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第8部 開拓村

第52話 鳥を捕まえよう

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 アバンス商会会長、アイザックさんが仕入れの帰りに寄ってくれた。

「まっ、こんなところではなんですから、まずは屋敷の中へどうぞ」
 アイザックさんと従者8人、護衛の冒険者が10人。
 計19人が屋敷の中に入った。
 そしてあまりの豪華さに全員が口をアングリと開けた。
 一階の大ホールから客間に入ってもらった。
 19人も座れるテーブルは無いから、今後のこと考え10人用のテーブルを2つ『創生魔法』でストレージ内で作りホールに出した。
 そして椅子も20席用意した。

「さっ、みなさん。お疲れでしょう、お座りください」
 呆然としている人たちを尻目に、俺は席を勧めた。


 アナベルさんは俺の警護をするように後ろに立っている。

「さぁ、みなさんどうぞ召し上がりください。野イチゴの生ジュースです」
 おれはそう言いながら陶器で作ったグラスを各自の前に置いた。
 そして冷蔵庫からブルーベリージュースを出し注いだ。
 森の中を探索した際に収穫しておいた野イチゴに砂糖を加え、ミキサーにかけ冷蔵庫で冷やしておいたのだ。

「「「「 ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ! 」」」」

 生ジュースを飲み込む音だけがする。

「「「「 美味しい~! 」」」」

「この時期に冷やす魔道具を使い、冷たい生ジュースを飲めるとはなんと贅沢な。エリアス様。見渡したところ照明も魔道具を使われているように見受けられますが、いったいどれほどの数の魔道具があるのですか?」

「数えたことはありませんが、この屋敷に住んだら街に戻りたいと、思わないくらいの数はあります」

「それほどまでに、あるのですか。ここまで開拓済みで便利なら、移住者もいるでしょう」

「それがまだアナベルさん一人なんです。酪農、畜産を考えたら人は何人いても足りません」
「それはいけません。私が宣伝しておきましょう。今後はどの様にお考えで?」
「はい、後2~3ヵ月で果物や野菜は出荷可能です。それからラプタ(卵を産む鳥)やムッカ(牛もどき)を飼育しムッカの乳を加工。繁殖させ定期的な肉や卵の供給を考えています」
「しかし、卵ならいざ知らず。動物はここで繁殖させても街まで連れていき、運ぶのは大変なのでは?」
「はい、そこで冷蔵馬車の出番です」

「冷蔵馬車!?」
「冷やす、又は凍らして長期保存が可能になります。例えば海沿いの地域から魚を仕入れ、凍らせて置けば数年はもちます」
「数年も!!」
「ただ今の段階では街まで定期的に運ぶ人が、居ないということです。人が揃えば酪農、畜産はすぐにでも始めたいのですが」

「私がやりましよう。いえ、アバンス商会が全力を挙げてやりましょう!」
「えっ!やって頂けるのですか?」
「えぇ、どちらしても3ヵ月に一度は塩の仕入れでここを通りますから」
「ですが、その時は仕入れ済みなので荷物はいっぱいなのでは?」
「はい。そのため、冷蔵馬車を売って頂ければ別便を出します。そして品物の状態が良ければ我が商会で買い取りましょう」
「買い取って頂けるのですか。助かります」
「では冷蔵馬車はおいくらで譲って頂けるのでしょうか?値段によっては複数台欲しいと思っています」

 それから金額の話になり、とりあえず冷蔵馬車は3台収めることになった。
 冷蔵馬車は、元が取れるのはいつなんだ?という金額になった。

 そしてアイザックさんにムッカをオス3頭、メス6頭頼んでおいた。
 最低でもオス、メスつがいでほしいことは伝えた。
 入荷次第、連れてくると言ってアイザックさんは帰って行った。


 それから俺は養鶏場をやる前に、木材と鉱物を使って鳥小屋を創った。
 後は鳥を捕まえるだけだ。
 そしてアスケルの森に入り、またまた鑑定スキルを使いカスタマイズ機能で「鳥」を検索をした。

 ・ ・ … … 一件ヒット!
 3km先に鳥発見!

 素早く森の中を走った。
 
 サッ!サッ!サッ!サッ!サッ!サッ!サッ!サッ!

 いた!!

【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:シビル
 種族:鳥人族
 年齢:20歳
 性別:女
 職業:ハンター
 レベル:18
【状態】
 出血、毒

 確かに鳥だが…。
 怪我をしているのか?
 よく見ると蜘蛛の魔物に捕まり、体に糸が巻かれ動けないでいる。
 足を怪我しているらしく血が流れ顔色が悪い。

【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:アラクネー
 種族:魔物
 年齢:300歳
 性別:メス
 職業:蜘蛛
 レベル:30
【状態】
 お尻から糸を出し、かかった獲物を毒歯で噛み
 麻痺させた後で食らう。だから痛くない。

 サッ!帰ろう!
「ちょと、…待ちなさいよ…!助けなさい」

「自然の摂理に逆らうのはちょっと。世の中は弱肉強食…」

「なに…その、焼肉定食?…助けてくれたら…何でも言うことを聞くから…お願い」

「何でも?」
 キラリ!
 男は女の子の「「「何でも」」」に弱いものだ!

 シュッ!シュッ!
 エリアスの右手が動いたと思うと糸は切れていた。

 糸をほぐし無くなった獲物の代わりに、オークの肉を置いてやった。
 アラクネーは『分かった!』と言うように手を挙げた気がした。

 鳥人族をお姫様抱っこし村に戻った。
 アナベルさんは鳥人族を見て驚いていた。
 アナベルさんによると、この世界に種族は人族の他に多数いる。
 中には人に滅ぼされたり、街を追われて大森林の奥に住むようになった種族もいるんだとか。
 獣人族、エルフ、ドワーフ、吸血鬼族、魔族、鳥人族などがそうらしい。

「その前にこの毒を中和しないと」
 屋敷に入り空いている部屋のベットに寝かせた。

【スキル】世界の予備知識発動!
 ストレージで彼女の血を少し収納する。
 治療法 検索・・・・… … 一件ヒット!
 傷口を切り毒を吸い出す!
 ハイポーションを飲ませ代謝を向上させる。
 後は寝て待つ………………なんだそれ。

 足の傷を生活魔法の水で洗いナイフで傷口を切り、毒を吸い出した。

 ペッ!ペッ!
「うぅ、、」
 ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!  ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!

「うぅ、、うぅ、、うぅ、、」
 ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!
 ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!
 ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!ペッ!

「吸血鬼かい~!!」
 ガンッ!!

 見ていたアナベルさんに注意され気づいた。
 夢中でやってしまった。

 包帯を巻き後はハイポーションを飲ませ、回復するのを待つのみだった。
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