【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ

文字の大きさ
上 下
18 / 98
第3部 仲間

第18話 お友達から

しおりを挟む
 俺達は魔獣ウィルムの討伐依頼を完了し、冒険者ギルドに戻った。
 ドアが開くと今まで話していた人達が突然、静かになった。
 どうしたんだ?

 オルガさんはウィルムの討伐依頼が完了したことを伝えに、『紅の乙女』担当のコルネールさんの所に向かった。

 俺は暇になり椅子に座って待っていると、コンラードさんとまた会った。
「ようエリアス」
「あっ、コンラードさん」
「どうだったい?」
「はい、ウィルムを11匹狩れました。やはりパーティーだと効率がいいです」
「11匹だと?普通はそんなに狩れない、まず見つけることが出来ないからな」
「そうなんですか」(やはり鑑定サーチは便利だな)
「もしかしたらウィルムは、みんなメスだったりしてな」
「なんですか、それは?」
「だってお前、女殺して言われてるぞ」
「えっ、どう言う事でしょうか?」
「今朝のジャムの話だよ」
「ジャム?」

 コンラードさんが言うには、砂糖や果物は高級品だ。
 更に加工した甘いものは価値がある。
 役人に袖の下を渡す時も、お金以外なら甘いものが代わりになるくらいだ。
 甘いものなら見つかっても、硬貨ではないから賄賂にならない。

 そして異性にあげる場合は別の意味となる。
 高価な甘いものをあげるという事は、愛の告白と同じだ。
 高価な物を差し出し二人で甘い恋を囁こう、と言う意味だと言うのだ。
 
 俺はみんなの前でアリッサさんに告白し、他に3人好きな人がいます、と宣言したのと同じだそうだ。

「いや~驚いたぜ。みんなの前でアリッサさんに、ジャムをあげるだけでも度胸がいるのに。その上、他に3人もあげるなんてさあ。4人もなんてこれからどれだけ、稼がないといけないんだ」

(そういう事なのか。まさか、そんなつもりはありませんでした!とも言えないし)
「後は相手がその気持ちに、応えてくれるかだけどな」
(そうだ。告白だとしても相手にも選ぶ権利がある。振られる可能性もある訳だ)
 アリッサさんの方を見ると、下を向いてしまった。
 やはり嫌だったのか。
 振られたなこれは。
 告白する気はなかったけど、振られるのも嫌だな。
「エリアス君。ウィルムを出して」
 オルガさんに呼ばれ、俺は解体場へ向かった。
 
「おう、またあんちゃんかい」
「アンセルさん、エリアスです」
「ああ、悪い悪い。で、今日はなんだい?」
「ウィルム11匹です」
「11匹か。ではここに出してくれ。査定が終わるまで、飲食コーナーで時間でも潰してくれよ」
 受付の横のフロアは夜は酒場になっている。
 昼間はまだやっていないので、査定が終わるまでそこで休める。
 することもなく疲れたので甘いものが食べたくなった。
 俺はストレージからビワを出し、『紅の乙女』のメンバーと食べていた。
「美味しい」
「甘いわ」
「幸せ」
 ちらっと受付を見るとアリッサさんがこちらを見ている。
 騒がしかったですか?
 ごめんなさい。

「お~い。査定が終わったぞ」
 解体場からアンセルさんが顔を出して言った。
 受付に行くとコルネールさんが
「ウィルム11匹ですね。状態が良かったので39,000円です」
 オルガさんが代表で受取った。


 明日の依頼があれば探しておくか。
 そう思い依頼書の所に行こうとした所、アリッサさんから声を掛けられた。
「エリアス君。私の分は…ゴニョゴニョゴニョ」
「はい?なんですか」
「「私の分はないんですか!」」
「あ、はい。イチジクならありますけど、それでいいですか?」
「はい。それでいいです」
 俺はストレージから皿を出し、その上にイチジクを山盛りだしてやった。
「え、こんなにもらえるの!」
「ええ、また採ってきますから」
「私、街の外に出る事なんてないから」

 普通、住人は街から出る事はない。
 だから山の果物の山盛りなんて見る事なんてない。
 甘味や糖分に飢えているのだ。

「季節ごとに森の果物は季節ごとに違うから、その都度たくさん採ってきますね」
「まあ、季節ごとに、私だけにたくさん…甘いものが…」
「ちょっと、何言ってるのかな。おばさん」
 後ろを振り向くと『紅の乙女』のメンバーが居た。

「「「 おばさんですって! 」」」
「おばさんでしょ、だって」
 パメラさん、毒舌だよ~。
「なによ、このロリッ子」
「ロリッ子ですって!今日なんてエリアスっちと腕を組んで歩いてたら、『ロリッ子だけど意外とローブの下は良いものを持ってる』、て言ってたわよ。そしてグイグイしたらエリアスっちは、エリアスっちは…い、言えないわ!」
「そうよ、エリアスはフェチ小僧なのよ。私も腕を組んで歩いてたら、『汗をかいた臭いがたまらない』、て呟いていたのを聞いたわ」
(や、やばい。口に出ていたのか。しかも2人に聞かれてた)
「私なんて腕も組めず、『ごめんよ。また今度ね』、て言われたのよ。ひどいわ~」
 オルガさんが泣きつく。

「そんな、エリアス君。グイグイとグリグリてなに?そんなに胸が好きなの?」
 アリッサさん、声がでかいですよ~。
「私達はもう一緒に暮らしているの。お早うから、おやすみまで一緒なんだから」
「ルイディナさん、それは同じ宿屋に泊まってるだけでしょう」
「エリアス君どうなの。この3人にもジャムをあげたんでしょう?」
「ええ、まあ」
「全員と付き合いたい、てことで良いのよね?」
「はい?」
「だから全員と付き合いたい、てことで良いのよね??」
「いいえ…「「「全員と付き合いたい、てことだよね」」」
「は、はい、そうです。でも嫌ですよね」(断ってくれ~!)
「喜んでお受けします。ただ知り合ってから日が浅いからお友達て事でいいかしら」
(受けるんかい!)

「「「 私達3人も喜んで 」」」
(君達もお友達だよね)

「「「「 宜しくお願いします。エリアス(君)(っち) 」」」」

 こうして俺は4人と友達として付き合う事になった。
 そうなったら念のため、アリッサさんを鑑定しておかないと。

【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:アリッサ
 種族:森妖精エルフ
 年齢:250歳
 性別:女
 職業:魔術師
 レベル:35

(ブッ~~!エルフて。外見は人と同じで耳は関係ないんだ。250歳か。確かにパメラさんの言ってた、おばさんは合っていたな。でも言えない、レベル35だし)

 それにエルフの女性はファンタジーとは違い、体つきはスレンダーではなく肉感的だった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

完結【清】ご都合主義で生きてます。-空間を切り取り、思ったものを創り出す。これで異世界は楽勝です-

ジェルミ
ファンタジー
社畜の村野玲奈(むらの れな)は23歳で過労死をした。 第二の人生を女神代行に誘われ異世界に転移する。 スキルは剣豪、大魔導士を提案されるが、転移してみないと役に立つのか分からない。 迷っていると想像したことを実現できる『創生魔法』を提案される。 空間を切り取り収納できる『空間魔法』。 思ったものを創り出すことができ『創生魔法』。 少女は冒険者として覇道を歩むのか、それとも魔道具師としてひっそり生きるのか? 『創生魔法』で便利な物を創り富を得ていく少女の物語。 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※カクヨム様にも掲載中です。

処理中です...