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第8部 領地経営
第74話 考え方と捉え方
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俺達はアーマン村長の家に向かっている。
出来上がったばかりの鉄製の農機具を預けに行くためだ。
「こんにちは、アーマン村長はいますか?」
俺が玄関から声を掛けると、奥からアーマン村長が出てきた。
「これはエリアス様。本日はどのようなご用件で」
「はい、頼んでおいた鉄製の農機具ができました。お手数ですが農業をやっている方に知らせて頂き、使いたい人が居たら貸してあげてください」
「分かりました。実は事前に何人か説明しており、使いたい人がいますから」
「それはよかった。使って頂いて好評なら、また作りますから教えてくださいね」
「えぇ、勿論です。みんな喜びます」
「それから貸し出す時に貸出契約書を書いて貰ってください。費用の支払いは収入があってからで構いませんので」
「わかりました。では、どのくらいにしますか?」
「そうですね…」
俺はアーマン村長と相談し、意見を聞き貸出料金を決めた。
「それから村長。手間賃と言ってはなんですが」
そう言って俺はストレージから麻袋を出した。
中には北の門番さんに渡したようなナシ、柿、ざくろなどの果物が入っていた。
袋の中を見たアーマン村長は、とても驚いていた。
「こんな、貴重な物を頂けるなんて」
アーマン村長は感動のあまり震えている。
貴重なもの?
俺が不思議そうな顔をしていると、ルイディナさんが口を開いた。
「エリアス、果物は高価なんだよ。みんな村の外は危険だから出ないだろ」
そう言えば思い出した。
村や街の外は魔物や盗賊がおり、危険に満ちている。
まして魔物や魔獣がいる森に入るのは、それを生業にしている冒険者くらいだ。
アレンの街にいた時も、森で果物を取り冒険者ギルドのアリッサさんや、結婚前のオルガさん達に果物をあげてたな。
ジャムを作ったりして、とても喜んでくれたっけ。
アリッサさんは元気にしているかな?
転移してこの世界に降りアレンの街に行き冒険者になった。
スタンピードが起こりレッドキャップを倒した。
数か月前の事なのに、ずいぶん昔の事の様に思える。
「エリアス君、どーうしたの?ボーとして」
「なんでもないよ、オルガさん。最近、変なんだ。ちょっと疲れているのかな」
「そうね、急に環境が変わったせいかもね」
「ではアーマン村長、また来ます。農機具のこと、よろしくお願いします」
「わかりました、エリアス様。お任せください」
俺達はアーマン村長の家を出た。
この村に来た時は税収も少なく、やっていけるのか心配だった。
だが住み始めると全然違う。
お金がかからないのだ。
冒険者をやっている時は宿屋に泊まり2食付きで1人1日3,000円。
30日なら街だと1人9万円かかる。
そして4人なら月36万円だ。
だがここなら屋敷があるから家賃が掛からない。
そして掛かるのは朝昼晩の食事代500円×3食分の1日1,500円だ。
すると1人、月45,000円。
4人でも月18万で済むのだ。
宿代が掛からない分、街の半分で生活できる。
これは大きい。
そして冒険者をやってそこそこ稼ぎ、税収が入れば余裕で生活ができる。
冒険者だけで生活するのは不安だが税収がメインで、冒険者仕事が副収入だと思えば得に感じる。
要は考え方次第、てことだね。
毎日、天気が悪い日以外は北門を出て森に入り、果物を採り魔物や魔獣を狩る。
これが俺達の日課になっていた。
門番の人は交代らしく毎日、人が違う。
最近では戻ってくる度に門番仕事のお駄賃として、森で採れた果物やキノコを渡している。
こんなところに1日、立っているのは大変だからね。
「来たか。待っていたよ」
「アーマン村長、鉄製の農機具ができたんですね」
「あぁ、これを使ってみんなで畑仕事をやってみてくれ」
そこには畑仕事をしている人達の顔役オズワルド。
サブリーダーのラルフ、サムソン。
農家の青年団のリーダー的な存在、フレイザーの4人が来ていた。
「しかし話は聞いていたが、本当に鉄で農機具を造るなんて」
「そんな高価な物を俺達に与えてくださるとは」
「与えるのではないぞ、エリアス様はお前たちに農機具を貸すのだ」
「どういうことですか、アーマン村長」
「鉄製の農機具を使い作業性が良くなったら、収穫時に大麦や小麦を使用料としてもらえれば言いとおっしゃっていた」
「でもそんな漠然としたことで、貸してもらえるのでしょうか?後でとんでもない金額を吹っ掛けられるとか」
「エリアス様は鉄製の農機具を貸す事よりも、使うことで収穫率が上がれば良いのだと思うぞ」
「そうでしょうか」
「それに最近では冒険者の様なことをやられており、お金には執着しないようだ」
「俺も聞きました、オズワルドさん」
「どんなことだ、ラルフ」
「はい、雨の日以外は北門から森に入り果物を採ったり、狩りをしていると」
「あぁ、俺も聞いたよ」
「お前もか、サムソン」
「エリアス様は奥様達と狩ってきたワイルドボアを、かなりの格安でみんなに卸していると」
「おぉ。あのワイルドボアか、美味しかったな」
「お金のない人達のために2mくらいあるワイルドボアを、通常の1/5くらいの金額で卸してくれたそうだ」
「食堂のコーネリアさんから聞いたけど、『みんながたくさん肉を食べて、健康に過ごしてほしいから』と言っていたそうだ」
「アルマンさんの食堂で解体して切り分けていたそうだけど、前にアルマンさんがエリアス様に『たくさん狩ってきてくれたら、安く買ってやるから』と、言ったそうで」
「なんだ、それは?」
「冗談で言ったそうで。それでもアルマンさんのところに持ってきたんだから、安く卸してもらえるはずだからと。買いに来た人達には、通常の1/5くらいの金額で良いから、と事前に話しておいたそうで」
「なにをやっているんだ、アルマンは!」
「まあまあ、アーマン村長。ではエリアス様は通常の1/5の金額で、食堂や住民に肉を分けてくれていたということですね」
「そうです、オズワルドさん。普通なら高価になる食事代も、安く仕入れられたから値段を押さえて店に出せる、てコーネリアさんが言ってましたよ」
出来上がったばかりの鉄製の農機具を預けに行くためだ。
「こんにちは、アーマン村長はいますか?」
俺が玄関から声を掛けると、奥からアーマン村長が出てきた。
「これはエリアス様。本日はどのようなご用件で」
「はい、頼んでおいた鉄製の農機具ができました。お手数ですが農業をやっている方に知らせて頂き、使いたい人が居たら貸してあげてください」
「分かりました。実は事前に何人か説明しており、使いたい人がいますから」
「それはよかった。使って頂いて好評なら、また作りますから教えてくださいね」
「えぇ、勿論です。みんな喜びます」
「それから貸し出す時に貸出契約書を書いて貰ってください。費用の支払いは収入があってからで構いませんので」
「わかりました。では、どのくらいにしますか?」
「そうですね…」
俺はアーマン村長と相談し、意見を聞き貸出料金を決めた。
「それから村長。手間賃と言ってはなんですが」
そう言って俺はストレージから麻袋を出した。
中には北の門番さんに渡したようなナシ、柿、ざくろなどの果物が入っていた。
袋の中を見たアーマン村長は、とても驚いていた。
「こんな、貴重な物を頂けるなんて」
アーマン村長は感動のあまり震えている。
貴重なもの?
俺が不思議そうな顔をしていると、ルイディナさんが口を開いた。
「エリアス、果物は高価なんだよ。みんな村の外は危険だから出ないだろ」
そう言えば思い出した。
村や街の外は魔物や盗賊がおり、危険に満ちている。
まして魔物や魔獣がいる森に入るのは、それを生業にしている冒険者くらいだ。
アレンの街にいた時も、森で果物を取り冒険者ギルドのアリッサさんや、結婚前のオルガさん達に果物をあげてたな。
ジャムを作ったりして、とても喜んでくれたっけ。
アリッサさんは元気にしているかな?
転移してこの世界に降りアレンの街に行き冒険者になった。
スタンピードが起こりレッドキャップを倒した。
数か月前の事なのに、ずいぶん昔の事の様に思える。
「エリアス君、どーうしたの?ボーとして」
「なんでもないよ、オルガさん。最近、変なんだ。ちょっと疲れているのかな」
「そうね、急に環境が変わったせいかもね」
「ではアーマン村長、また来ます。農機具のこと、よろしくお願いします」
「わかりました、エリアス様。お任せください」
俺達はアーマン村長の家を出た。
この村に来た時は税収も少なく、やっていけるのか心配だった。
だが住み始めると全然違う。
お金がかからないのだ。
冒険者をやっている時は宿屋に泊まり2食付きで1人1日3,000円。
30日なら街だと1人9万円かかる。
そして4人なら月36万円だ。
だがここなら屋敷があるから家賃が掛からない。
そして掛かるのは朝昼晩の食事代500円×3食分の1日1,500円だ。
すると1人、月45,000円。
4人でも月18万で済むのだ。
宿代が掛からない分、街の半分で生活できる。
これは大きい。
そして冒険者をやってそこそこ稼ぎ、税収が入れば余裕で生活ができる。
冒険者だけで生活するのは不安だが税収がメインで、冒険者仕事が副収入だと思えば得に感じる。
要は考え方次第、てことだね。
毎日、天気が悪い日以外は北門を出て森に入り、果物を採り魔物や魔獣を狩る。
これが俺達の日課になっていた。
門番の人は交代らしく毎日、人が違う。
最近では戻ってくる度に門番仕事のお駄賃として、森で採れた果物やキノコを渡している。
こんなところに1日、立っているのは大変だからね。
「来たか。待っていたよ」
「アーマン村長、鉄製の農機具ができたんですね」
「あぁ、これを使ってみんなで畑仕事をやってみてくれ」
そこには畑仕事をしている人達の顔役オズワルド。
サブリーダーのラルフ、サムソン。
農家の青年団のリーダー的な存在、フレイザーの4人が来ていた。
「しかし話は聞いていたが、本当に鉄で農機具を造るなんて」
「そんな高価な物を俺達に与えてくださるとは」
「与えるのではないぞ、エリアス様はお前たちに農機具を貸すのだ」
「どういうことですか、アーマン村長」
「鉄製の農機具を使い作業性が良くなったら、収穫時に大麦や小麦を使用料としてもらえれば言いとおっしゃっていた」
「でもそんな漠然としたことで、貸してもらえるのでしょうか?後でとんでもない金額を吹っ掛けられるとか」
「エリアス様は鉄製の農機具を貸す事よりも、使うことで収穫率が上がれば良いのだと思うぞ」
「そうでしょうか」
「それに最近では冒険者の様なことをやられており、お金には執着しないようだ」
「俺も聞きました、オズワルドさん」
「どんなことだ、ラルフ」
「はい、雨の日以外は北門から森に入り果物を採ったり、狩りをしていると」
「あぁ、俺も聞いたよ」
「お前もか、サムソン」
「エリアス様は奥様達と狩ってきたワイルドボアを、かなりの格安でみんなに卸していると」
「おぉ。あのワイルドボアか、美味しかったな」
「お金のない人達のために2mくらいあるワイルドボアを、通常の1/5くらいの金額で卸してくれたそうだ」
「食堂のコーネリアさんから聞いたけど、『みんながたくさん肉を食べて、健康に過ごしてほしいから』と言っていたそうだ」
「アルマンさんの食堂で解体して切り分けていたそうだけど、前にアルマンさんがエリアス様に『たくさん狩ってきてくれたら、安く買ってやるから』と、言ったそうで」
「なんだ、それは?」
「冗談で言ったそうで。それでもアルマンさんのところに持ってきたんだから、安く卸してもらえるはずだからと。買いに来た人達には、通常の1/5くらいの金額で良いから、と事前に話しておいたそうで」
「なにをやっているんだ、アルマンは!」
「まあまあ、アーマン村長。ではエリアス様は通常の1/5の金額で、食堂や住民に肉を分けてくれていたということですね」
「そうです、オズワルドさん。普通なら高価になる食事代も、安く仕入れられたから値段を押さえて店に出せる、てコーネリアさんが言ってましたよ」
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