【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ

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第6部 怒涛の『マヨネーズ』伝説

第36話 大司教ヨハネスの苦悩

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 シャルエル教、大司教ヨハネスは16歳で洗礼を受け信徒となった。
 そして司祭を経て55歳で大司教となった。

 ただ大司教になった時には教会の権威が落ち始め、寄付金も減り修繕費も賄えない状況に陥っていた。

 協会には孤児たちもおり、シスターや見習いを含めると毎日の食事にさえ事欠くこともある。


 そんな時、40代のアンというシスターが私の元へやっきた。
 先ほど参拝に来た少年が寄付として10万円と、この『腕時計』というものを置いていったと。

 腕時計とは正確に時刻が分かる道具だと、必要なければ売っても構わないとも言っていたと。

 そんなことがあるのか?

 こんなもので時間が分かるのか?


 教会では二時間おきに大聖堂で鐘を鳴らし時間を知らせている。

 昼は日時計、夜は北極星を基準に時刻を定めている。

 天気が悪い日や星が出ない時は『水時計』で代用している。

 『腕時計』を見ると針が三本あり、1~12までの文字が書いてある。

 『カチカチ』と早く回る長い針が進むと、もう一つの長い針が1つ進む。

 そして一回りするに連れて短い針も動いていく。

 
 そして、そうか!

 24時間を12時間で表しているのか?

 日時計と比べ時間のズレはあるが、正確に針が動き時刻を刻んでいる。

 正確な時間が分かるということだ。

 日時計だと時間が曖昧で1時間前後くらいは誤差があるだろう。

 こんな高価な魔道具を寄付していく、御仁がいるなんて。


 このままいくと教会の生活は困窮してしまう。

 そういえば王都でオークションが開催されると聞いた。

 そうだ、オークションに出してみよう。

 値段の付けられないものが出品され、競り落とされる。

 いくらになるか分からないが価値を見出してもらえば、値段が付けられない価値があるはずだ。
 

 そしてその腕時計は1億円で国に落札された。
 そのお金で建物を修繕しシスターや孤児たちの生活も改善に向かった。

 更に国は腕時計を国宝に指定し教会に貸出し、腕時計の正確な時刻を基準とし大聖堂の鐘が鳴る様になった。


 これは神の慈悲なのか?

 そしてその夜、200年ぶりに女神ゼクシー様の神託が降りた。

 徳の高いシャルエル教の信徒はその神託を夢枕で聞き、口を揃えて
『エリアスと言う女神ゼクシー様の『愛し子』様が、『マヨネーズ』製造を依頼したということ。孤児院の子供たちの雇用促進として、孤児たちを雇いたいと思っていること』だった。

 エリアスと言う『愛し子』様の顔も浮かび、目に焼き付いている。

 そんな『しょうもない』神託でも、神託は神託なのだ。
 しかも200年ぶりの。

 そして翌日、朝から神託を聞いた信徒は教会に集まり騒然となった。

『愛し子』様が現れるのを今か今かと皆で待っていると、神託で見た14~15歳くらいの黒髪の少年が現れた。

 私は思わず
「『愛し子』様のお越しです。みなさま道を開けてください!」
 と、言い道を開けさせた。

 そして話を伺うにつれ、腕時計を授けて頂いたのも『愛し子』様だとか。
 
『愛し子』様は言う
「働きたいけど、働く場所がない人に働く場を与えよう思っただけです」と。
 あぁ、なんて崇高な御方なのでしょうか!
 私は両手を胸の前で組み更に祈るしかなかった。
 エリアスの信者がまた一人、誕生した瞬間であった。
 
 教会の権威が落ちつつある今、『愛し子』様を取り込んで復興させねば。

 そんなことを思った矢先、神託がまた降りてしまった。
〈〈〈 エリアス・ドラード・セルベルトは何人と言えども、干渉、束縛することかなわず。勝手御免とする!これを破りものには神罰が下るであろう! 〉〉〉と。

 な、なんと!
 これでは国も含めて今後、『愛し子』様に手出しができん!
 せめて孤児たちに真面目に働いてもらい、繋ぎを付けておくしかないのか?


 あァ、『愛し子』様。美形で黒髪、黒い瞳の少年。
 人の心をひきつけ夢中にさせる方。
 あぁ、もう私はあなたから離れません。
 はぁ、はぁ。


 
 シャルエル教、大司教ヨハネスはBLボーイズラブだった。

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