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第18章 外の世界
第226話 女神ゼクシー?
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俺達は帰路についている。
騎士団員達は魔物討伐に浮かれ道中、はしゃいでいる者が多い。
それも仕方がない事だろう。
見習い神官の訓練程度の相手にしかならないと言われていた、魔物が生息している森に討伐に向うと、ゴゴブリンの上位種キングと遭遇し勇者がそれを倒した。
その戦いに参戦でき、勝利して凱旋するなどとなんと誉れなことだろう。
その反面、俺達の馬車の中は重たい空気が流れていた。
「エリアス様、私はいったいどうすればよいのでしょうか?エリアス様がいらっしゃれば魔物を倒すことはできます。ですがそれではいつまで経っても、解決にはなりません…」
「そうですね。確認したいことがあります」
「なんでしょうか?」
「この国で信仰している神様は誰でしょうか?」
「あっ、すみません。まだお伝えしていませんでした。他国を含め信仰しているのはシャルエル教、女神ゼクシー様です」
「そうですか。では一度、神殿に参拝をしたいのですが…」
「わかりました。王都に戻りましたら、エリアス様を召喚した神殿がございます。そこで参拝いたしましょう」
「えぇ、お願いします」
「ですがなぜ、参拝を…」
「確認したいことがあります」
「確認ですか?」
「そうです。でも今は言えません」
「わかりました、無理にお聞きいたしません」
その言葉を最後に言葉が途切れ、馬車の中は沈黙が訪れた…。
3時間後、重たい空気の中、俺達騎士団一行は王都に着いた。
王都は伝令を走らせていたのか、門をくぐるとたくさんの歓声に包まれた。
「 勇者様。万歳!! 」
「 魔物討伐、おめでとう!! 」
「 これでこの国も救われるぞ!! 」
魔物を倒しても脅威が去った訳でも、解決策がある訳でもない。
だがそれを知らない人々に応えるために、俺とビッチェ王女は馬車の窓を開け手を振る。
そのまま俺とビッチェ王女、メイドの2人は王都の神殿に向かう。
するとなぜかロターリ司祭も一緒に着いてくる。
まあ、シャルエル教の司祭だから変ではないけど…。
神殿に入り礼拝堂に向うとそこにはボン、キュッキュの盛った女神ゼクシー像が立っていた。
あぁ、この時代からすでに盛っていたのですねゼクシーかあさん…。
多くの参列者の同様、俺は像の前で跪《ひざまづ》き目を閉じ祈った。
すると転移した時のように白い靄のようなものに包まれた場所にいた。
「はい、お次の方~って、そこのあなた、横入りは困るわね!!」
そう言いながらカウンターの向こうには腰に手を当て立ち上がる、緑の長い髪をポニーテールに束ねたスレンダーなメガネ女子、女神ゼクシーがいた。
「ゼクシーかあさん、俺ですエリアスです!!」
「なに?あなたは?精神体で生きた人がここに入って来ては駄目でしょう!!」
「いや、実は今から300年後に俺はあなたに…」
そう言いながら俺は今までの経緯を話した。
すると女神ゼクシーは困った顔でこう言った。
「それは私ではないわ、ごめんなさいね…」
そこにはいつものデレたゼクシーかあさんではなく、凛とした塩対応の女神ゼクシーがいた。
騎士団員達は魔物討伐に浮かれ道中、はしゃいでいる者が多い。
それも仕方がない事だろう。
見習い神官の訓練程度の相手にしかならないと言われていた、魔物が生息している森に討伐に向うと、ゴゴブリンの上位種キングと遭遇し勇者がそれを倒した。
その戦いに参戦でき、勝利して凱旋するなどとなんと誉れなことだろう。
その反面、俺達の馬車の中は重たい空気が流れていた。
「エリアス様、私はいったいどうすればよいのでしょうか?エリアス様がいらっしゃれば魔物を倒すことはできます。ですがそれではいつまで経っても、解決にはなりません…」
「そうですね。確認したいことがあります」
「なんでしょうか?」
「この国で信仰している神様は誰でしょうか?」
「あっ、すみません。まだお伝えしていませんでした。他国を含め信仰しているのはシャルエル教、女神ゼクシー様です」
「そうですか。では一度、神殿に参拝をしたいのですが…」
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「えぇ、お願いします」
「ですがなぜ、参拝を…」
「確認したいことがあります」
「確認ですか?」
「そうです。でも今は言えません」
「わかりました、無理にお聞きいたしません」
その言葉を最後に言葉が途切れ、馬車の中は沈黙が訪れた…。
3時間後、重たい空気の中、俺達騎士団一行は王都に着いた。
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「 勇者様。万歳!! 」
「 魔物討伐、おめでとう!! 」
「 これでこの国も救われるぞ!! 」
魔物を倒しても脅威が去った訳でも、解決策がある訳でもない。
だがそれを知らない人々に応えるために、俺とビッチェ王女は馬車の窓を開け手を振る。
そのまま俺とビッチェ王女、メイドの2人は王都の神殿に向かう。
するとなぜかロターリ司祭も一緒に着いてくる。
まあ、シャルエル教の司祭だから変ではないけど…。
神殿に入り礼拝堂に向うとそこにはボン、キュッキュの盛った女神ゼクシー像が立っていた。
あぁ、この時代からすでに盛っていたのですねゼクシーかあさん…。
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すると転移した時のように白い靄のようなものに包まれた場所にいた。
「はい、お次の方~って、そこのあなた、横入りは困るわね!!」
そう言いながらカウンターの向こうには腰に手を当て立ち上がる、緑の長い髪をポニーテールに束ねたスレンダーなメガネ女子、女神ゼクシーがいた。
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「いや、実は今から300年後に俺はあなたに…」
そう言いながら俺は今までの経緯を話した。
すると女神ゼクシーは困った顔でこう言った。
「それは私ではないわ、ごめんなさいね…」
そこにはいつものデレたゼクシーかあさんではなく、凛とした塩対応の女神ゼクシーがいた。
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