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第18章 外の世界

第224話 決着

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  ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!
  ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!
   ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!
  ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!
 ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!ガッ!!

 レッドキャップとの打ち合いは続く。

 この時代に召喚されて来てから弱体化したような気がする。
 今までのような力が出ないなら、作戦を変えればいい。


 レッドキャップはイラついたように連続攻撃をしかけ俺は左手に魔力を貯める。

 そして待っていた瞬間が来た。

 スカッ!

「ウギィ!?」

 レッドキャップの斧を俺は左腕で受け止めた。
 その瞬間、斧の先をストレージで収納し口を閉じたのだ。
 そのため、斧を抜くことが出来ない。
 
 レッドキャップは掴んだ右手で、斧を引き抜こうとし手を放していない。
 俺は右手のクレイモアをすかさず突き刺す。

「 ギッ!! 」

 奴は左手でクレイモアの刃を受け止めた。
 これで両手が塞がったな。
 
 俺は斧を受け止めている左腕を、そのまま奴の顔の前にずらした。
 左腕の盾代わりの『収納防御』に溜めた魔力を一気に放出する!!

Blue flameブルー フレイム!!(青い炎)」

 ゴウォ………………………!!!

 これは火と風の魔法で約10,000℃の青い炎が、ガスバーナーのように近距離からレッドキャップの顔を炙《あぶ》る!!

〈〈〈〈〈 グギャァ~~~~~~~!! 〉〉〉〉〉

 レッドキャップの赤い帽子は焼け、奴は両手を離し後ろに下がって行く。
 手を放したその隙に奴の斧は完全に収納しておいた。

 グギギギギ...........................

 奴の顔は焼けただれ、両目は白くなっている。
 もう目が見ない、これで戦いは終わったも同然だ。
 
「みなさん、レッドキャップは目が見えません!!焦らず確実に倒しましょう!!」

「おぉ~!!さすが勇者エリアス様だ!!」
「これでもう俺達の勝利だ」
 気の早い騎士団員がはしゃぎだす。

 ゴブリンの動きが突然悪くなり、統制が取れないのかオロオロしている。
 中には森に帰って行く個体までいる。

「おい、見ろ!ゴブリン達が森に帰って行くぞ」
「レッドキャップの呪縛が解けたんだ」

 ゴブリンの過半数は逃げ始め騎士団は追撃を始めている。

「騎士団の諸君。キングを倒せばこの苦しい戦いも終わりだ」
 見ると騎士団長アーガスが決着がついたと思ったのか、馬に乗り出てきていた。

「いくぞ~!!奴を倒せ!!」
「名を上げるチャンスだ。レッドキャップを倒せ!」

「「「 お~~~~!! 」」」

 大勢の騎士団員がレッドキャップ目掛けて集まる。
 まるで蜜に群がる蟻のように…。
 
  ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!
   ドンッ!ドバッ!!ドンッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!!
  ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!

   ドンッ!ドバッ!!ドンッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!!
  ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!

   ドンッ!ドバッ!!ドンッ!ドンッ!ドバッ!!シュ!ドンッ!ドバッ!!

 そしてそれは起こった。

「ギャ~~!!」      「う、腕が..............」
    「ぐぇ!」            「腹が、痛いよ~」
        「痛てえ!!」            「はあ、はあ、はあ」
             「あ、あ、あ、」    

 たくさんの騎士団の苦痛の声が聞こえる。
 俺は少し離れたところからそれを見ていた。

「な、なにをしている。奴は手負いだぞ。掛かれ!!」
 そう団長補佐のコニーが叫んだ瞬間だった。

「げふっ!」
 コニーの胸から槍が生えた。 
「ば、馬鹿な?!」
 そう一言残し彼は絶命した。

 レッドキャップは目が見えない。
 だから音に反応しているんだ。

 周りに落ちている武器を手探りで拾っている。
 ガチャガチャ音を出しながら歩く、金属製の鎧を着た騎士団たち。
 大きな音を出せば、格好の的になるだけだ。


「な、なにが起こったんだ」
 騎士団員がが声を出し騒ぎ始める。

「なにが起こっているのでしょうか、エリアス様」
「しっ、静かにしましょう。ビッチェ王女様。奴は音に反応してるんです」
「音?」
「そうです。目が見えなくなった分、音を頼りに攻撃しているんです」
 騎士団員はメタルアーマーを着ている。
 だから奴は鎧がすれる音を聞くために、静かに動かずに待っていればいい。


 手近なところから襲っていくレッドキャップ。
 さすがは高位の魔物だ。
 まるで騎士など相手にならない。
 弓兵は味方に当たるのを恐れ、弓矢を打つことが出来ない。

 力任せに剣を振るうだけの魔物。
 そしてレッドキャップは、俺達に近づいてきた。
 俺達は何も言わず、動かず、じっとしている。

 レッドキャップは前に進む。
 傷だらけになりながら。
 顔はただれ、目も焼かれて視界も見えない。
 足を引きずり、それでも奴は前に進んで行く。
 
 なぜ、そこまで?
 グググググ、
 苦しそうに泣きながら。

 レッドキャップは俺達の3mくらい前を横切る。
 そして進む。

 騎士団は取り囲んでいるだけで、手出しはしなくなった。
 レッドキャップが動くと、動いた分だけ騎士団の囲んだ円も動く。

 これでは決着がつかない。
 奴は今、音をだすものに反応する。

 レッドキャップは俺達を通り越して進んで行く。
 5mくらい離れたところで俺は魔力を貯める。
 そして左手の指先に集め発射する。
 奴の引きずる足の太股を目掛けて。
 
 〈〈〈〈〈 シュ-------------------------------------------!!! 〉〉〉〉〉

 水を圧縮し0.1mmの細い水流にして噴射!!
 高速・高密度の圧縮された水は、音速の3倍に達し対象物の制限がなく切断する。
 ウオーターカッターの原理だ。
 生活魔法の水を圧縮し、風魔法に乗せ噴射する。
 ただ1つ難点があり、対象物が動いていると一瞬では切れないことだ。
 だから足止めが出来れば。

 「「「「「 ギャァ~~~~~~~~~~!! 」」」」」

 太股の中心を貫通し横に切り裂く。
 ぐらっと足が折れレッドキャップが倒れる。

 「「「「「 グギャァ~~~~!ギャァ~~!! 」」」」

 そして後ろを向いた倒れた奴の背中から、腰辺りを目掛け再び噴射する。

 「「「「「 グギャァ~~~~!ギャァ~~!!グギャァ~~!! 」」」」」

 腰から内臓を貫通し肺にかけて切り上げていく。
 よほど苦しいのだろう。
 レッドキャップの声が辺りに響く。

 やっと倒せた魔物のはずなのに、なぜか俺は『すまない』と謝っていた。
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