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第8部 開拓村

第57話 緑竜

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 昼ご飯を食べ休んでいると鳥人族のシビルさんが飛んできた。

 ここから北の方で緑竜グリーンドラゴンと複数の誰かが戦っている。
 ここから距離はあるので今は影響はないが、この先次第ではどうなるか分からないと言う。

 決着がつき済めばいいが、こちらに来てからでは遅い。
 見に行ってみるか。

 シビルさんに聞いた方向に走る。
 しばらく走ると向こうに6階建てのビルくらいの大きい山が見えてきた。
 よく見ると緑色の竜だった。

 でかい!
 そして周りに人が30人くらいおり、戦っている。
 よく見ると彼らは弓矢に魔法を付与しているらしく、とても早く飛び威力がありそうだった。

 〈〈〈〈〈 グォ~~~!! 〉〉〉〉〉
 緑竜が雄たけびを上げ動くたびに木々が折れ、森が破壊されていく。
 
 だが緑竜の鱗は固く、彼らの攻撃は決定打にならない。

 その時、緑竜が口を開いたかと思うと口の中が淡く光り、何かを吐いた。

「「「「 ブァーーーーーーーーーーーー!! 」」」」

 右から左にブレスを吐いたのだ。
 木々がなぎ倒され人が舞い上がり、横にも上にも逃げ場がない。
 俺も逃げられない。
 とっさにストレージを体の周りに張り、ブレスを吸収した。
 どうやらブレスは魔力を凝縮し、ぶつける攻撃らしい。
 よく見ると戦っていた人たちも、木々一緒に吹き飛ばされていた。

〈〈〈〈〈 グォ~~~ン!! 〉〉〉〉〉
 緑竜が雄たけびを上げ進んで行く。
 その先に倒れても立ち上がりながら、行く手を阻む人々。
 どうやらその先に行かせたくない場所があるようだ。

 このまま行った場合、俺の村近くを緑竜が通ることになる。
 やってみるか?

 ストレージカスタマイズ!
 生き物は収納できない。
 それ以外は収納可能。
 ・ ・ … … カスタマイズ完了!

 俺は緑竜の右方向から真っすぐに向かう。
 俺に気づいたのか緑竜は尻尾で薙ぎ払ってきた。

 俺の考えが間違っていなければ…。
 腕をクロスし防いだ。
〈〈〈〈〈 ドンッ!! 〉〉〉〉〉
 鈍い音がした。
 それだけだった。

 思ったとおりだ。
 ストレージは生き物をできない。
 これを利用し俺の体全体をストレージでおおったのだ。
 そして外から受ける物理攻撃は受け止め、衝撃は収納する。
 これならどんな攻撃も防げるのでは?

 緑竜は俺に攻撃が効かないことに苛立ったのか、何度も尻尾で薙ぎ払ってきた。
 そのたびに俺は腕をクロスし、尻尾の衝撃を収納した。
 そして緑竜が口を開き口の中が淡く光り、ブレスを吐いた!
 俺はすかさずブレスをストレージで収納。

 吐き終わり緑竜が口を閉じる前に、くち目掛けてブレスと収納しておいた尻尾の衝撃をまとめて『排出』!
〈〈〈〈〈 グォ------------------------------------!! 〉〉〉〉〉
『排出』されたブレスと尻尾の衝撃が上顎に当たり、顔が吹き飛び口が裂けていた。
 それが緑竜の最後だった。


「「「「 タタタ、タッタッタ~♬ レベルUP! 絶対収納を覚えた 」」」」

 俺は緑竜を収納した。
 周りを見渡すと木々は折れひどい状態だ。
 ストレージで折れた木々を収容しておいた。
 森が元の状態になるのに、いったいどれくらいの月日が必要なのかと思った。

「う、ぅ~」
今まで戦っていた人の内、何人かは生き残ったようだ。
俺はハイポーションを出し飲ませた。
よく見ると尖った耳と褐色かっしょくの肌。

【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:ディオ
 種族:闇妖精ダークエルフ
 年齢:180歳
 性別:男
 職業:森の民
 レベル:55

「ダークエルフか。初めて見た」
 他にも無事な人がおりハイポーションを渡し、飲ませるように言った。
 そして俺はその場を去ろうとした時だった。
「お待ちください!」
 振り向くと先ほど助けたディオというエルフだった。
「あなたは?」
「俺はエリアス。ここを少し下ったところに村を築いたものだ」
「私はディオ。命を助けて頂きありがとうございます。危うく命拾いしました」
「だが助かったのはあなたを含めて8人しかいない」
 そうなのだ。
 ブレスを食らい吹き飛ばされた人たちは、岩や木に叩きつけられほぼ即死だった。
「いえ、8人でも助かれば拾い物です。本来なら全滅でしたから。いったいどんな魔法を使ったのですか?」
「あれは俺のスキルだ」
「スキルですか。ではこれ以上、聞くことはできませんね」
「じゃ、俺は帰るから」
「後日、改めてお礼に伺います」
「そんなのいいから」


「エリアス。どうだった?」
 村に帰るとシビルさんが聞いてきた。

「あぁ、緑竜はもういないよ」
「良かった~。どこかに行ったんだね」

 そしてやって来る人達もいる。
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