【完結】空飛ぶハンカチ!!-転生したらモモンガだった。赤い中折れ帽を被り、飛膜を広げ異世界を滑空する!-

ジェルミ

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第1章 始まりの物語

第9話 明日には

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「それが本当なら君達は英雄だ」
 そうギルドマスター、ガイアは言った。

「しかし、いったいどうやって倒したのかね?」
「わかりません。彼らは私を逃がしてくれて、わたしはそれが精一杯でしたから」
「どうして倒したと分かったのかね?」
「魔物の断末魔のような鳴き声が聞こえ引き返してきたのです」

「ではそこで見たのは魔物と刺し違えた、三人の冒険者ということだな」
「はいそうです。手当をするにも間に合わなくて…」
「わかった。疑う訳ではないが、明日の早朝にでも検証に行きたいがどうだろう」
「えぇ、構いません」
「毛皮などの素材は剥ぎ取りできず、そのままと聞いている。他の魔物に食い荒らされても、残骸くらいは残っているはずだ」
「わかりました。同行いたします」
「その確認が出来ればギルドからも報奨金を出そう」
「ありがとうございます」
 アンジェラは頭を下げた。

「あぁ、それから、その奇妙なものは何だい?」
 そういって俺の見つめた。
 その視線を俺は避ける。

 サッ!!
 するとガイアは視線で追ってくる!!
 キリッ!!

 すかさず俺はそれを避ける!!

 サッ!!キリッ!!
  サッ!!キリッ!!
  サッ!!キリッ!!
 サッ!!キリッ!!

 はあ、はあ、はあ、
   はあ、はあ、はあ、馬鹿らしい…。

「はあ、はあ、はあ。再度、伺うがその肩にいるものはなにかな」
「はい、これはペットのモモンガ、キューちゃんです。ねっ、キューちゃん」
『キューちゃん』、『キューちゃん』と何度が言っている。
 しかも最後の『キューちゃん』のところだけ音程を上げ変な声を出している。
 なぜだ?

「し、しかし、その服装は…」
「私の手作りなんです。編むのが大変だったのですよ~」
「そ、そうか。それなら…」
「ではこれ以上、お話がないなら明日の早朝にまた伺います」
 アンジェラは立ち上がり部屋を出た。

 受付に戻り素材を売買したお金を受け取る。
 あまりの金額の高額さに目を見開らく。
 そして俺達は宿屋を見つけ泊まることにした。
 宿屋では服を着た肩乗りモモンガは可愛いと歓迎された。

 ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

「おい、ジェニー。お前はどう思う?」
「可愛いですね。私も欲しいです、肩乗りモモンガ」
「何をいっている、そこではない。Bランククラスの高位の魔物を、Eランクにやっとの冒険者三人がそれを倒すなど考えられるか?」
「普通であれば考えられません」
「そうだろう」

「まぐれでも倒せるとは思えません」
「ですがそう言われる以上は、何か裏があっても、こちらでは立ち入れませんから」
「もう一つ気になることがある」
「なんでしょうか?」
「あのモモンガだ。この部屋に入って来た時に無意識に鑑定をしていた」
「どうでした?」
「弾かれたよ。見事にな」

「弾かれた?ではあのモモンガはギルドマスターより上位と言うことでしょうか?」
「そ、そう言うことになるな」
「やあ~い。小動物に負けたヘタレ男~!!ワ~イ、ワイ」
「これジェニー。よさないか」
「し、失礼いたしました」
「どちらにせよ、明日になればわかることだ」

 そう言うとギルドマスター、ガイアは目を閉じた。

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