36 / 128
第6部 怒涛の『マヨネーズ』伝説
第36話 大司教ヨハネスの苦悩
しおりを挟む
シャルエル教、大司教ヨハネスは16歳で洗礼を受け信徒となった。
そして司祭を経て55歳で大司教となった。
ただ大司教になった時には教会の権威が落ち始め、寄付金も減り修繕費も賄えない状況に陥っていた。
協会には孤児たちもおり、シスターや見習いを含めると毎日の食事にさえ事欠くこともある。
そんな時、40代のアンというシスターが私の元へやっきた。
先ほど参拝に来た少年が寄付として10万円と、この『腕時計』というものを置いていったと。
腕時計とは正確に時刻が分かる道具だと、必要なければ売っても構わないとも言っていたと。
そんなことがあるのか?
こんなもので時間が分かるのか?
教会では二時間おきに大聖堂で鐘を鳴らし時間を知らせている。
昼は日時計、夜は北極星を基準に時刻を定めている。
天気が悪い日や星が出ない時は『水時計』で代用している。
『腕時計』を見ると針が三本あり、1~12までの文字が書いてある。
『カチカチ』と早く回る長い針が進むと、もう一つの長い針が1つ進む。
そして一回りするに連れて短い針も動いていく。
そして、そうか!
24時間を12時間で表しているのか?
日時計と比べ時間のズレはあるが、正確に針が動き時刻を刻んでいる。
正確な時間が分かるということだ。
日時計だと時間が曖昧で1時間前後くらいは誤差があるだろう。
こんな高価な魔道具を寄付していく、御仁がいるなんて。
このままいくと教会の生活は困窮してしまう。
そういえば王都でオークションが開催されると聞いた。
そうだ、オークションに出してみよう。
値段の付けられないものが出品され、競り落とされる。
いくらになるか分からないが価値を見出してもらえば、値段が付けられない価値があるはずだ。
そしてその腕時計は1億円で国に落札された。
そのお金で建物を修繕しシスターや孤児たちの生活も改善に向かった。
更に国は腕時計を国宝に指定し教会に貸出し、腕時計の正確な時刻を基準とし大聖堂の鐘が鳴る様になった。
これは神の慈悲なのか?
そしてその夜、200年ぶりに女神ゼクシー様の神託が降りた。
徳の高いシャルエル教の信徒はその神託を夢枕で聞き、口を揃えて
『エリアスと言う女神ゼクシー様の『愛し子』様が、『マヨネーズ』製造を依頼したということ。孤児院の子供たちの雇用促進として、孤児たちを雇いたいと思っていること』だった。
エリアスと言う『愛し子』様の顔も浮かび、目に焼き付いている。
そんな『しょうもない』神託でも、神託は神託なのだ。
しかも200年ぶりの。
そして翌日、朝から神託を聞いた信徒は教会に集まり騒然となった。
『愛し子』様が現れるのを今か今かと皆で待っていると、神託で見た14~15歳くらいの黒髪の少年が現れた。
私は思わず
「『愛し子』様のお越しです。みなさま道を開けてください!」
と、言い道を開けさせた。
そして話を伺うにつれ、腕時計を授けて頂いたのも『愛し子』様だとか。
『愛し子』様は言う
「働きたいけど、働く場所がない人に働く場を与えよう思っただけです」と。
あぁ、なんて崇高な御方なのでしょうか!
私は両手を胸の前で組み更に祈るしかなかった。
エリアスの信者がまた一人、誕生した瞬間であった。
教会の権威が落ちつつある今、『愛し子』様を取り込んで復興させねば。
そんなことを思った矢先、神託がまた降りてしまった。
〈〈〈 エリアス・ドラード・セルベルトは何人と言えども、干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!これを破りものには神罰が下るであろう! 〉〉〉と。
な、なんと!
これでは国も含めて今後、『愛し子』様に手出しができん!
せめて孤児たちに真面目に働いてもらい、繋ぎを付けておくしかないのか?
あァ、『愛し子』様。美形で黒髪、黒い瞳の少年。
人の心をひきつけ夢中にさせる方。
あぁ、もう私はあなたから離れません。
はぁ、はぁ。
シャルエル教、大司教ヨハネスはBLだった。
そして司祭を経て55歳で大司教となった。
ただ大司教になった時には教会の権威が落ち始め、寄付金も減り修繕費も賄えない状況に陥っていた。
協会には孤児たちもおり、シスターや見習いを含めると毎日の食事にさえ事欠くこともある。
そんな時、40代のアンというシスターが私の元へやっきた。
先ほど参拝に来た少年が寄付として10万円と、この『腕時計』というものを置いていったと。
腕時計とは正確に時刻が分かる道具だと、必要なければ売っても構わないとも言っていたと。
そんなことがあるのか?
こんなもので時間が分かるのか?
教会では二時間おきに大聖堂で鐘を鳴らし時間を知らせている。
昼は日時計、夜は北極星を基準に時刻を定めている。
天気が悪い日や星が出ない時は『水時計』で代用している。
『腕時計』を見ると針が三本あり、1~12までの文字が書いてある。
『カチカチ』と早く回る長い針が進むと、もう一つの長い針が1つ進む。
そして一回りするに連れて短い針も動いていく。
そして、そうか!
24時間を12時間で表しているのか?
日時計と比べ時間のズレはあるが、正確に針が動き時刻を刻んでいる。
正確な時間が分かるということだ。
日時計だと時間が曖昧で1時間前後くらいは誤差があるだろう。
こんな高価な魔道具を寄付していく、御仁がいるなんて。
このままいくと教会の生活は困窮してしまう。
そういえば王都でオークションが開催されると聞いた。
そうだ、オークションに出してみよう。
値段の付けられないものが出品され、競り落とされる。
いくらになるか分からないが価値を見出してもらえば、値段が付けられない価値があるはずだ。
そしてその腕時計は1億円で国に落札された。
そのお金で建物を修繕しシスターや孤児たちの生活も改善に向かった。
更に国は腕時計を国宝に指定し教会に貸出し、腕時計の正確な時刻を基準とし大聖堂の鐘が鳴る様になった。
これは神の慈悲なのか?
そしてその夜、200年ぶりに女神ゼクシー様の神託が降りた。
徳の高いシャルエル教の信徒はその神託を夢枕で聞き、口を揃えて
『エリアスと言う女神ゼクシー様の『愛し子』様が、『マヨネーズ』製造を依頼したということ。孤児院の子供たちの雇用促進として、孤児たちを雇いたいと思っていること』だった。
エリアスと言う『愛し子』様の顔も浮かび、目に焼き付いている。
そんな『しょうもない』神託でも、神託は神託なのだ。
しかも200年ぶりの。
そして翌日、朝から神託を聞いた信徒は教会に集まり騒然となった。
『愛し子』様が現れるのを今か今かと皆で待っていると、神託で見た14~15歳くらいの黒髪の少年が現れた。
私は思わず
「『愛し子』様のお越しです。みなさま道を開けてください!」
と、言い道を開けさせた。
そして話を伺うにつれ、腕時計を授けて頂いたのも『愛し子』様だとか。
『愛し子』様は言う
「働きたいけど、働く場所がない人に働く場を与えよう思っただけです」と。
あぁ、なんて崇高な御方なのでしょうか!
私は両手を胸の前で組み更に祈るしかなかった。
エリアスの信者がまた一人、誕生した瞬間であった。
教会の権威が落ちつつある今、『愛し子』様を取り込んで復興させねば。
そんなことを思った矢先、神託がまた降りてしまった。
〈〈〈 エリアス・ドラード・セルベルトは何人と言えども、干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!これを破りものには神罰が下るであろう! 〉〉〉と。
な、なんと!
これでは国も含めて今後、『愛し子』様に手出しができん!
せめて孤児たちに真面目に働いてもらい、繋ぎを付けておくしかないのか?
あァ、『愛し子』様。美形で黒髪、黒い瞳の少年。
人の心をひきつけ夢中にさせる方。
あぁ、もう私はあなたから離れません。
はぁ、はぁ。
シャルエル教、大司教ヨハネスはBLだった。
13
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる