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第3章 王都オーランド

第29話 妖精

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 俺はお嬢様達のあとを飛んでいる。
 すると公園の隣に大きなお屋敷があり、その中に入っていった。

 おぉ、デカいな!!
 て、俺の体長からすればなんでもデカいんだけどね。

「お父様、ただいま戻りました」
「おぉ、ダニエラ。散歩はどうだった?」
「はい、お父様。実は…」
「どうしたんだい。顔色が悪いぞ」
「私がお話いたします、お嬢様。実は散歩途中に4人の賊に襲われ、お嬢様がさらわれそうになったのです」
「なん、なんだと?!それでどうなったのだ?」

「どなたかわかりませんが、私たちを助けてくださった方がおりまして…」
「おぉ、それは?!その方をお連れしなかったのかね?」
「あっという間に居なくなってしまわれて」
「どんな方だったのかね?」
「あまりにも素早くて、記憶にありません」
「それほどのものだったのか…。きっとその方は富や名声に興味はないのだろう。今時、そんな人がいるなんて、まだまだ世の中廃れたものではないな」
「それから明朝、憲兵の方が事情を聴きにくるそうです」
「そうかわかった、大変な一日だったね。タバサも今日はメイドの仕事はいいから、ゆっくり休みなさい」
「ありがとうございます、旦那様。そうさせて頂きます」

 ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

 私の名はダニエラ。
 この王都でも3本の指に入る大手のロメイ商会の一人娘。
 手広くやっている分、父を恨むものもいると聞くわ。
 小さい頃からねたまれたりしたけど、まさか襲われるとは思わなかった。
 まして隣の森林公園くらいなら大丈夫と安心していた。


 屋敷に戻る前にタバサと打ち合わせをしておいた。
 誰が助けてくれたのか。
 赤いマントの小動物が助けてくれました!なんていったら頭を疑われる。
 だから気が動転していて、覚えていないことにしようと話した。
 まあ、それもどうかと思うけど他にいい案がない。

 私も、もう20歳。
 釣り合う人がいなくて婚期がどんどん過ぎて行く。
 だって私の夫になる人は養子となりこの商会を継ぐことになるんだもの。
 父が認める人なんているのかしら?
 もしかしたら一生独身かも?
 まあ、それならそれでもいいけど。

 私は詳細を父に話し2階の自分の部屋に入った。

 父が大慌てをしていたわ。
 これから私は警護が厳しくなり、外出禁止になった。

 しかしあれはなんだったのかしら?
 赤いマントを付け空を飛んでいたわ。
 妖精さんだったのかしら?
 いい歳をして妖精もないわね。

 もし本当に妖精がいるのなら、もう一度会ってみたいものだわ。

 ふと気配を感じガラス窓を見る。
 するとそこには、顔をガラス窓にべったりとつけ変顔をしている妖精さんがいた。

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