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第1章 転生
第5話 ハンドクリーム
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「とうさま、欲しいものがあるのですが…」
「なんだい、サミュエル。お前がおねだりするなんて珍しいね」
「はい、蜜蝋と植物オイル、それと小さい木のカップが何個か欲しいのですが」
「蜜蝋と植物オイルとカップ?そんな物をどうするのだい?」
「それは秘密です。ある物を作り売れればと思います」
「ある物?それは楽しみだ。サミュエルは商人になりたいのかね?」
「僕は商人に、いいえ、便利な物をたくさん作って、みんなに喜ばれる商売人になりたいのです」
「商売人か。それはうまいことを言う。しかし貴族相手の商売は大変だぞ」
「それもこれから学びますから」
「いや、いいさ。それも面白い。お前の好きにやって見なさい」
そう言ってとうさまは笑っていた。
あれから1週間たった。
「サミュエル、欲しがっていた蜜蝋と植物オイルとカップだよ」
「ありがとうございます、とうさま」
「なにをどうやるんだい?」
「まあ、見ていてください。まずは台所に行こうと思います」
「台所に?」
「えぇ、そうです」
俺は用意してもらった蜜蝋と植物オイルとカップを手に台所に向かう。
その後をとうさまと、かあさまが付いてくる。
今はまだ昼近い時間なので、アメリアねえさまは学校に行っている時間だ。
この世界は一日二食だから、この時間には調理人や下ごしらえや仕込み、火おこしなどの雑務を行うメイドも今はいない。
仕方が無いのでメイドのカルロッタに、屋敷の調理人ベフを呼んできてもらう。
「サミュエル坊ちゃん、昼の間食のにしては大人数ですね」
一日二食だと昼にはお腹がすく。
転生前の記憶を取り戻してからは特にそうだ。
調理人のベフは40代前半、通いの調理人だ。
黒髪に赤い髪が少し混じっている。
ベフのように庶民でも魔法を使える人はいる。
しかしそれは少しだけ使えるレベルだ。
特に火の魔法持ちは、調理人や厨房関係の仕事に就く人が多い。
火おこしに便利だからね。
「違います、今日は作りたいものがあって…」
「作りたいものですか?なんでしょうか」
「それをこれから作るので手伝ってください」
「分かりました。何をすればいいのでしょうか?」
「鍋に水を入れて、火をつけお湯にしてほしいのです」
「お湯にするのですね」
そう言うとベフは指先から、マッチくらいの炎が出て薪に火をつけた。
お湯になったらカルロッタやベフに手つだってもらう。
火にかけながら湯せんをして、蜜蝋を溶かす。
溶け始めたらカップの中に植物オイルを入れる。
そして蜜蝋が完全に溶け、鍋からカップを出して固まったら完成だ。
カップに入れた物を6個作り、1個をカルロッタ、2個を厨房や使用人用としてベフに渡した。
「これはなにかな?サミュエル」
「はい、手に付けるハンドクリームと言う物です」
「ハンドクリーム?何に使うのかな?」
「はい、メイドのカルロッタの手が荒れていたので、手を保湿するものを作ろうと思いまして」
「優しいのだな、サミュエルは」
「ありがとうございます、サミュエル様」
カルロッタが嬉しそうに、俺に礼を言ってくる。
「使い勝手がわからないから、さっそく手に塗ってみようか?見本を見せるね」
俺はそう言うとクリームを手に取った。
クリームは手の甲から塗ることが多いかもしれないが、手の平で温めてから塗ったほうが伸びがいい。
しっかり手全体に伸ばすように塗るのがポイントだ。
俺は指先にクリームを付け自分の手の平に取る。
両手で軽くすり合わせ、手の平全体に行き渡らせながら温める。
手の甲を優しく押さえ全体に馴染ませる。
指の付け根から指先まで指1本1本を丁寧に握るように塗る。
これでまんべんなく塗れたはずだ。
「さあ、やってみて?」
カルロッタが俺の真似をして指先にクリームを手に付けてる。
調理人のベフやとうさま、かさまもやっている。
「あぁ、サミュエル様。手のカサカサがしっとりします」
「サミュエル坊ちゃん、手がスベスベだ」
「ほう、しっとりするのか」
「これはいいですね、あなた」
「これは商品化できそうでしょうか?とうさま」
「うむ、商品化か」
「本当にありがとうございます、サミュエル様。こんな高価な物を」
カルロッタは俺に礼お言う。
へ?
高価?
高価なら売れないのでは?
なぜなら庶民相手の商品だからだ。
「なんだい、サミュエル。お前がおねだりするなんて珍しいね」
「はい、蜜蝋と植物オイル、それと小さい木のカップが何個か欲しいのですが」
「蜜蝋と植物オイルとカップ?そんな物をどうするのだい?」
「それは秘密です。ある物を作り売れればと思います」
「ある物?それは楽しみだ。サミュエルは商人になりたいのかね?」
「僕は商人に、いいえ、便利な物をたくさん作って、みんなに喜ばれる商売人になりたいのです」
「商売人か。それはうまいことを言う。しかし貴族相手の商売は大変だぞ」
「それもこれから学びますから」
「いや、いいさ。それも面白い。お前の好きにやって見なさい」
そう言ってとうさまは笑っていた。
あれから1週間たった。
「サミュエル、欲しがっていた蜜蝋と植物オイルとカップだよ」
「ありがとうございます、とうさま」
「なにをどうやるんだい?」
「まあ、見ていてください。まずは台所に行こうと思います」
「台所に?」
「えぇ、そうです」
俺は用意してもらった蜜蝋と植物オイルとカップを手に台所に向かう。
その後をとうさまと、かあさまが付いてくる。
今はまだ昼近い時間なので、アメリアねえさまは学校に行っている時間だ。
この世界は一日二食だから、この時間には調理人や下ごしらえや仕込み、火おこしなどの雑務を行うメイドも今はいない。
仕方が無いのでメイドのカルロッタに、屋敷の調理人ベフを呼んできてもらう。
「サミュエル坊ちゃん、昼の間食のにしては大人数ですね」
一日二食だと昼にはお腹がすく。
転生前の記憶を取り戻してからは特にそうだ。
調理人のベフは40代前半、通いの調理人だ。
黒髪に赤い髪が少し混じっている。
ベフのように庶民でも魔法を使える人はいる。
しかしそれは少しだけ使えるレベルだ。
特に火の魔法持ちは、調理人や厨房関係の仕事に就く人が多い。
火おこしに便利だからね。
「違います、今日は作りたいものがあって…」
「作りたいものですか?なんでしょうか」
「それをこれから作るので手伝ってください」
「分かりました。何をすればいいのでしょうか?」
「鍋に水を入れて、火をつけお湯にしてほしいのです」
「お湯にするのですね」
そう言うとベフは指先から、マッチくらいの炎が出て薪に火をつけた。
お湯になったらカルロッタやベフに手つだってもらう。
火にかけながら湯せんをして、蜜蝋を溶かす。
溶け始めたらカップの中に植物オイルを入れる。
そして蜜蝋が完全に溶け、鍋からカップを出して固まったら完成だ。
カップに入れた物を6個作り、1個をカルロッタ、2個を厨房や使用人用としてベフに渡した。
「これはなにかな?サミュエル」
「はい、手に付けるハンドクリームと言う物です」
「ハンドクリーム?何に使うのかな?」
「はい、メイドのカルロッタの手が荒れていたので、手を保湿するものを作ろうと思いまして」
「優しいのだな、サミュエルは」
「ありがとうございます、サミュエル様」
カルロッタが嬉しそうに、俺に礼を言ってくる。
「使い勝手がわからないから、さっそく手に塗ってみようか?見本を見せるね」
俺はそう言うとクリームを手に取った。
クリームは手の甲から塗ることが多いかもしれないが、手の平で温めてから塗ったほうが伸びがいい。
しっかり手全体に伸ばすように塗るのがポイントだ。
俺は指先にクリームを付け自分の手の平に取る。
両手で軽くすり合わせ、手の平全体に行き渡らせながら温める。
手の甲を優しく押さえ全体に馴染ませる。
指の付け根から指先まで指1本1本を丁寧に握るように塗る。
これでまんべんなく塗れたはずだ。
「さあ、やってみて?」
カルロッタが俺の真似をして指先にクリームを手に付けてる。
調理人のベフやとうさま、かさまもやっている。
「あぁ、サミュエル様。手のカサカサがしっとりします」
「サミュエル坊ちゃん、手がスベスベだ」
「ほう、しっとりするのか」
「これはいいですね、あなた」
「これは商品化できそうでしょうか?とうさま」
「うむ、商品化か」
「本当にありがとうございます、サミュエル様。こんな高価な物を」
カルロッタは俺に礼お言う。
へ?
高価?
高価なら売れないのでは?
なぜなら庶民相手の商品だからだ。
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