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第16章 今度は召喚(ビッチェ王女編)
第209話 嗜好の違い
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「まず冒険者ギルドを設立するなら、騎士団などから人を募り新人冒険者に戦闘訓練を行い人を育ててからの方がいいでしょう」
「私もそう思います」
「それからポーションなどの回復薬はあるりますか?」
「はい、ございます」
「では命の危険がある討伐ばかりではなく、ポーションの元となる薬草採取などの簡単な依頼を出すのがいいですね」
「それはいい案です。冒険者も安心できるし、定期的に仕事を供給できそうです」
「それから個々の希望の能力に合わせて、剣や弓などを教えていくのです。それから能力によりランク分けをしましょう」
「ランク分けですか?」
「えぇ、そうです。例えばゴブリンしか倒せない実力の人に、オーガの依頼は無理ですから」
「そう言われれば、そうなりますね」
「生還率を高める討伐の仕方が必要になります。A、B、Cなどのランクを分けて、依頼の難易度で受けられるものと、受けられないものを決めましょう。例えば1人では無理でも、パーティを組めば複数で対応することもできますから」
「とても良い考えだと思います。父に相談して、王に進言してもらおうと思います」
「そうですか。お役に立てたようで良かった」
「これで少しはこの国が良くなるのならいいのですが」
「では、今度はこの国について教えてください」
「分かりました。では私の話から聞いてください」
現ジリヤ国の王はルーク ・ディ・サバイア。
そして妻は第一王妃グリニス。
現王は50代前半の男盛り。
その為なのかまだ王位を王子に継がせる話はでていない。
第一王妃グリニスの息子で私の父、第一王子イクセル ・ディ・サバイア王子。
妻のポーリーン王女。
そしてジリヤ国第一王子の娘である私、第一王女ビッチェ・ディ・サバイア。
兄の第一王子ヘルムート王子は17歳。
私の父、第一王子イクセルは36歳、凡人だった。
私達の他に王にはグリニス王妃の他に第二、第三夫人がいる。
その間に王子が2人、王女が3人生まれている。
「どうしてビッチェ王女様は勇者召喚に、関わっているのですか?」
「それは政治的なことに思います。今の王には王妃グリニス様の他に側室が2人おります。その方々に王子が2人おりまして」
サバイア王の第二王妃、リーゼロッテの息子コンラードは34歳。
母リーゼロッテの英才教育を、幼い頃から受け内政や外交に才能があった。
他に王女が2人いる。
サバイア王の第三王妃、ミラベルの息子ヴァルターは32歳。
筋骨隆々で幼少から文学は早々に諦め、剣を磨き魔物討伐で武功を挙げた。
他に王女が1人いる。
第二、第三王子がここまで頑張れたのは、覇権を握り生き残るため。
母違いの王子が3人いる。
誰かが次の王になれば残った王子は、親子もろ共消されてしまうかもしれない。
だから今でも毒殺や暗殺に気を使いながら日々を生きている。
次の王になり権力を手に入れるために。
「では王位継承権で争っていると」
「はい、そうです。各王子ごとに派閥があり、父であるイクセル王子の評判を少しでも上げられればと思いまして。そのために私は成功するかも分からない、勇者召喚の責任者に進んで名乗り出たのです」
「では思ったよりうまく事が、運ばないかもしれませんね」
「どう言うことでしょうか?」
「権力争いがあっても、国あっての自分達と分かっているならいいのですが、権力第一主義だと国は滅びることは無いと過信し、国の事や魔物のことなど二の次になるからです」
「そんなことは無いと思いますが」
「国の上に立つ人がどれだけ世間を知っているのかで、やり方は大きく変わると思います」
「エリアス様はどこから、その様な知識を…」
「あっ、私も村の開拓くらいはやっていましたから」
「まあ、そうでしたね」
それから俺達は楽しい時間を過ごした。
「ではエリアス様。冒険者ギルドの件はお父様にお話ししてみます」
「お話がうまく行くと良いですね」
「はい、頑張りますから私」
そう言うとビッチェ王女は両腕で、ポーズを作り部屋を出ていった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
私の名はジリヤ国第一王子の娘、第一王女ビッチェ・ディ・サバイア。
ジリヤ国は王都の周りを、取り囲むように配置されている8つの州がある。
東西南北に6つの州が、更に王都寄りの東西に2つの州の公爵家がある。
特に王都寄りの東西にある、2つの州の公爵家は他の公爵家に比べると領土も広く豊かだった。
その中でも他の7公爵家に比べ、特に力があるのが王都東のファイネン領だ。
ファイネン領は何世代か前の領主が、街道を荒らすワイバーンを2匹討伐し功績を挙げたと言われている。
そのワイバーンは卵を2個守っており、持ち帰った卵が2個孵りオス、メス2匹のワイバーンが生まれた。
そして初めて見た領主を親だと思い2匹は懐いた。
それから2匹はたくさん卵を産み、優秀な騎士を側に付け子供が孵る度に※『刷り込み』を行った。
こうして竜騎士が生まれた。
オバダリア・シュレーダー・ファイネン侯爵。
次期当主を継げば公爵になる男。
銀色の髪を短く刈り、やややせ気味の神経質そうな顔。
8つの州の中で一番権力を持つ、次期ファイネン領当主。
父である第一王子イクセルには、王都に昔から仕えている名前ばかりの貴族しか支援者は居ない。
王子の誰に付くかで自分達の繁栄が決まる。
しかし凡人の父を押す支援者は少ない。
だがこのまま叔父のコンラード王子や、ヴァルター王子のどちらかが次の王選ばれれば私たち家族はいずれ消されてしまうかもしれない。
そんな時に勇者召喚の話が出た時に私は真っ先に話に乗ったわ。
駄目で元々。
でもこれが成功すれば、評価が上がり私の支援者が増える。
結果、それは父イクセルの力になる。
そして丁度、王都に来ていたオバダリア侯爵を巻き込んだ。
オバダリア侯爵は数少ない鑑定眼の持ち主。
その子種だけでも欲しがる貴族は多い。
だって鑑定能力は貴重なスキル。
うまくその血を取り込むことができれば、その家族は一生生活に困らない。
しかもオバダリア侯爵は30歳のくせに独身。
15~16歳で結婚をする貴族の中では婚期が遅い。
人間性に問題があるとか、噂になっていたわ。
そういう私も15歳。
でも力を持たない父の娘など誰も欲しがらない。
名前だけの王女様。
そして次の王が誰に傾くのか。
それを見極めてから娘がいる王子に、取り込もうと他の貴族はしている。
勇者召喚なんて成功するかも分からない。
今まで誰も行ったことが無いから。
だから後ろ盾がほしかった。
揺るがない力を。
そしてある舞踏会の席でオバダリア侯爵を誘った。
私は年齢の割には幼く見える。
言い方を換えれば、幼児体系だ。
女としては私にはなびかないだろう。
だから私と手を組むことをストレートに提案した。
オバダリア侯爵はどの派閥にもつかず様子を見ている。
多分、誰かが王になってから近づけば良いと思っているのだろう。
だがそこからでは遅い。
オバダリア侯爵が権力を欲するなら、次の王は大きな番狂わせだと。
そしてその王を補佐するのが一番だと。
父に力を貸してほしいと。
するとオバダリア侯爵は凡人の父を、陰から思いのままに出来ると思ったのだろう。
利害が一致した。
そしてもう一つ後から、わかったことがあった。
この男は自分より『高貴な相手を汚すことが喜び』に感じる男だった。
だから結婚しなかった。
いいえ、出来なかった。
なぜなら公爵より上の貴族は王家だったから。
それからはうまく行ったわ。
私は彼が望んだ王家の血を引く王女だからよ。
初めてだったけれど、それに見合う後ろ盾を手に入れた。
それから事あるごとに私はオバダリア侯爵と、公の場に登場してもらう事にした。
それからすぐに狭い宮中の中、ファイネン領の次期当主がビッチェ王女と仲が良い、と噂が広まった。
これで派閥の貴族の取り込みや牽制になる。
今はこの男の手を払いながら、なんとか交わしているけど。
早くことを運び、この男から離れたい…。
それにこの男が私の事をビッチェではなく、『ビッチ』と呼ぶことがある。
愛称だから心地良いはずだけど、とても不快に感じるのはなぜだろう?
それから王都シャルエル教神殿で巫女に、召喚の魔力を魔石に溜めてもらうことを依頼した。その時に出会ったのがロターリ司祭だった。
私の第一印象は最悪だ。
ロターリ司祭は50過ぎで太っており脂ぎっていた。
欲とお金に執着した顔、それだけで私は嫌悪感を感じた。
しかし私の提案に一も二もなく賛同してくれた。
その太って贅肉の付いた顔を輝かせながらだ。
なぜだろうか?
こんな幼児体系の私に…。
しかしこの男の、私を舐め回すような、ねちっこい視線はなんだろう?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いつも応援頂いてありがとうございます。
物語と更新は、まったり、のんびりと進みます。
※『刷り込み』
生まれたばかりの動物、特に鳥類で多くみられる行動。
目の前を動く物体を親として覚え込み、以後それに追従すること。
「私もそう思います」
「それからポーションなどの回復薬はあるりますか?」
「はい、ございます」
「では命の危険がある討伐ばかりではなく、ポーションの元となる薬草採取などの簡単な依頼を出すのがいいですね」
「それはいい案です。冒険者も安心できるし、定期的に仕事を供給できそうです」
「それから個々の希望の能力に合わせて、剣や弓などを教えていくのです。それから能力によりランク分けをしましょう」
「ランク分けですか?」
「えぇ、そうです。例えばゴブリンしか倒せない実力の人に、オーガの依頼は無理ですから」
「そう言われれば、そうなりますね」
「生還率を高める討伐の仕方が必要になります。A、B、Cなどのランクを分けて、依頼の難易度で受けられるものと、受けられないものを決めましょう。例えば1人では無理でも、パーティを組めば複数で対応することもできますから」
「とても良い考えだと思います。父に相談して、王に進言してもらおうと思います」
「そうですか。お役に立てたようで良かった」
「これで少しはこの国が良くなるのならいいのですが」
「では、今度はこの国について教えてください」
「分かりました。では私の話から聞いてください」
現ジリヤ国の王はルーク ・ディ・サバイア。
そして妻は第一王妃グリニス。
現王は50代前半の男盛り。
その為なのかまだ王位を王子に継がせる話はでていない。
第一王妃グリニスの息子で私の父、第一王子イクセル ・ディ・サバイア王子。
妻のポーリーン王女。
そしてジリヤ国第一王子の娘である私、第一王女ビッチェ・ディ・サバイア。
兄の第一王子ヘルムート王子は17歳。
私の父、第一王子イクセルは36歳、凡人だった。
私達の他に王にはグリニス王妃の他に第二、第三夫人がいる。
その間に王子が2人、王女が3人生まれている。
「どうしてビッチェ王女様は勇者召喚に、関わっているのですか?」
「それは政治的なことに思います。今の王には王妃グリニス様の他に側室が2人おります。その方々に王子が2人おりまして」
サバイア王の第二王妃、リーゼロッテの息子コンラードは34歳。
母リーゼロッテの英才教育を、幼い頃から受け内政や外交に才能があった。
他に王女が2人いる。
サバイア王の第三王妃、ミラベルの息子ヴァルターは32歳。
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他に王女が1人いる。
第二、第三王子がここまで頑張れたのは、覇権を握り生き残るため。
母違いの王子が3人いる。
誰かが次の王になれば残った王子は、親子もろ共消されてしまうかもしれない。
だから今でも毒殺や暗殺に気を使いながら日々を生きている。
次の王になり権力を手に入れるために。
「では王位継承権で争っていると」
「はい、そうです。各王子ごとに派閥があり、父であるイクセル王子の評判を少しでも上げられればと思いまして。そのために私は成功するかも分からない、勇者召喚の責任者に進んで名乗り出たのです」
「では思ったよりうまく事が、運ばないかもしれませんね」
「どう言うことでしょうか?」
「権力争いがあっても、国あっての自分達と分かっているならいいのですが、権力第一主義だと国は滅びることは無いと過信し、国の事や魔物のことなど二の次になるからです」
「そんなことは無いと思いますが」
「国の上に立つ人がどれだけ世間を知っているのかで、やり方は大きく変わると思います」
「エリアス様はどこから、その様な知識を…」
「あっ、私も村の開拓くらいはやっていましたから」
「まあ、そうでしたね」
それから俺達は楽しい時間を過ごした。
「ではエリアス様。冒険者ギルドの件はお父様にお話ししてみます」
「お話がうまく行くと良いですね」
「はい、頑張りますから私」
そう言うとビッチェ王女は両腕で、ポーズを作り部屋を出ていった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
私の名はジリヤ国第一王子の娘、第一王女ビッチェ・ディ・サバイア。
ジリヤ国は王都の周りを、取り囲むように配置されている8つの州がある。
東西南北に6つの州が、更に王都寄りの東西に2つの州の公爵家がある。
特に王都寄りの東西にある、2つの州の公爵家は他の公爵家に比べると領土も広く豊かだった。
その中でも他の7公爵家に比べ、特に力があるのが王都東のファイネン領だ。
ファイネン領は何世代か前の領主が、街道を荒らすワイバーンを2匹討伐し功績を挙げたと言われている。
そのワイバーンは卵を2個守っており、持ち帰った卵が2個孵りオス、メス2匹のワイバーンが生まれた。
そして初めて見た領主を親だと思い2匹は懐いた。
それから2匹はたくさん卵を産み、優秀な騎士を側に付け子供が孵る度に※『刷り込み』を行った。
こうして竜騎士が生まれた。
オバダリア・シュレーダー・ファイネン侯爵。
次期当主を継げば公爵になる男。
銀色の髪を短く刈り、やややせ気味の神経質そうな顔。
8つの州の中で一番権力を持つ、次期ファイネン領当主。
父である第一王子イクセルには、王都に昔から仕えている名前ばかりの貴族しか支援者は居ない。
王子の誰に付くかで自分達の繁栄が決まる。
しかし凡人の父を押す支援者は少ない。
だがこのまま叔父のコンラード王子や、ヴァルター王子のどちらかが次の王選ばれれば私たち家族はいずれ消されてしまうかもしれない。
そんな時に勇者召喚の話が出た時に私は真っ先に話に乗ったわ。
駄目で元々。
でもこれが成功すれば、評価が上がり私の支援者が増える。
結果、それは父イクセルの力になる。
そして丁度、王都に来ていたオバダリア侯爵を巻き込んだ。
オバダリア侯爵は数少ない鑑定眼の持ち主。
その子種だけでも欲しがる貴族は多い。
だって鑑定能力は貴重なスキル。
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しかもオバダリア侯爵は30歳のくせに独身。
15~16歳で結婚をする貴族の中では婚期が遅い。
人間性に問題があるとか、噂になっていたわ。
そういう私も15歳。
でも力を持たない父の娘など誰も欲しがらない。
名前だけの王女様。
そして次の王が誰に傾くのか。
それを見極めてから娘がいる王子に、取り込もうと他の貴族はしている。
勇者召喚なんて成功するかも分からない。
今まで誰も行ったことが無いから。
だから後ろ盾がほしかった。
揺るがない力を。
そしてある舞踏会の席でオバダリア侯爵を誘った。
私は年齢の割には幼く見える。
言い方を換えれば、幼児体系だ。
女としては私にはなびかないだろう。
だから私と手を組むことをストレートに提案した。
オバダリア侯爵はどの派閥にもつかず様子を見ている。
多分、誰かが王になってから近づけば良いと思っているのだろう。
だがそこからでは遅い。
オバダリア侯爵が権力を欲するなら、次の王は大きな番狂わせだと。
そしてその王を補佐するのが一番だと。
父に力を貸してほしいと。
するとオバダリア侯爵は凡人の父を、陰から思いのままに出来ると思ったのだろう。
利害が一致した。
そしてもう一つ後から、わかったことがあった。
この男は自分より『高貴な相手を汚すことが喜び』に感じる男だった。
だから結婚しなかった。
いいえ、出来なかった。
なぜなら公爵より上の貴族は王家だったから。
それからはうまく行ったわ。
私は彼が望んだ王家の血を引く王女だからよ。
初めてだったけれど、それに見合う後ろ盾を手に入れた。
それから事あるごとに私はオバダリア侯爵と、公の場に登場してもらう事にした。
それからすぐに狭い宮中の中、ファイネン領の次期当主がビッチェ王女と仲が良い、と噂が広まった。
これで派閥の貴族の取り込みや牽制になる。
今はこの男の手を払いながら、なんとか交わしているけど。
早くことを運び、この男から離れたい…。
それにこの男が私の事をビッチェではなく、『ビッチ』と呼ぶことがある。
愛称だから心地良いはずだけど、とても不快に感じるのはなぜだろう?
それから王都シャルエル教神殿で巫女に、召喚の魔力を魔石に溜めてもらうことを依頼した。その時に出会ったのがロターリ司祭だった。
私の第一印象は最悪だ。
ロターリ司祭は50過ぎで太っており脂ぎっていた。
欲とお金に執着した顔、それだけで私は嫌悪感を感じた。
しかし私の提案に一も二もなく賛同してくれた。
その太って贅肉の付いた顔を輝かせながらだ。
なぜだろうか?
こんな幼児体系の私に…。
しかしこの男の、私を舐め回すような、ねちっこい視線はなんだろう?
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いつも応援頂いてありがとうございます。
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