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第5部 終息

第38話 防具屋

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 今度は防具屋へきている。
 小柄で髭もじゃの男が出てきた。
 たしかこの人はドワーフではないと、以前言ってたな?

「おう、いらっしゃい。どんな防具がお望みだい?」
「狩人の防具と魔術師用のローブが欲しい」
「狩人と魔術師用ね。じゃまず、狩人の方から行こうか」
「狩人は私よ」
「どんな防具が良いんだ?」
「私は動きやすい防具が良いわ」
 ルイディナさんが言う。
「私も軽くて動きやすい方が良いわ」
「予算はどのくらいなんだい?」
「50万よ…「200万だ!」
 俺とオルガさんの声が被る。

「そんな高いのはもらえないわ」
「さっきも言ったけど、武器と防具はお金を惜しんだらいけないんだよ」
「でもお金が。討伐報酬が無くなってしまうわ」
 なんだ、そんなことを心配してくれていたんだ。
 優しいな、オルガさんは。

「大丈夫ですよ。少し貯え(レッドキャップの斧を売った700万)があるので」
「それなら、なおさら使わないで貯めておきましょう」
「でも防具は良いものを着ないと」
「でも、もったいないわ」

 そんなことを言い合っていると、防具屋のおやじさんが言った。
「それなら2人で150万でどうだい?安くしてやるよ」
「どんな防具ですか?」
「狩人の防具はパープルワームでどうだい?さ。軽くて丈夫だ。それで肩、肘、膝、腕と腿当て付さ」
「パープルワーム?」
「これだ。軽くて丈夫で着やすい。それで肩、肘、膝、腕と腿当てを作ってやる」
 少し茶色の皮で厚みがあり、柔らかそうだった。
「それで良いわ。私」
 ルイディナさんは良いと言う。
「魔術師用は?」
「これはタラテクトの糸で編んだローブだ。丈夫で動きやすい」
 奇麗なわずかに光る生地だった。
「奇麗。私もそれで良い~」
 パメラさんも納得したようだ。

「じゃ、サイズを測るからこちらに来てくれ」
 奥から女の人が出てきて、ルイディナさんとパメラさんの採寸が始まった。
「そちらのあんちゃんと、彼女は作らなくていいのかい?」
「エリアスです」
「ま、彼女だなんて」
 クネ、クネ、クネ~。

「知ってるよ。俺の名はブラートだ。Miracle manミラクル マン(奇跡の人)のエリアスだろ。黒髪、黒い瞳の少年て有名さ。武器屋のおやじがエリアス御用達の店だって自慢してたからな」
「そんなに有名になってるんですか?」
「あぁ、この街を救った英雄だからな。どうだい、彼女は剣士だろ。彼女のプレートアーマーと、エリアスは動きやすい方が良いんだったな。じゃあ狩人と同じ素材のパープルワームで作るライトアーマーだ。合わせて150万でどうだい?」

「わかりました。お願いします」
「エリアスのは以前、測ったからサイズはわかる。あとは彼女の分だな」
「だから、彼女だなんて」
 クネ、クネ、クネ~。
 日の光を浴びると踊る人形か!

 そしてオルガさんの採寸も終わった。

「あと、スモールシールドが欲しいのですが。防御力よりも、あれば良いので」
 これは収納防御をした際に、腕で攻撃を受け止めていることになる。
 だが通常は腕で攻撃を受け止める事などできない。
 今回のレッドキャップ戦で痛感した。
 そのため、ダミーで盾を装備しようと思ったんだ。
「これなんかどうだい?3万でいいぞ」
 店に置いてある木で作られた鉄枠の小さい盾だ。
「はい、それでお願いします」

「ま、1週間後くらいには、できていると思うぜ。期待してくれ」
 どうしてどの店に行っても納期は1週間なのか。
 とりあえずで言ってない?

 俺達は防具屋を出た。
 武器と防具で700万使った。

 お金は貯めるのは大変だけど、使い始めるとすぐになくなってしまう。
 残りは後1,000万だ。

 オルガさんが言う事もわかるな。
 そんな事を思って歩く帰り道。

 オルガさんが一言。
「やはりエリアス君は駄目ね」
「なにがですか?」
「お金の管理よ。放っておいたらすぐに無くなりそうだわ」
「そうかもしれませんね」
「私が預かります」
「そうですね」
「えっ、いいの?」
「今日、つくづく思いました。誰かに管理してもらわないと俺は駄目だと」
「そ、そうなの」
「オルガさんに預けますね。1,000万」
「え~!!1,000万も、もってたの?」

「やった~!オルガ。結納金、もらったのね」
「良かったわ。行き遅れなくて私達」

 そう言う意味では…。

「冗談よ、冗談。もうウブなんだからエリアス君は」

 あはははは!
 
 最近、俺の事をみんなで構う様になってない?
 それも、いいかも?
 
 知らない世界で1人きりは寂しいから。
 みんなと知り合えて本当に良かった。
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