【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ

文字の大きさ
1 / 98
第一部 見知らぬ世界

第1話 転移

しおりを挟む
 まぶしい光に包まれている。
 目を開けると何もない白い空間だった。

 俺は死んだのか?

 俺は佐藤 慎吾28歳。
 会社の健康診断で左肺に影が見つかり、病院に行き検査をすると癌と診断される。
 癌年齢としては若く進行が早くて手が付けられず、ステージ3、余命3ヵ月。
 癌年齢としては若く、あっという間に癌が体に回り病室で意識をなくしたはずだ。

 やり直せるものなら、やり直したい。
 もう一度、そう切実に願った。



「あ~もしもし、回想は終わりましたか?」

 突然、声が頭に響き周りを見渡すと、辺りは白い靄のようなものに包まれている。
 よく見ると緑の長い髪をポニーテールに束ねた、スレンダーなメガネ女子が目の前にいた。 

「ここはどこでしょうか?」

「私の名は女神ゼクシー。異世界『エニワン』を管理しているものです。そしてここはわかりやすく言えば、現世とあの世の狭間はざまです」

「俺は死んだのですね」

「はい。佐藤 慎吾さん、あなたはお亡くなりになりました」
 右手の指でメガネをふちを少し上げ、そうメガネ女子は言った。

「そうですか、死んだのですか。で、これから俺はどうなるのでしょう?」

「はい、生前の行いが悪いため、あなたは俗にいう地獄行きです。来る日も来る日も死ぬような攻めを受けながら、これから輪廻転生するまで苦しむのです」

「死んだのに死ぬような苦しみ、てどんな罰ゲームなんでしょう…」

「罰ですから…と、そんなあなたに朗報です!今なら『エニワン』へ転移できます」

 話を聞くと地球と似たような異世界が他にもあり、そこに転移できるらしい。
 文明は地球よりかなり遅れており、剣と魔法の世界で中世ヨーロッパ時代程度。
 魔獣や魔物がおり人の命が軽いとのこと。
 あぁ、最近アニメでやってる異世界転移か、時々見たことがあったな。

「で、俺が行くその目的は?」

「文明が低迷してもう千年近く進んでいません!だから新しい風が欲しいのです。特に世界を変えるような大きなことは期待していないわ。あなたが転移し生活することで、周りに何かの刺激を与えてくれればいいのです。常識や世界観がわからないだろうから、困らないように予備知識やスキルを1つ与えますね。逆に何も周りに影響を与えられないくらいの力なら、多分生活も成り立たないと思うけど。それに一人の力で、世界が変わる訳でもないから気負わなくていいからね」

「他にも転移者はいますか?」

「今の時代に他の転生、転移者はいません」

「そうですか、ならせっかく転生するなら新しい名前が欲しいです。生まれ変わりたいんだ。そうだ女神様に名前を付けてもらえませんか」

「え、私にですか?」
 今まで転移者を送ってきたが、こんなことはなく戸惑う女神ゼクシーだった。

「えぇ、ぜひお願いします」

「分かりました」

 ゼクシーはしばらく考えていたようだったが

「あなたの名前はエリアス。エリアス・ドラード・セルベルトでどうでしょう?」

「それでいい。ありがとうございます。名前を付けてもらえるなんて、俺とあなたは親子みたいな関係ですね!」

「え!どういうことでしよう?」

「名前を付けてもらった。俺には母親が居る、そう思いただそれだけを心の拠り所にして、生きていきますから」

 えっ、そんなことで、そこまで思ってくれるなんて。

 ゼクシーが女神になってから数万年。
 後輩の寿退職を尻目に、一人寂しく婚活に励んだ。
 相談所に入会してみたものの、高い月謝だけ毎月取られ良縁には未だ恵まれず。
 いったい、私の何がいけないの?(泣)
 自問自答の日々…、結婚だけが人生か…。あぁ、また一人、そしてまた一人と…。

「それと出来ればメンタルと性格面を変えてください」

「どんなことでしょうか、言ってみて」

「まず沈着冷静で物事の先読みが出来る、人から好かれるようにしてほしい。一人で生きていく以上、メンタルや性格も大事ですから」

「わかりました。年齢はどうしますか?自由に設定できますよ」

「成人は何歳からですか?」

「15歳です、でもまだ体は未成熟。養えない家庭が多いから成人扱いにして家から出すことも多くて」

「そうですか、では17歳で。それから精神年齢も17歳にしてください」

「17歳ね。後はお金と、いきなり死なれても困るから、ステータスは全体的に高めと。生活魔法(火・水・氷・風・光)を使えるようにしておくわね」

「ありがとうございます。それと、転移3点セットもお願いできますか」

「転移3点セット?」

「はい転移・転生の定番と言えば、鑑定・異世界言語・ストレージです。後はにしてください」

「わかりました。ほら、これでどう?ではそろそろ、名残惜しいけど『エニワン』に送るわね。私に会いたくなったら教会に行ってお祈りすれば会えることもあるわ」

「ちょっと待ってください、まだスキルを頂いてませんが?」

「転移3点セットでいいのよね…」

「転移3点セットは定番なので、最初から持っているスキル扱いでしょう?」

「そ、そうですか。具体的にはどんなスキルがほしいでしょうか?」

「面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きて行きたい!」

「はい??」

「だから面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくことができるスキルです」

「具体的にはどうしてほしいの?」

「息子が健やかに暮らせるように、考えるのが親でしょう」

「あァ…、やっぱりこんな奴だったのね。もういいわ、では良い旅を…」
 こんな茶番に付き合ってられないわ。今日は合コンなのよ、合コン。

 こうして俺は鑑定・異世界言語・ストレージのみのスキルで、女神に投げやりに新しい世界に放り込まれた。


  *    *    *    *    *

 あ~、やっと行ったわ。
 どうも転生とか転移者は疲れるわ。
 でも仕方がないか?
 徳の高い人はすぐ、天界へ昇天してしまうし。
 ここの狭間へ来るのは、ろくな人ではないからね。

 でも転移した時に心を洗うから、生まれ変わってくれると良いんだけどね。
 ふぅ~。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

※読んで頂きましてありがとうございます。
 本作は『【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-』の元になった作品となります。

 よろしくお願いいたします。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

処理中です...