【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ

文字の大きさ
上 下
2 / 128
第1部 新しい世界

第2話 転移

しおりを挟む
「あ~もしもし、回想は終わりましたか?」

 突然、声が頭に響き周りを見渡すと、辺りは白い靄のようなものに包まれている。
 よく見ると緑の長い髪をポニーテールに束ねた、スレンダーなメガネ女子が目の前にいた。 

「ここはどこでしょうか?」

「私の名は女神ゼクシー。異世界『エニワン』を管理しているものです。そしてここはわかりやすく言えば、現世とあの世の狭間はざまです」

「俺は死んだのですね」

「はい。佐藤 慎吾さん、あなたはお亡くなりになりました」
 右手の指でメガネをふちを少し上げ、そうメガネ女子は言った。

「そうですか、死んだのですか。で、これから俺はどうなるのでしょう?」

「はい、生前の行いが悪いため、あなたは俗にいう地獄行きです。来る日も来る日も死ぬような攻めを受けながら、これから輪廻転生するまで苦しむのです」

「死んだのに死ぬような苦しみ、てどんな罰ゲームなんでしょう…」

「罰ですから…と、そんなあなたに朗報です!今なら『エニワン』へ転移できます」

 話を聞くと地球と似たような異世界が他にもあり、そこに転移できるらしい。
 文明は地球よりかなり遅れており、剣と魔法の世界で中世ヨーロッパ時代程度。
 魔獣や魔物がおり人の命が軽いとのこと。
 あぁ、最近アニメでやってる異世界転移か、時々見たことがあったな。

「で、俺が行くその目的は?」

「文明が低迷してもう千年近く進んでいません!だから新しい風が欲しいのです。特に世界を変えるような大きなことは期待していないわ。あなたが転移し生活することで、周りに何かの刺激を与えてくれればいいのです。常識や世界観がわからないだろうから、困らないように予備知識やスキルを1つ与えますね。逆に何も周りに影響を与えられないくらいの力なら、多分生活も成り立たないと思うけど。それに一人の力で、世界が変わる訳でもないから気負わなくていいからね」

「他にも転移者はいますか?」

「今の時代に他の転生、転移者はいません」

「そうですか、ならせっかく転生するなら新しい名前が欲しいです。生まれ変わりたいんだ。そうだ女神様に名前を付けてもらえませんか」

「え、私にですか?」
 今まで転移者を送ってきたが、こんなことはなく戸惑う女神ゼクシーだった。

「えぇ、ぜひお願いします」

「分かりました」

 ゼクシーはしばらく考えていたようだったが

「あなたの名前はエリアス。エリアス・ドラード・セルベルトでどうでしょう?」

「それでいい。ありがとうございます。名前を付けてもらえるなんて、俺とあなたは親子みたいな関係ですね!」

「え!どういうことでしよう?」

「名前を付けてもらった。俺には母親が居る、そう思いただそれだけを心の拠り所にして、生きていきますから」

 えっ、そんなことで、そこまで思ってくれるなんて。

 ゼクシーが女神になってから数万年。
 後輩の寿退職を尻目に、一人寂しく婚活に励んだ。
 相談所に入会してみたものの、高い月謝だけ毎月取られ良縁には未だ恵まれず。
 いったい、私の何がいけないの?(泣)
 自問自答の日々…、結婚だけが人生か…。あぁ、また一人、そしてまた一人と…。

「それと出来ればメンタルと性格面を変えてください」

「どんなことでしょうか、言ってみて」

「まず沈着冷静で物事の先読みが出来る、人から好かれるようにしてほしい。一人で生きていく以上、メンタルや性格も大事ですから」

「わかりました。年齢はどうしますか?自由に設定できますよ」

「成人は何歳からですか?」

「15歳です、でもまだ体は未成熟。養えない家庭が多いから成人扱いにして家から出すことも多くて」

「そうですか、では17歳で。それから精神年齢も17歳にしてください」

「17歳ね。後はお金と、いきなり死なれても困るから、ステータスは全体的に高めと。生活魔法(火・水・氷・風・光)を使えるようにしておくわね」

「ありがとうございます。それと、転移3点セットもお願いできますか」

「転移3点セット?」

「はい転移・転生の定番と言えば、鑑定・異世界言語・ストレージです。後はにしてください。それとスキルを1つください」

「どんなスキルですか?」

「想像した事を実現できる魔法です」

「創生魔法ね、わかりました。ほら、これでどう?ではそろそろ、名残惜しいけど『エニワン』に送るわね。私に会いたくなったら教会に行ってお祈りすれば会えることもあるわ」

「色々とありがとうございました」

「1つ聞くわね。転移したらどんな生き方がしたいの?」

「面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きて行きたい!」

「そう、あなたの夢が、叶うことを祈っているわ。では良い旅を…」


 こうして俺の新しい転移生活が始まった。

  *    *    *    *    *

 あ~、やっと行ったわ。
 どうも転生とか転移者は疲れるわ。
 でも仕方がないか?
 徳の高い人はすぐ、天界へ昇天してしまうし。
 ここの狭間へ来るのは、ろくな人ではないからね。

 転移した時に心を洗うから、生まれ変わってくれると良いんだけどね。
 今回はわりと、まともだったわね。
 ふぅ~。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

スローライフとは何なのか? のんびり建国記

久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。 ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。 だけどまあ、そんな事は夢の夢。 現実は、そんな考えを許してくれなかった。 三日と置かず、騒動は降ってくる。 基本は、いちゃこらファンタジーの予定。 そんな感じで、進みます。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...