【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ

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第5部 終息

第32話 初デート?

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 俺は冒険者ギルド長のパウルさんに呼ばれた。
 話の中でアレンの領主、ドゥメルグ公爵様より呼出しが掛かっている事を知った。
 俺は公爵家に行く事になり、礼服がないことに気づいた。
 俺はそうしたことに疎く、パウルさんがアリッサさんを付けてくれた。
 こうして俺とアリッサさんは、礼服を買いに行くことになった。


 俺達はギルドの1階に降りた。
 そしてアリッサさんは他の受付の人に、外出することになったことを話した。

「え~、それってどういう事?今は時間中だよね」
「ギルド長の指示なのよ。ヘルガ」
「じゃあ私が行くわ」
「なんであなたが行くのよ」
「洋服屋に行くなら私でもできるわ」
「そ、それは。ギルド長の指示だから私が行くわ。行きましょう、エリアス君」
 そう言うとアリッサさんは俺の手を取りギルドを出た。

「ほんと、困った子ね。ヘルガは」
「アリッサさんはヘルガさんと、仲良くないんですか?」
「そんなことはないわ。彼女とは長い付き合いだもの」
「ヘルガさんて、ギルドに勤めてどのくらいなんですか?」
「そうね。かれこれ40~50年…えっ、何でもないわ忘れて」
 40~50年?ヘルガさんもエルフなのか?

 そしてギルドを出てから、ずっと手を繋いでいるけど?

 2人で歩いて行くと洋服屋に着いた。
 この世界の洋服は千差万別だ。
 地球の中世ヨーロッパ的な服があると思えば、近代的な服もある。
 きっと転生者などが持ち込んだものだろう。

「いらっしゃいませ。どのような服をお探しですか?」
 金色の髪の奇麗な店員さんが出てきた。
 アリッサさんが代わりに対応する。
「公爵家に呼ばれても、恥ずかしくない礼服が欲しいわ。すぐ着れる服とオーダーメイドを各一着ずつお願い」 
「公爵家ですか。ではこちらなどは、いかがでしょうか?」
「そうね~」
 それから俺はアリッサさんの着せ替え人形になった。

 結局、いつ呼ばれても良いようにと中古品はネイビーグレーのスーツを。
 そしてオーダーメイドは濃紺のスーツで、出来るまでに1週間かかるそうだ。
 
 俺達は店を出た。
 来た時と同じようにしましょうね、とアリッサさんに言われ、手を繋いで歩いた。
 これはあれか。
 俺が不慣れだから、迷子にならないようにか?

 そして広場の前を通りかかると、大道芸人がいた。
 ピエロやジャグリングを見せ、集まった人達を楽しませている。

 そう言えばこの世界は娯楽がない。
 TVもPCもないから夜もつまらない。
 動画配信で音楽でも聴ければいいけど。
 暗くなると明かりを点けるのに、油代がかかるから早く寝る。
 だから早起きなんだけど。

 お酒を飲む男なら酒場か、女の人が居るお店に行くのもありだけど。
 みんな空いている時間は何をしてるんだろう?

 疑問に思ったのでアリッサさんに聞いてみた。
「アリッサさん」
「はい、なんでしょう?」
「夜とかお休みの日は何をしてますか?」
「えっ、夜とか休みの日ですか?」
 なぜ疑問形を疑問形で答える?
 聞いてはいけないことだったのか?

「そ、そうね。夜はご飯を食べてから、お酒を少し飲むくらいかな。休みの日は買い物です」
「そうだよね。どこに行くにも街の中だけだし。芝居小屋とかあるのかな」
「あるわよ。芝居に興味があるのエリアス君は」
「いや~そう言う訳ではないけど、空いた時間は何をしているのかと思って」

(えっ、そんなに私のことが気になるのかしら?)
「そんなに気になるの?」
「うん、とっても気になる」
(いやっ、エリアス君てもしかしたら、独占欲が強い子なのかしら。会えない時の私がどうしているのか、気になるのね)


「ねえエリアス君」
「なんでしょう」
「これって初デートだよね?」
「えっ」
「でも今度はちゃんとしたデートがしたいな。エヘッ」
「うん、そうですね」
 恥ずかしそうにうつむく、アリッサさんの可愛らしさに見とれた。

 俺達は冒険者ギルドに戻ってきた。
 俺は途中で帰っても良かったが、最後まで送らないといけないような気がして。
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