完結【清】ご都合主義で生きてます。-空間を切り取り、思ったものを創り出す。これで異世界は楽勝です-

ジェルミ

文字の大きさ
上 下
47 / 52
第4章 ライナルの街

第47話 バビト村

しおりを挟む
 あぁ~、眠いわ。
 昨晩はついつい『創生魔法』が面白くなって、物創りに夢中になってしまった。

 でも『創生魔法』は凄いわ。
 私のイメージしたことを理屈や構造がわからなくても創ってくれる。
 この世界に動力がないものは魔魔石で代用。
 大きな動力が必要な時は、それなりの大きさの魔石が必要になるけど。
 まあ、今の私には必要ないからこれでいいわ。
 まさに『終わりよければ全てよし』ね。

 今回、創ったのは卓上コンロと電子レンジね。
 それからヤカン。
 やはり温めができないと困るからね。
 それから防具や剣ね。
 これからは接近戦があるかもしれないから。

 まずはファンタジーといえば定番のバスタードソード。
 刺突と斬撃の両方が可能な刃を備えた刀剣。
 握りは長く、両手で力を込めて使う。
 しかも重量バランスは工夫されており、 片手で白兵戦に挑む事も可能だ。
【スキル】世界の予備知識から得た知識だけどね。

 それから盾。
 盾は2つ用意した。
 まずは盾(バックラー)と、腰を落とせば私の体を隠せるくらいの大盾ね。
 どんな攻撃でもこれで防げます、なんてね。
 そしてどの武具にも今の私のレベルで、扱いできる重さに創った。
 強度を出すために、『創生魔法』の『強化』と『不変』を付与しておいた。
 これが効かないような相手なら…、退散!ということです。
 はい~。

 それから柱時計、腕時計も姿鏡も創ってみた。
 おしゃれは欠かせないものね。
 そこに移る私の姿はまさしく黒髪の日本人だった。

 あと回復薬もかな…。
 その効果がある薬草があれば、創り出すことができる。
 これは人の役に立つから必要なことだと思う。

 取り合えず欲しいものばかりだから、だんだんと創って行こうっと。

 さてっと!
 私はストレージに荷物を収納し宿屋を後にした。

 城門をでた私は早速ストレージからキックボードだし走り出す。
 ほう~、風が気持ちいいわね~。
 バビト村まで日中歩いて一日なら、キックボードなら3時間もかからないわね。

 それ~!!
 私は風になるのよ~!!
 あははははは!

 ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、
 ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、
  ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、
 ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、
 ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、ガラ、

 ささやかな柵で守られた小さな村だった。
 門番の初老の男に話し掛けられる。
「あんたはなんだい?どこからきた?さっきから『あははははは!』と、遠くから聞こえていたけど」
 まっ、恥ずかしい…。
「私の名はレナ。冒険者ギルドよりゴブリン討伐の依頼を受けてきました」

「ほう、こんなお嬢ちゃんが一人でかい?」
「これでもDランクですよ」
「ほう、そんな凄腕なのかい。しかし驚いたよ、ここ最近では村の街道にもでてきて、近づく人を襲うんだ。数体ならこちらでなんとかなるけど、数が多くなる前にどうにかしたいのさ」
「ゴブリン1体見たら10体はいると思え、ですね」
「あぁ、そうだ。レナさんは途中来るときゴブリンと遭遇しなかったかい?」
「えぇ、魔物には出会いませんした」
「それは運が良い。いや、レナさんの強さが魔物にも伝わって襲わなかったのかな?あははは!」
 男は冗談交じりに笑う。
「さあ、疲れただろう。中へお入り」
「はい、ありがとうございます」
「ようこそ、バビト村へ」

 レナは知らなかった。
 キックボードからでるガラ、ガラ、という音がゴブリン達にとっては、とても「嫌な音に聞こえ」出てこなかった。
 ある意味、『熊よけの鈴』のような効果がでていたのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理! ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※ ファンタジー小説大賞結果発表!!! \9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/ (嬉しかったので自慢します) 書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン) 変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします! (誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願 ※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。      * * * やってきました、異世界。 学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。 いえ、今でも懐かしく読んでます。 好きですよ?異世界転移&転生モノ。 だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね? 『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。 実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。 でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。 モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ? 帰る方法を探して四苦八苦? はてさて帰る事ができるかな… アラフォー女のドタバタ劇…?かな…? *********************** 基本、ノリと勢いで書いてます。 どこかで見たような展開かも知れません。 暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...