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第6部 怒涛の『マヨネーズ』伝説
第33話 交渉
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翌朝、『マヨネーズ』販売の反響をビルさんたちに聞きに来た。
するとサリーさんが俺のところに飛んできて、
「エリアス君、大変だったのよ」
と、言った。
話を聞くと『マヨネーズ』の店頭販売を昨晩から始めたが、限定50個販売したが、取り合いになるほどの反響だったと言う。
倉庫代わりの元客室が空いているので、追加で200個ほど在庫で置いておいた。
『マヨネーズ』1個3,000円の半分の売上が、お店に入るのだから美味しいのだろう。
* * * * *
俺は従業員雇用のアルバンさんを連れ、アバンス商会に向かっている。
『マヨネーズ』生産にあたり、アバンス商会がどの程度、買い取ってくれるかによって雇う人数が変わるからだ。
アバンス商会のドアを開け中に入る。
応対に出た人に
「エリアスと申します。アイザックさんはいらっしゃいますか?」
と聞いたところすぐに取り次いでくれた。
客間に通され席に着いた。
「突然、お伺いしてすみません」
「いえいえ、本日はどのようなご用件でしょう?」
挨拶がてらアルバンさんを紹介しておいた。
アルバンさん家族は奴隷の首輪をしていない。
制約魔法で首輪の代わりに胸に紋章が刻まれており、違反行為をすると胸が締め付けられる様になっている。
だから首輪がないため奴隷とは思われないだろう。
俺も従業員雇用と思っている。
「実は先日の『マヨネーズ』の件で伺いました」
「ほう、では卸して頂けるので?」
「はい、ただし条件があります。販売先はアバンス商会と『なごみ亭』のみ。販売価格は統一の300gで3,000円です。すでにこの金額で先日『なごみ亭』で、販売致しましたので変更することは出来ません」
「な、なんとたったの3,000円ですか!信じられない」
「「「はい。我が主は個人の利益よりも街のことを思い、食文化を芽吹かせ経済を回すことを優先されているのです」」」
その問いにアルバンさんが答える。
「先日もエリアス様が欲がないことを伺いました。ただ余りにもなさすぎる」
「私も当初は耳を疑いました。商売をしているのに利益を追求しないなんて、と。しかし主の話を聞いているうちに分かったのです。私はなんて小さな人間なんだと」
両手を胸の前で組みながら話している。
アルバンはアバンス商会に向かう道すがら、主人のエリアスから商売の考えを聞いた。
人より突出していると、人から憎まれる。
自分で顧客を見つけ販売網を広げようと思ったら、経費と人件費、時間がかかる。
だからアバンス商会の販売網を利用し薄利多売で稼ぐ。
利益が少なくても出費が少なければ良いのだと。
そして入ってきたお金は持っているだけでは駄目で、使わないと経済が回らないこと聞かされた。
アルバンはその話に感銘を受け、己の小ささを嘆いたのであった。
そしてエリアスの信者がここに一人誕生した瞬間であった。
「そうですか、あはは。こちらの実入りはいくらでしょうか?」
「アイザックさん。店側は三割でどうでしょうか?」
そこから俺に代わった。
「えっ。三割ですか。もう少しほしいところですね?」
「それでは材料の大豆、植物油、塩をアバンス商会で買いますので」
「ほぅ~、それなら仕方ありませんな。分かりました。契約致しましょう」
「ありがとうございます、それで数量はどのくらい必要でしょうか?」
「そうですね、『マヨネーズ』は賞味期限が、7日くらいでしたね。ではまず手始めに200個程、納入してもらいましょう。後は様子を見てということで」
「分かりました。今手持ちがあるので置いていきます」
契約書にサインを交わし、倉庫にストレージから出した『マヨネーズ』を200個納品した。
それと同時に材料の大豆、植物油、塩を購入した。
アバンス商会にしても『マヨネーズ』が売れれば売れるほど大豆、植物油、塩が売れ利益も折半なら悪くないはずだ。
特別な交渉以外、これからはアルバンさんが俺の代わりに対応することを伝えた。
これで次の段階に移れる。
するとサリーさんが俺のところに飛んできて、
「エリアス君、大変だったのよ」
と、言った。
話を聞くと『マヨネーズ』の店頭販売を昨晩から始めたが、限定50個販売したが、取り合いになるほどの反響だったと言う。
倉庫代わりの元客室が空いているので、追加で200個ほど在庫で置いておいた。
『マヨネーズ』1個3,000円の半分の売上が、お店に入るのだから美味しいのだろう。
* * * * *
俺は従業員雇用のアルバンさんを連れ、アバンス商会に向かっている。
『マヨネーズ』生産にあたり、アバンス商会がどの程度、買い取ってくれるかによって雇う人数が変わるからだ。
アバンス商会のドアを開け中に入る。
応対に出た人に
「エリアスと申します。アイザックさんはいらっしゃいますか?」
と聞いたところすぐに取り次いでくれた。
客間に通され席に着いた。
「突然、お伺いしてすみません」
「いえいえ、本日はどのようなご用件でしょう?」
挨拶がてらアルバンさんを紹介しておいた。
アルバンさん家族は奴隷の首輪をしていない。
制約魔法で首輪の代わりに胸に紋章が刻まれており、違反行為をすると胸が締め付けられる様になっている。
だから首輪がないため奴隷とは思われないだろう。
俺も従業員雇用と思っている。
「実は先日の『マヨネーズ』の件で伺いました」
「ほう、では卸して頂けるので?」
「はい、ただし条件があります。販売先はアバンス商会と『なごみ亭』のみ。販売価格は統一の300gで3,000円です。すでにこの金額で先日『なごみ亭』で、販売致しましたので変更することは出来ません」
「な、なんとたったの3,000円ですか!信じられない」
「「「はい。我が主は個人の利益よりも街のことを思い、食文化を芽吹かせ経済を回すことを優先されているのです」」」
その問いにアルバンさんが答える。
「先日もエリアス様が欲がないことを伺いました。ただ余りにもなさすぎる」
「私も当初は耳を疑いました。商売をしているのに利益を追求しないなんて、と。しかし主の話を聞いているうちに分かったのです。私はなんて小さな人間なんだと」
両手を胸の前で組みながら話している。
アルバンはアバンス商会に向かう道すがら、主人のエリアスから商売の考えを聞いた。
人より突出していると、人から憎まれる。
自分で顧客を見つけ販売網を広げようと思ったら、経費と人件費、時間がかかる。
だからアバンス商会の販売網を利用し薄利多売で稼ぐ。
利益が少なくても出費が少なければ良いのだと。
そして入ってきたお金は持っているだけでは駄目で、使わないと経済が回らないこと聞かされた。
アルバンはその話に感銘を受け、己の小ささを嘆いたのであった。
そしてエリアスの信者がここに一人誕生した瞬間であった。
「そうですか、あはは。こちらの実入りはいくらでしょうか?」
「アイザックさん。店側は三割でどうでしょうか?」
そこから俺に代わった。
「えっ。三割ですか。もう少しほしいところですね?」
「それでは材料の大豆、植物油、塩をアバンス商会で買いますので」
「ほぅ~、それなら仕方ありませんな。分かりました。契約致しましょう」
「ありがとうございます、それで数量はどのくらい必要でしょうか?」
「そうですね、『マヨネーズ』は賞味期限が、7日くらいでしたね。ではまず手始めに200個程、納入してもらいましょう。後は様子を見てということで」
「分かりました。今手持ちがあるので置いていきます」
契約書にサインを交わし、倉庫にストレージから出した『マヨネーズ』を200個納品した。
それと同時に材料の大豆、植物油、塩を購入した。
アバンス商会にしても『マヨネーズ』が売れれば売れるほど大豆、植物油、塩が売れ利益も折半なら悪くないはずだ。
特別な交渉以外、これからはアルバンさんが俺の代わりに対応することを伝えた。
これで次の段階に移れる。
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