上 下
21 / 98
第3部 仲間

第21話 生活の目途

しおりを挟む
 ライオンラビット13匹分の買取額が出たようだ。
 俺は受付に向かい歩き出した。
「お待たせしました。どれも状態が良くて1匹2万円。全部で26万円よ」
 おぉ~、凄い金額になった。
 これで少しはお金に余裕ができるな。

 みんなを心配させてしまった。
 謝らないと。

 俺の前には受付アリッサさん。
 周りにはオルガさん、ルイディナさん、パメラさんが居る。
「今日はごめん。もう大丈夫だから、みんな心配をかけてごめんね」
「よかった。いつのもエリアス君だわ」
「ほんと、なにかあればいつでも言ってくれよ」
 と、みんな喜んでくれた。

「でも、なにがあったの?良かったら教えてくれないかしら?」
 と、アリッサさんが優しく言ってくれる。

 俺は本当のことが言えず、森の中にみんなで入って果物を採っていたら、亡くなった家族のことを思い出した、と嘘をついた。

「エリアスっちは寂しんぼになった、てことだね~」
 オルガさんに言われ、少し恥ずかしくなった。

 ルイディナさん達に、からかわれる。
「寂しくなったら、いつでもお姉さんに言うんだぞ~。あははは!」

「でも、元気になって良かった」
 アリッサさんにもお礼を言って俺達はギルドを出た。

 そして今日はもう1件寄るところがある。
 それは青果市場だ。
 青果市場は繁華街の側にあり、飲食店の人が買い物に行きやすくなっている。
 市場に入ると野菜や穀物が並び、果物はほんの僅かだ。
 
 どこで買ってくれるのか分からない。
 仕方ない、誰かに聞くか。
 俺は売り場のところにいる、ちょっと体格のいいおばさんに声を掛けた。

 
ブルーベリー、さくらんぼ、イチジク、ビワを山ほど採った。
 
「すみません、果物はどこで買取してもらえるのでしょうか?」
「あぁ、果物の買取はここで、できるよ。なにを売りたいんだい?」
「ブルーベリー、さくらんぼ、イチジク、ビワです」
「ほう、今が旬の果物だね、どこにあるんだい」
「ここです」
 と、俺はバッグを軽く叩いて見せた。
「マジック・バッグ持ちかい。ならここに出しておくれ」
 俺は言われたテーブルに果物を出した。
 
「おぉ、こんなにかい!」
 おばさんは、驚いていた。
 ブルーベリー、さくらんぼ、イチジク、ビワは、バケツ一杯分くらいづつあった。

「これは、状態がとても良いね。まるで今、採ったみたいだよ」
 おばさんは何やら考えてから言った。

「ブルーベリーは6千円。さくらんぼとビワで6千円。イチジクは4千円。全部で16,000円でどうだい?」
(う~ん。高いのか安いのかが分からない)
 俺が悩んでいると、
「私の買取は高い方なんだけどね。じゃ、思い切って17,000円でどうだい?」
「エリアスっち、その金額で良いいよ~」
 オルガさんに言われ、俺は納得した。

 1日17,000円稼げた。
 4人で割れば1人、4,250円。
 この世界の平均日給が3,000円だから、冒険者をやらなくてもやっていける。
 だが何かの時のために、貯えも必要だな。
 果物採取メインで、魔物に合うこともあるので討伐、で良いかもしれない。
 これでなんとか、生活の目途が付いたな。
 
 また来ることを伝え俺は名前を名乗った。
 おばさんはダニエラさんと言う名前だった。
 買い取る値段は一律ではなく人によって変わるから、私に売るんだよて言われた。
 たくさん採れるようなら、果物を売る商人でやっていけるかな。


 そして宿屋に帰ろうと歩いていると、城門の鐘があわただしく鳴った。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】私だけが知らない

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:255pt お気に入り:2,366

不登校が久しぶりに登校したらクラス転移に巻き込まれました。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:78pt お気に入り:880

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:1,593

俺のカノジョに手をだすな!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:15

異世界からの友好的侵略者にバカ惚れしたのでひたすら口説く

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:18

異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:3,516

処理中です...