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第2章 始動開始
第24話 契約
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私は馬車二台をストレージ内で、板バネを加工して取り出した。
「レナさんいったい、なにをしたのかね?」
「車輪のところを見てください。馬車の乗り心地が良くなるように、板バネを付けたのです」
「板バネだと?!」
「はい。板を層状に積み重ねて造り、路面からの衝撃を吸収する物です」
「そんなことで軽減するのか?しかも収納魔法はそんなことが出来ると言うのか?」
「私は木工加工が得意でして…、あはははは!!」
と、訳の分からないことを言いながら私は笑う。
「乗ってみればわかります。さあ、どうぞ」
「あぁ、物は試しと言うからね。では乗ってみようか」
公爵はそう言うと馬車に乗り込む。
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
馬車は順調に走り出す。
「これは凄い!!こんなに乗り心地が良いとは思わなかった」
「そうですね、おじい様。これならお尻は割れませんね」
「こら、ヘーゼル。そんなこと言うものではない」
公爵がヘーゼル公女を窘める。
それは孫が本当にかわいくて仕方がないと言う顔をしている。
「レナさん、これを売りだすことは考えていないのかね」
「売り出すですか?私は馬車販売をする気は無いのでありません」
「そうではない。では構造と権利を売ってくれないか。貴族はなになしらの事業をやっていてね。丁度、木工加工をやっているのさ」
「えぇ、いいですよ。私には宝の持ち腐れですから」
「では街の宿屋に着いたらさっそく、契約を交わそう」
そう言うとマドック公爵は嬉しそうに笑った。
予定では夕方に隣街ラルフに着き、宿屋に泊まる。
明日はその領の領主グレタ公爵の晩餐会。
そして明後日の朝、タラスの街へ戻る予定だそうだ。
なんだかせわしないわね。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
★板バネ
クルト王国 西暦✖✖✖✖年
その年、マドック公爵家が『板バネ』という馬車用のバネの特許を所得。
馬車製作部門に参入する。
馬車の乗り心地の悪さを改善する、『板バネ』を馬車に装備し販売を始める。
舗装整備もされていないその時代では、馬車は乗り心地が悪いものだった。
しかし、歩きでは体裁が悪い富裕層は、そう言う物だろうと我慢していた。
それを一掃したのが『板バネ』を装備した馬車だ。
乗り心地はとてもよく、その快適さに人々は魅了された。
その快適さはやがて諸外国にも広がり、今の礎を築いた。
各地に馬車工場を築き、雇用促進に励みたくさんの人々の暮らしに貢献した。
これが産業革命の一端になったと言っても過言ではない。
今でも『板バネ』博物館に行くと、第一号の馬車が展示してある。
ただ一号機だからなのか、二号機以降の馬車と『板バネ』の構造が違う。
しかも製造されてから数百年経つ今でも、変りないく輝いているという。
「レナさんいったい、なにをしたのかね?」
「車輪のところを見てください。馬車の乗り心地が良くなるように、板バネを付けたのです」
「板バネだと?!」
「はい。板を層状に積み重ねて造り、路面からの衝撃を吸収する物です」
「そんなことで軽減するのか?しかも収納魔法はそんなことが出来ると言うのか?」
「私は木工加工が得意でして…、あはははは!!」
と、訳の分からないことを言いながら私は笑う。
「乗ってみればわかります。さあ、どうぞ」
「あぁ、物は試しと言うからね。では乗ってみようか」
公爵はそう言うと馬車に乗り込む。
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、
馬車は順調に走り出す。
「これは凄い!!こんなに乗り心地が良いとは思わなかった」
「そうですね、おじい様。これならお尻は割れませんね」
「こら、ヘーゼル。そんなこと言うものではない」
公爵がヘーゼル公女を窘める。
それは孫が本当にかわいくて仕方がないと言う顔をしている。
「レナさん、これを売りだすことは考えていないのかね」
「売り出すですか?私は馬車販売をする気は無いのでありません」
「そうではない。では構造と権利を売ってくれないか。貴族はなになしらの事業をやっていてね。丁度、木工加工をやっているのさ」
「えぇ、いいですよ。私には宝の持ち腐れですから」
「では街の宿屋に着いたらさっそく、契約を交わそう」
そう言うとマドック公爵は嬉しそうに笑った。
予定では夕方に隣街ラルフに着き、宿屋に泊まる。
明日はその領の領主グレタ公爵の晩餐会。
そして明後日の朝、タラスの街へ戻る予定だそうだ。
なんだかせわしないわね。
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★板バネ
クルト王国 西暦✖✖✖✖年
その年、マドック公爵家が『板バネ』という馬車用のバネの特許を所得。
馬車製作部門に参入する。
馬車の乗り心地の悪さを改善する、『板バネ』を馬車に装備し販売を始める。
舗装整備もされていないその時代では、馬車は乗り心地が悪いものだった。
しかし、歩きでは体裁が悪い富裕層は、そう言う物だろうと我慢していた。
それを一掃したのが『板バネ』を装備した馬車だ。
乗り心地はとてもよく、その快適さに人々は魅了された。
その快適さはやがて諸外国にも広がり、今の礎を築いた。
各地に馬車工場を築き、雇用促進に励みたくさんの人々の暮らしに貢献した。
これが産業革命の一端になったと言っても過言ではない。
今でも『板バネ』博物館に行くと、第一号の馬車が展示してある。
ただ一号機だからなのか、二号機以降の馬車と『板バネ』の構造が違う。
しかも製造されてから数百年経つ今でも、変りないく輝いているという。
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