【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ

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第8部 開拓村

第55話 移住希望者

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 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ

 このアスケルの森は隣国と高い山脈に阻まれており、奥に行けば行くほど人が入った痕跡はなく魔物のレベルが高くなるところだ。


 アレンの街を出て街道沿いの道から入り更に歩いて3時間。
 俺たち3人はやってきた。
 やっと着いた。
 目的の開拓村セトラーだ。

 門を叩く、すると頭の上の方から声がした。
 「どなたですか?」
 見上げると、そこには魔物が。
 あれは魔物図鑑で見たことがあるハーピーとかいう魔物だ。
 開拓を始めたと聞いていたが、すでに魔物に占拠されていたとは…。
 
 仲間のオズバルドが弓を打つ!
 シュッ!シュッ!

 「きゃ~!もう失礼ね」
 そう言いながら魔物は砦の中に逃げていった。
 そう言いながら……??
 魔物であれば言葉は話さないはずだが。

「どちら様ですか?」
 こんどは男の声が上から聞こえた。
 上を見上げよく見ると門の上が高見台になっているのか、男の子がこちらを見下ろしていた。

「ここは開拓村か?」
「そうです」
「さっきのハーピーは?」
「ハーピーではなく住民の鳥人族ですよ。なにかご用でしょうか?」
「鳥人族?移民を募集していると聞いたんだ。中に入れてもらえないだろうか?」
「分かりました。今開けます」

 少しすると門が開き14~5歳くらいの男の子が出てきた。
「さあ、中へどうぞ」
 そう言われ中に入った。
 なんて高い木の幹の壁だ。
 幹を横に倒し積み重ねている。
 この高さ、厚さなら大抵の魔物では越えられないだろう。
 もはや城壁だ。

 そして中に入り驚いた。
 開拓村と聞いていたが、すでに開拓は終わった様子で畑があり、建物もある。
 ただ居るのは少年と女の剣士、鳥人族と言われた人が数人、建物の周りを飛んでいるだけだ。

「開拓は終わったのか?」
「いえまだ終わっていません。ただ畑や果実園もようやく終わり、今は養鶏所に力を入れるとことです」
今ここに住んでいるのは少年と護衛の女性一人、後は鳥人族8人だそうだ。
「養鶏所?」
「はい、ラプタ(卵を産む鳥)を人工的に増やし、卵と肉を定期的に得るようにする場所です」
「そんな考えがあるんだな。俺たち3人は冒険者だ。ここまで来れたんだ。腕には自信がある」
「冒険者として雇ってほしいと言うことでしょうか?」
「冒険者でなくてもいい。冒険者はいつまでも続けられない。求人には『自分が出来ること』、とあった。食事、住居を保証してくれるなら、なんでもやるから雇ってほしい」

 俺達は3人でパーティを組んでいたが、そろそろ体力の限界を感じ安定した生活がしたくなったと話した。
 冒険者は若いときだけ、体力が落ちたら命の危険に繋がるからだ。



 3人の移住希望者が来た。
 俺達はお互いに自己紹介をした。
 リーダー格がイーヴァインさん。そして髪の毛が赤く短いのがゲラルトさん。
 やや痩せ型なのがオズバルドさんだ。

 こちらは俺とアナベルさんと鳥人族たち。
 鳥人族たちは見周り専門で、農作業は俺とアナベルさんだけだとも伝えた。

 念のため、鑑定。

【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:イーヴァイン
 種族:人族
 年齢:28歳
 性別:男
 職業:剣士
 レベル:23

【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:ゲラルト
 種族:人族
 年齢:26歳
 性別:男
 職業:剣士
 レベル:22

【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:オズバルド
 種族:人族
 年齢:25歳
 性別:男
 職業:狩人
 レベル:21

 レベル的にアナベルさんより低いが、ここまで来れるだけあって悪くないと思う。
 それに3人とも、農家の次男、三男で農家のことはある程度はわかるらしい。

「分かりました。では雇いましょう。段々と覚えていけばいいですから」

「それと街で聞きたいのだが。ここに来れば素晴らしい剣を創ってもらえるのか?」

「素晴らしい剣??」
「ああ、これのことか?」
 と、アナベルさんが自慢げにツヴァイヘンダーを鞘から抜く。

「「「 おぉ~~~!! 」」」

「おぉ、素晴らしい!!」
「なんて奇麗な剣なんだ!」
「弓も創ってくれるのか?」

「いいえ、誰にでも創る訳ではありません。アナベルさんだから(剣を折ったから)創ったのです」

「「「 そうか……⤵ 」」」」

「そ、そうだぞ。私だから(ポッ)創ってくれたんだぞ⤴」

「まあ。そんなにがっかりせずに。いずれ時期が来たら作るかもしれませんから」

「そうだな。今、来たばかりの新参者と、古参の人が同じ扱いなわけがない」
「これから努力して信頼を勝ち得よう!」
 実際は3日違いなだけだが。

 その後、3人を屋敷に案内し部屋を決めた。
 俺たちは三階にいると言うと、イーヴァインさん達は二階で良いと言う。
 何を気を利かせているんだ。

 そして夜は照明や風呂場の魔道具に驚き、俺の作る食事に舌鼓を打っていた。
 もう他に住めない!とか大げさだな。
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