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第6部 男爵

第41話 準備

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 俺は侯爵家に呼ばれ男爵と村を賜った。
 アレンの街から馬車で2日のところにある、ヴィラーという小さな村だ。

 そして俺はオルガさん達3人に、一緒に来てくれるように誘った。

「もし良かったら3人共、俺と一緒に来ないか?」

 オルガさんが口を手で押さえながら俺に聞く。

「それは同行者として、それとも…」

 や、やばい。そんなことまで考えていなかった。
 ただ今まで通り、みんなで楽しくやって行ければと思っただけだ。
 でも来ないか、と言う以上は形になるものを示さないと駄目か。
 俺は一瞬うつむき顔を上げ、オルガさんの目を見つめて言った。

「も、もちろん、男爵夫人としてだ」
「あぁ…」
 オルガさんは手で顔を覆い泣き崩れてしまった。

「良かったね、オルガ。エリアスと出会ってから、ずっと好きだったものね」
 そうルイディナさんが言う。
「私も勿論、一緒に行くよ。もう21歳だし。このままエリアスが、もらってくれなかったら行き遅れだからね」
「私もエリアスっちと一緒に行く。私は子供が欲しいだけだから三番目で良いわ」
「じゃあオルガ一番で、私は二番だな」
 パメラさんとルイディナさんが順番を決めている。


 あれ?
 結婚て、そんな感じなの?
「ルイディナさんにとって結婚てなんですか?」
「結婚ね。安定かな」
「私も~。将来の不安がない生活が一番よね」
「パメラったら。でもじじいや嫌いな人だったら嫌かな。でもエリアスなら優良物件ね」
 あぁ、生活するために結婚し、愛情はその次なのか。

「この国は一夫多妻制でもいいの?」
「経済力があれば何人でも奥さんはもてるわ」
 ルイディナさんが説明してくれる。
「私達みたいに3人いたら奥さんにするなら第一夫人、第二夫人とか。それが嫌なら2人目からは側室ね」
「みなさん全員、奥さんです」
「それならオルガ、私、パメラの順で良いわよね」
「あ、はい」

「エリアスっち、アリッサさんはどうするの?」
「どうするの?て言われても」
「私は一緒でも良いよ。聞いてみれば?逆に声を掛けないと怒られるかもよ?」
 怒られる?

「私も良いけど、順番はどうするのよ」
 パメラさん、ルイディナさんも賛同する。
 結婚てそんな感じなのか?

 
 オルガさんが言う。
「みんな平等に愛してくださいね」
「オルガさん実は公爵から、支度金と言う事で500万もらいました。このお金で、身の回りの物を買い揃えましょう。それと馬車かな。どこで売っているのかな?」
「馬は牧場、馬車は馬車屋ね。馬車屋は街中にあるから見に行くのも良いわね」
「さすがルイディナさん。冒険者ギルドに顔を出してから馬車屋に行きましょう」

 俺達4人では冒険者ギルドに向かった。
 受付にアリッサさんがいた。
 アリッサさんの手が空くまで、俺達は飲食コーナーで時間をつぶした。
 しばらくすると、アリッサさんの手が空いたので話しかけた。
「こんにちわ!」
「あら、エリアス君どうしたの?依頼?」
「いえ、個人的な話がありまして。今日は何時に終わりますか?」
「今日は早番だから17時には終わるわ」
「もしよければ終わった後で、お時間を頂けませんか?」
「分かったわ。向かいの喫茶店で待っててね」

 
「どうだった、エリアスっち」
「仕事が終わったら、アリッサさんと会う約束をしました」
「そう、頑張ってね」
 パメラさんが励ましてくれた。

 そして俺達は馬車屋に向かった。
 馬車屋に着くといくつか馬車がある。
 中に入り、声を掛ける。

「こんにちわ!」
 すると奥から60代のロマンスグレーの男の人が出て来た。

「いらっしゃい、馬車の注文かい」
「えぇ、そうです。お幾らくらいしますか?」
「そうだね。上を見ればきりがないけど、どんなことに使うんだい?」
「ヴィラーの村まで4~5人で行くのに使いたいのですが」
「荷物はどのくらいあるのかな?」
 俺のストレージに収納するからないな。
「ありません」
「ないだと!それなら馬車を買う意味がない」

 馬車は何頭の馬で引くかによって速さ違う。
 2頭で引いた場合は人が歩く速度とほぼかわらない。
 少し大きめの石を踏んだだけですぐに横転する。
 整備された道でしか使えないそうだ。
 しかも乗り心地は最悪。
 そして馬車はハンドメイドのため、中古でも200~500万。
 貴族用の豪華なものだと3,000万円にもなる。
 そして馬は1頭6~20万だ。

 馬車を使う場合は高貴な人を載せるとか、荷物を運ぶ場合だけだとか。
 荷物が手で持てる範囲なら、歩いた方が良いと言われた。

 店主にお礼を言い、馬車は買わずに店を出た。
 馬車は中古でも200~500万と、聞いた時のオルガさんの顔が見ものだった。
 ルイディナさん曰く、普通は商売優先でそんな事は教えてくれないと言う。
 良かった馬車屋の店主が良い人で。

 エリアスは知らなかった。
 が73もあることを。

 あまりなんでも揃えると、お金が無くなってしまう。
 俺達が住むところは前任者の男爵が住んでいたところだ。
 どの程度の家なのかが分からないから、最低限の生活必需品を買えばいいや。
 行ってから必要なものを揃えよう。
 とりあえず、服、着替え、寝具かな。
 後は野営用の寝袋やフライパンなどの調理器具だ。


 後はアリッサさんと話すか。
 案外ドキドキしないな?
 図太いのかな俺。

 俺達は宿屋に帰りアリッサさんとの、約束の時間になるまで待った。
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