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第6部 男爵

第43話 慰め

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 俺はアリッサさんにヴィラー村へ同行するのを断られた。
 それはそうだ。
 自分の他に3人も女性がいるのに、ついて来てほしいなんて。
 異世界に転移して、いきなりモテ期到来でうぬぼれていたんだ。

 俺は宿屋までの道のりを、トボトボと歩いた。

 泊っている宿屋『なごみ亭』へ帰ってきた。
「エリアスおにいちゃん、お帰り~。はいこれ部屋の鍵」
「ありがとう、アンナちゃん」
 宿屋の一人娘アンナちゃんは優しく出迎えてくれた。

 俺はオルガさん達の部屋のドアをノックした。

 トントン!

「あら、お帰りエリアス。アリッサさんはどうだった?」
 ルイディナさんがドアを開け聞いてくる。

 俺は首を横に振った。

「そう仕方ないわよね。さあ中に入って」
 部屋の中に案内され、オルガさんとパメラさんにも断られたことを話した。

「エリアスっち、私達3人が居るんだから元気出してよ」
 そうオルガさんに言われた。

「冒険者の中には、お世話になった人も居るから挨拶しないといけないね」
「そうだね。明日にでも挨拶しとこうか」
 ルイディナさんとパメラさんの間で話が進んで行く。

 この間でやることはもう特にない。
 頼んである武器や防具が出来るのを待って旅立とう。

「じゃあ、おやすみ」
 そう言って俺は部屋を出た。

 お腹が空いた。
 そう言えば夕食がまだ、だったな。
 食堂で食べてこよう。


 アリッサさんの事はもう気にならなくなっていた。
 どうしたんだ。
 そんなに俺は冷たかったのだろうか?と、自問自答みる。

【メンタルスキル】沈着冷静のレベルが上がり、多少の事では動揺しなくなっている自分に気づかなかった。



 夕食を食べ部屋に戻ってしばらくするとドアをノックする音が…。

 トントン!

 ドアを開けるとオルガさんが立っていた。
「エリアス君、ちょっといいかしら」
「あぁ、どうぞ」
 俺はオルガさんを中に招き入れた。
 そして椅子がないのでベッドに2人で座った。
 
「どうしたんですか?」
「アリッサさんの事は残念だったわね。私が代わりにゴニョ、ゴニョ、ゴニョ…」
「えっ、聞こえないんですけど」
「順番から言うと私が1番だから」
 そう言うとオルガさんはランプの灯りを消した。
「えっ、なに?」

 これは、もしかしたら俺を慰めに来てくれたのか?

 そしてオルガさんは俺の隣に座った。
 俺の左手を取り自分の頬に持っていく。
 オルガさんの短い赤い髪がサラサラだ。

 木桶を使った温浴をしたのか。
 この世界はお風呂は、よほどのお金持ちでないと入れない。
 だから宿屋で木桶に水、またはお湯をもらい体を洗うのだ。
 ただ水は貴重で値段も高いのだが。

「向こうの領地に行ったら、どうなるか分からないでしょ?だから今なの。私の後に2人控えているから、せかされちゃって。エヘッ」

 オルガさんの、しおらしい言葉を聞いて俺は…。

 そしてこの世界に来て俺は、オルガさんと一緒に大人になった。
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