことが出来るように代掻き馬鍬しろかきまぐわを作って置いた。
 これは地球で言えば昭和初期のTVニュースなどでよく見る、木製の枠に細く鋭い鉄の歯を複数付けて牛や馬に引かせ、水を張った田んぼの表面を平らにし、苗の発育や田の土を細かくする農具だ。

 いずれ子供が出来て、お乳が出るようになったら牛乳を搾ろう。


 ダークエルフが来てから問題が1つある。
 それは男女比だ。
 28人中、成人男性8人。成人女性15人。
 残りの5人が10~12歳の子供達だ。
 
 ダークエルフは18歳くらいで成長が止まり、300~500歳くらいで寿命を迎える。
 部族繁栄のためにも子作りは大事だが、男性は女性15人から好きな女性を選べば良い、というものではないらしい。
 俺から見たら彼女らは18歳くらいに見えても高齢の人もおり、若い男性のダークエルフからすれば『お婆ちゃんとできるか!!』と、なるらしい。
 元々、長寿のため、子供を作る意識が低い。
 その上、中々カップルが出来ないイコール子供が増えない、になる。

 他のダークエルフの部族を探すことを勧めたが、生活圏内で他のダークエルフを見たことはなかったという。

 そして回ってきたのが俺だ。
 戦闘力が高く若い。
 優れた子孫を残すには丁度、いいらしい。
 品種改良を受ける家畜か!
 生まれてくる子供も、ダークエルフ、ハーフエルフ、人族の3パターンらしい。
 どんな子が生まれても部族で可愛がり育て、村長の俺には責任を求めないと言う。
 それではまるで俺が『責任を取らない』みたいな言い方だ。

 俺との行為を成人女性15人中、5人が希望していると言う。
 種馬なのか俺は?

 ダークエルフのみなさんには『俺は割り切ることが出来ない』と、言い訳をして丁重にお断りをした。
 みんな真面目なんだね~、と言ってくれた。
 そしてなぜかアナベルさんと、鳥人族シビルさんがホッとした顔をしていた。

 それから俺は逆に『遊びでは抱かない』と評価が上がり、ダークエルフの女性から『彼女にしてほしい』と、熱烈にアピールされるのであった。
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