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第4部 決戦

第28話 決着

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 レッドキャップの斧は俺が収納した。
 そしてゴブリンの過半数は逃げ始めている。

 騎士団がレッドキャップ目掛けて群がる。


 そしてそれは起こった。

 ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!
    ドンッ!ドバッ!!ドンッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!!

「ギャ~~!!」      「う、腕が..............」
    「ぐぇ!」            「腹が、痛いよ~」
        「痛てえ!!」            「はあ、はあ、はあ」
             「あ、あ、あ、」    

 たくさんの騎士団の苦痛の声が聞こえる。
 俺達、冒険者は少し離れたところからそれを見ていた。

「な、なにをしている。奴は手負いだぞ。掛かれ!!」
 そうナウム副長が叫んだ瞬間だった。

「げふっ!」
 ナウム副長の胸から槍が生えた。 
「ば、馬鹿な」
 そう一言残し彼は絶命した。

 レッドキャップは目が見えない。
 だから音に反応しているんだ。

 周りに落ちている武器を手探りで拾っている。
 ガチャガチャ音を出しながら歩く、金属製の鎧を着た騎士団たち。
 大きな音を出せば、格好の的になるだけだ。


「な、なにが起こったんだ」
 冒険者達が声を出す。
「しっ、静かにしましょう。奴は音に反応してるんです」
「音?」
「そうです。目が見えない分、音を頼りに攻撃しているんです」
 冒険者はレーザーアーマーを着ている。
 だから鎧がすれる音は殆どしない。
 後は静かに動かずに黙っていればいい。


 ナウム副長が倒れ指示を出す人が居ない。
 そのことを知らない騎士団は逃げ惑う人、立ち向かう人がいる。
 どうやらバルタザール騎士団長は後方にいるようだ。

 教えてあげたいが俺達が教えてあげるには、声を出さないといけない。
 だがそれは出来ない。
 だから俺達は黙って見ていることしかできない。

 手近なところから襲っていくレッドキャップ。
 さすがはレベル43。
 まるで騎士など相手にならない。
 弓兵は味方に当たるのを恐れ、弓矢を打つことが出来ない。

 力任せに剣を振るうだけの魔物。
 そしてレッドキャップは、俺達に近づいてきた。
 俺達は何も言わず、動かず、じっとしている。

 レッドキャップは前に進む。
 傷だらけになりながら。
 顔はただれ、目も焼かれて視界も見えない。
 足を引きずり、それでも奴は前に進んで行く。
 
 なぜ、そこまで?
 グググググ、苦しそうに泣きながら。

 レッドキャップは俺達の3mくらい前を横切る。
 そして進む。

 騎士団は取り囲んでいるだけで、手出しはしなくなった。
 レッドキャップが動くと、動いた分だけ騎士団の囲んだ円も動く。
 そして街に少しづつ近づいていく。

 これでは決着がつかない。
 奴は今、音をだすものに反応する。
 
 MPの残りは55。
 できるか俺?

 レッドキャップは俺達を通り越して進んで行く。
 5mくらい離れたところで、俺は魔力を貯める。
 そして左手の指先に集め、発射した。
 奴の引きずる足の太股を目掛けて。
 
 〈〈〈〈〈 シュ--------------------------------------------------!!! 〉〉〉〉〉

 水を圧縮し0.1mmの細い水流にして噴射!!
 高速・高密度の圧縮された水は、音速の3倍に達し対象物の制限がなく切断する。
 ウオーターカッターの原理だ。
 生活魔法の水を圧縮し、風魔法に乗せ噴射する。
 ただ1つ難点があり、対象物が動いていると一瞬では切れないことだ。
 だから足止めが出来れば。

 「「「「「 ギャァ~~~~~~~~~~!! 」」」」」

 太股の中心を貫通し、横に切り裂く。
 ぐらっと足が折れレッドキャップが倒れる。

 そして後ろを向いた倒れた奴の背中から、腰辺りを目掛け再び噴射する。

 「「「「「 グギャァ~~~~!ギャァ~~!! 」」」」」

 MP55⇒50⇒45⇒40⇒35⇒30

  ストレージからマジックポーションを3本出して、すかさず飲む。

 MP30⇒60⇒55⇒50⇒45⇒40⇒35⇒

 「「「「「 グギャァ~~~~!ギャァ~~!!グギャァ~~!! 」」」」」

 腰から内臓を貫通し、肺にかけて切り上げていく。
 よほど苦しいのだろう。
 レッドキャップの声が辺りに響く。

 すまない、なぜか俺は謝った。

 MP35⇒30⇒25⇒20⇒15⇒10⇒5⇒0

 そして俺は意識を手放した。
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